「韓国発展に寄与した植民地時代の日本を評価する〝代案教科書〟」
『週刊ダイヤモンド』 2008年8月23日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 752
韓国の李明博大統領が遅まきながら、不条理な偏向メディアへの反転攻勢に出た。韓国最大の放送メディア、KBS(韓国放送公社)の鄭淵珠(チョンヨンジュ)社長を、8月11日、解任したのだ。
KBSは米国産牛肉輸入を再開した李大統領を激しく非難し、大規模な反政府デモを積極的に支持してきた。デモは牛肉輸入反対から、あっという間に、大統領退陣要求へと政府との対決姿勢を激化させたが、こうした激越な反政府運動をKBSをはじめとする主要メディアはあおり続けた。だが、そもそもデモを誘発したMBC(韓国文化放送)の米国産牛肉とBSE報道は捏造だったのだ。
李大統領は、こうした新事実を受けてメディアへの対抗策を打ち出し、現在、反政府運動は鎮まりつつある。
熱しやすく激しやすい世論が政府非難に向かい、窮地に陥るとき、李大統領も含めて韓国指導層は世論に正対するより、批判の矛先を日本に向けて自らへの批判を回避してきた。対日非難の材料は歴史、領土、教科書、なんでもよいのだ。その意味で韓国では歴史は常に政治の領域で論じられてきた。
だが、今、経済史の視点から歴史を見直す動きが生まれている。ソウル大学の李榮薫教授らが共同代表を務める「教科書フォーラム」が執筆した『代案教科書韓国近・現代史』である。それは日韓関係を従来の「日本=帝国主義=悪 対 韓国=被害者=善」と短絡的に見るのでなく、韓国の発展の基礎となった植民地時代の日本の寄与を評価する視点で書かれている。
7月に、韓国でお会いした李教授が語る。
「これまで韓国には建国史の教科書がなかったのです。1948年8月15日に大韓民国が樹立されたという時点から現代史が始まるのです。私たちは戦後だけでなく植民地時代を含めての建国史を代案教科書に書きました。日本統治時代、確かに帝国主義の抑圧と差別はありましたが、そのなかでわれわれは近代文明を学んだのです」
李教授は、植民地時代見直しの研究は経済史の分野で活発だと指摘する。
「日本の資本が支配と影響を強めていったプロセスは、韓国の地主と資本家が成長していったプロセスでもありました。そのことを理解する経済史学界から、日韓の歴史の見直しがなされてきたといってよいでしょう。さらに、文学においても韓国の近代的国語学、国文学は植民地時代に確立されたという研究が進行中です」
場合によっては韓国社会の激しい反発を誘発しかねない発言だ。が、このような視点を書き込んだ代案教科書の出版に対してひどい圧迫はなかった。
「特に『東亜』『中央』の主要紙は建国史を正しく書いた点を評価しました。植民地時代の再解釈への評価ではないのですが、数年前と比較しても、韓国社会は大きく変化しつつあります」
李教授は四年ほど前、「植民地時代に日本帝国主義者が韓国農民の土地を奪った」との通説は、捏造であって真実ではないと語り、激しく非難された。
日本の植民地時代にまつわる捏造事実は大別して四点に分けられるという。①農民の土地の四割が日本人に奪われた、②数十万人の女性が挺身隊に駆り出され慰安婦にされた、③毎年、収穫されるコメの半分を日本が奪った、④600万人が強制連行された。
李教授が語る。
「これらは約20年前につくられた話で、あたかも事実であるかのように教科書に載っています。若い世代は捏造事実を教えられ、悔し涙に暮れ、反日になるのです。私たちは代案教科書で、これらが事実でないことを示しました。国史学者も、これまでの通説の間違いを事実上、認めています。われわれの指摘への反論はありません」
代案教科書は現在、教養書として読まれている。事実に基づく前向きな日韓関係を築いていきたいものだ。
韓国で教科書に新しい動き。日本も正しい歴史認識を!…
正しい歴史を認識しようという、冷静な動きが韓国内に出てきたことは、評価できる事柄だではないかと思います。日本も同様に、敗軍・極悪日帝といった左巻きの捏造史観を一日もはや…
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