「今、日米関係を前向きに見直せ」
『週刊新潮』’08年10月23日号 日本ルネッサンス 第334回 10月11日、ブッシュ政権が、北朝鮮をテロ支援国家のリストから外したことは、安全保障に関して、米国依存の日本に安保・外交体制の根本的かつ前向きの見直しを迫るものだ。 6ヵ国協議を舞台に、一層進む米中関係の緊密化の結果、日米関係はこれから本当に厳しくなるだろう。日本は自ずと厳しさを増す日米関係の齟齬と摩擦を賢く乗り越え、如何に…
「拉致、国民の憤りが解決の底力」
『週刊新潮』’08年9月25日号 日本ルネッサンス 第330回 去る9月15日、「拉致被害者家族会」「救う会」「拉致議連」の主催する緊急国民集会が、東京・永田町の星陵会館で開かれた。横田めぐみさんの拉致から32年目、増元るみ子さんも市川修一さんも、拉致されて30年がすぎた。 今年6月12日、北京で行われた日朝公式実務者協議で、北朝鮮が拉致問題の再調査と「よど号」乗っ取り犯5人の身柄引き渡し…
「迷走続く、理念なき李政権」
『週刊新潮』’08年8月28日号 日本ルネッサンス 第326回 韓国の混乱と迷走は、恐らく、李明博大統領の下では収拾されはしないだろう。そう感ずるのは、8月15日に行った建国60周年の大統領記念演説を聞いてのことである。 いま、韓国は前代未聞の政治的混乱のなかにある。周知のように、ハンナラ党は4月の総選挙で議席の過半数を握ったが、国会では迷走を続けている。総選挙後10日以内に各種常任委員会な…
「韓国発展に寄与した植民地時代の日本を評価する〝代案教科書〟」
『週刊ダイヤモンド』 2008年8月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 752 韓国の李明博大統領が遅まきながら、不条理な偏向メディアへの反転攻勢に出た。韓国最大の放送メディア、KBS(韓国放送公社)の鄭淵珠(チョンヨンジュ)社長を、8月11日、解任したのだ。 KBSは米国産牛肉輸入を再開した李大統領を激しく非難し、大規模な反政府デモを積極的に支持してきた。デモは牛肉輸入反…
「狂乱続く韓国、李政権の危機」
『週刊新潮』’08年8月14・21日号 日本ルネッサンス・拡大版 第325回 韓国の李明博大統領が漂流中だ。金大中、盧武鉉両大統領の親北朝鮮左派路線を修正し、保守路線を採ると期待されていた李大統領だが、韓国内に根深く広く残る左派勢力の攻撃の前に、為す術もなく、立ち尽くしているかのようだ。ひたすら世論に押され、屈服し、迎合してはいるが、李大統領はその世論を誰が作っているのかを見極めることが出来な…
「盧前大統領の国家機密流出事件、発覚 内戦状態にある韓国の実情」
『週刊ダイヤモンド』 2008年7月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 749 韓国は内戦状態にある。こう書くと、まさかと思われるに違いない。けれど、取材すると、それ以前に感じていた“内戦のような状況”がさらに切迫したかたちで噴出しているのが見て取れる。 典型的な事例の一つが、盧武鉉前大統領が青瓦台(大統領府)のコンピュータそのものを自宅に持ち去った事件だ。韓国の国家機密を含…
「北朝鮮は追い詰められているのになぜ福田首相は制裁を解除するのか」
『週刊ダイヤモンド』 2008年6月28日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 745 6月13日、福田康夫首相は、「(北朝鮮に拉致問題で)話し合う姿勢が見えた。交渉プロセスの入り口に立ったと考えていい」と語り、日本の北朝鮮政策を転換させ、これまで続けてきた制裁措置の一部を解除することを発表した。 福田首相は、安倍晋三前政権の圧力に力点を置いた「対話と圧力」路線から、対話に力点を置く…
「脱北詩人の慟哭、北朝鮮の飢餓」
『週刊新潮』’08年6月26日号 日本ルネッサンス 第318回 手元に脱北詩人のチャン・ジンソン氏の詩集がある。氏は金日成総合大学卒、朝鮮労働党のお抱え作家だった。北朝鮮では詩人は「貴族作家」として優遇される。金正日総書記は独裁政権を維持するために個人の情緒までも政治利用するが、個人の心を金縛りにする道具として、詩人らの働きが重宝されるのである。 チャン氏の署名入りの詩はかつて労働新聞の紙面…
「“実利優先”“主義主張なし” 韓国・李大統領の政治危機」
『週刊ダイヤモンド』 2008年6月21日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 744 韓国の李明博大統領が政権発足100日あまりで早くも危機に陥っている。2月末の就任時には0%を超えた支持率が、現在10%台に急落。6月10日には全閣僚が辞意を表明した。 この緊急事態を招いた直接の原因は米国産牛肉輸入の全面解禁に踏み切ったことだ。4月19日の米韓首脳会談を前に、李大統領は盧武鉉前大…
「理念と意思を持った国家を前に持たない国家は譲歩を迫られる」
『週刊ダイヤモンド』 2008年5月3・10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 738 統治の基本を「実利主義」に置いて、はたして国家は成り立つのか。これこそが、韓国の李明博大統領の直面する課題である。 4月21日に来日した李大統領は、好印象を残した。大阪生まれ、祖国韓国に戻ってからの氏の苦労と努力、そして成功の物語は、どこかテレビドラマ「おしん」の人生に似ている。その軌跡は、日本人…