「 日本国籍を取得した者だけに参政権を与えるべきではないか 」
『週刊ダイヤモンド』 2008年2月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 728 福田康夫首相の下で特別永住者の参政権付与の問題が再浮上している。各政党内に賛否両論あり、根深い対立を引き起こしてきた同問題は、これまで関連法案が四度廃案となり、22回継続審議となった、いわくつきの課題だ。 特別永住者とは、日本の植民地だった朝鮮半島や台湾から、戦前戦中に日本に来た人び…
「 ならず者国家が横行する世界 」
『週刊新潮』'07年12月13日号 日本ルネッサンス 第292回 12月19日には、盧武鉉大統領に替わる韓国の新大統領が選出される。最有力候補が前ソウル市長の李明博氏であることに変わりはないが、熾烈な選挙戦ではなにが起こるか、最後までわからない。また、新大統領の北朝鮮政策によって、拉致、安全保障を含む日本の国益は大きな影響を受ける。それだけ朝鮮半島情勢の読み方が重要になる。 今年出版された『…
「 米国内でも批判強まる対北朝鮮外交 テロ支援国家の指定解除は大いに疑問 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年12月1日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 713 横田めぐみさんの拉致から30年が過ぎた。13歳の少女は43歳となり、横田夫妻は共に70代だ。 「疲れ果ててしまいました」と母親の早紀江さんは語る。「ブッシュ大統領個人は拉致問題をきちんと理解してくださっていると思いますが、国務省には北朝鮮の実像が見えていないのでしょう。私たちには理解できない北朝…
「 韓国大統領選、直前で新たな展開 」
『週刊新潮』'07年11 月22日号 日本ルネッサンス 第289回 韓国大統領選挙まで残り6週間となった11月7日、突然、新しい候補者が名乗りをあげた。10年前、ハンナラ党を創った李会昌(イ・フエチヤン)氏だ。大統領選のトップを走ってきたのは保守系で同党候補の李明博(イ・ミヨンバク)氏、『朝鮮日報』の調査では断トツの55・5%の支持率だ。その後ろに左派の与党候補、鄭東泳(チヨン・ドンヨン)氏が約…
「 福田首相は拉致を解決できるか 」
『週刊新潮』'07年11 月8日号 日本ルネッサンス 第287回 「福田首相は終始にこやかで、ユーモアさえ持ち合わせていました。5年前、冷たい目で私たちに娘の恵子は死んだと一方的に通告したのと同じ人かと、心底驚きました」 こう語るのは北朝鮮に拉致された有本恵子さんの母、嘉代子さんだ。有本夫妻ら拉致被害者の家族は10月26日夜、首相官邸で福田康夫首相と45分間にわたって面会した。首相は、官房長官…
“無血入城”を誘う国交正常化交渉 北朝鮮ペースにはまるか否かの瀬戸際に
『週刊ダイヤモンド』 2007年10月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 711 平壌で行なわれた南北朝鮮首脳会談に、東京で発行されている韓国の新聞「統一日報」は、「『ソウル無血入城』誘う危うさ」との見出しを付けた。今回の首脳会談の特徴は、第一に、韓国が北朝鮮に文字どおり一方的に譲ったことだ。第二に、北朝鮮が、中国の朝鮮半島問題における影響力を排除するあからさまな動きに出たこと…
盧大統領、北朝鮮との外交戦争で完敗 米朝関係は当面、緊密化の方向へ
『週刊ダイヤモンド』 2007年10月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 710 10月2日、盧武鉉大統領は、韓国大統領として初めて歩いて板門店を通過し、平壌を訪れた。盧大統領一行の車列は北朝鮮の権力序列二位の金永南最高人民会議常任委員長に迎えられ、二人はオープンカーに並び立って平壌市中心部に向かった。沿道は「万歳(マンセー)!」と叫ぶ大群衆で埋められ、終着点には金正日総書…
「 何も変わらない、調整型政治 」
『週刊新潮』'07年10月11日号 日本ルネッサンス 第283回 「花も実もない所信表明」……それが10月1日の福田康夫新首相演説への感想だ。ついでにいえば、新味もなく夢もない。気概も気迫もないという印象だ。 「自立と共生」が福田内閣の基本理念だそうだが、小沢一郎民主党代表が「その言葉はボクが20年前から使っていた」「口先で言ってもだめだ」と牽制したように、必ずしも福田首相自身の発想ではない。…
次期大統領選対策に暴走する盧武鉉大統領 最も心配される“第3のケース”の可能性
『週刊ダイヤモンド』 2007年9月29日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 708 韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が暴走中だ。9月7日、大統領府は野党ハンナラ党の次期大統領候補、李明博(イミョンバク)氏ら四人を「虚偽事実の流布による名誉棄損」でソウル地検に告訴するという異例の挙に出た。李氏が大統領候補指名競争のキャンペーンで「権力の中心勢力が野党候補のあら探しを指示している」など…
「 失敗に学び克服せよ、日本外交 」
『週刊新潮』 '07年9月13日号 日本ルネッサンス 第279回 日本の政治の混迷をあざ笑うかのように、日本を取り巻く環境は厳しさを増している。激しく変わるアジア情勢に、日本はどう対処すべきか。 暫く前の『中央公論』8月号に外交ジャーナリストの松尾文夫氏が「拉致敗戦」と題した衝撃的な論文を寄せた。昨年10月にブッシュ大統領が金正日総書記に「北朝鮮が核を捨てたら、米国は平和条約に調印する」「協議…