「 国交省案で『民営化の危機』 近藤新総裁の『早過ぎる変節 」
『週刊新潮』 2003年12月11日号 日本ルネッサンス 第96回 改革路線の堅持を約した第二次小泉内閣。首相は「改革への決意は揺るがない」と強調するが、目玉の道路公団民営化論議も一向に進展がない。民営化推進委員会の意見書はこの1年間棚上げされ、その一方で、このほど国交省は建設推進の独自案を提出。追い討ちをかけるように近藤剛公団新総裁の発言も後退した。改革の原点を忘れた議論に、ジャーナリスト・…
「 道路公団新総裁に前次官牧野徹氏浮上、建設官僚起用なら小泉改革は失敗 」
『週刊ダイヤモンド』 2003年11月15日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 518号 衆院選挙後も続投が確実視されている小泉純一郎首相の足が、地に着いていない。スローガンはよくても、その具現化に欠かせない細部事情の把握と理解力が、脱落している。 わかりやすい一例が、議員の定年制度である。中曽根康弘、宮澤喜一両氏への引導の渡し方については、世間の批判が強かった。一一月二日のフジテレ…
「 急げ公団改革、原点を忘れるな 」
『週刊新潮』 2003年10月16日号 日本ルネッサンス 第88回 日本道路公団総裁の藤井治芳氏は、今日(10月6日)午前中に、石原伸晃国土交通大臣に辞表を提出するよう求められていた。だが正午になっても辞表どころか、本人の所在が掴めず、公団内部は、右往左往が続いた。一方、藤井氏はどこからか、午前11時半に国交省官房長に“辞表提出は差し控えたい”と通知してきたそうだ。国交省側は予想外の事態に慌て…
「 コンプライアンス本部が本来の機能を果たすなら徹底調査の矛先は藤井総裁 」
『 週刊ダイヤモンド 』 2003年8月9日16日合併号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 505回 日本道路公団が、異常事態に陥っている。7月25日付で公団の広報・サービス室から報道機関に、公団のコンプライアンス本部による「財務諸表に関する雑誌記事に対する対応について」という意見具申が配布された。 「コンプライアンス」は、最近とみに聞くようになった言葉だ。もともと法律や規則を遵守する…
「 財務諸表の隠蔽に加え怪文書疑惑浮上とあっては逃げ切れない道路公団総裁 」
『 週刊ダイヤモンド 』 2003年8月2日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 504回 日本道路公団で今、60余人への“事情聴取”が続いている。公団の債務超過を示した財務諸表作成についての事実上の査問である。藤井治芳総裁は、一連の作業を若い課長代理らの勝手な振る舞いにしてしまいたいのだ。自分は知らなかったと逃れるつもりなのだ。 件(くだん)の財務諸表を作った公団のプロジェクトチーム…
「 道路公団改革の足を引っ張る張本人は小泉首相か 」
『週刊ダイヤモンド 2002年11月16日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 469回 驚いた。真偽のほどはあとひと月もすれば白日の下に明らかになるが、道路関係四公団の改革の足を引っ張っているのは、じつは、小泉首相その人であるかもしれない。 四公団の改革案は現在、民営化推進委員会が討議中だ。8月末に出された中間整理案では、四公団のすべての資産と債務を引き継ぐ「保有・債務返済機構」を設…
「 現状と同じ構図でしかない道路公団民営化案の不備 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年9月7日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 460回 小泉改革の象徴ともなった道路公団民営化。四公団民営化推進委員会が8月23日に出した基本方針を見る限り、行方が不安である。 まず、公団を上下分離にするのか上下一体にするのかに関して、民営化委員会が出した案は、かたちも、実態も完全に上下分離である。これは中村英夫・武蔵工大教授の私案によって方向付けられた…
「 先送り工事を道路公団に発注させた“族議員”の責任を問う 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年2月23日号 オピニオン縦横無尽 434回 道路公団のすることは支離滅裂、族議員の主張はまるで自分勝手だ。小泉首相が2002年度から道路公団には国費を投入しないと閣議決定したのは昨年12月19日だった。高速道路建設への国民の税、3000億円の投入が止められ、来年度の建設費は9000億円になった。 これを受けて公団は2001年12月に予定していた13件の工事、計…
「 道路公団の再建は『今なら可能』 これ以上負債つくらず民営化を 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年11月24日号 オピニオン縦横無尽 422 小泉首相の特殊法人改革が胸突き八丁にきた。なかでも最大の焦点の日本道路公団改革をめぐって永田町には烈しい攻防が渦巻いている。今月14日には、国会近くで国道整備促進総決起大会が開かれ、自民党道路調査会長の古賀誠氏が「断固抵抗する」と演説。 このまま建設を続ければ、間違いなく道路公団をつぶす決定打となる第二東名・名神高速…
「 官僚の罠に陥らないよう道路関連4公団の民営化案を補強する 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年9月15日号 オピニオン縦横無尽 第412回回 再び行革断行評議会・猪瀬直樹氏の道路4公団の分割民営化案について。4公団には現在7兆円近い建設仮勘定がある。日本道路公団が4兆4000億円強、首都高速道路公団が約2兆円、阪神高速道路公団が5200億円、建設がほとんど終わったはずの本州四国連絡橋公団でさえ220億円近い。首都高速は営業中の道路資産の合計が4兆5000…