「 民主主義サミットで迷走する米国 」
『週刊新潮』 2021年12月9日号 日本ルネッサンス 第978回 バイデン大統領、大迷走か。 12月9、10日にバイデン氏が主催する「民主主義サミット」への招待国リストを見ての第一印象である。 民主主義サミット開催は2020年の大統領選挙で氏が公約した。目的は、➀民主主義国を権威主義から守る、➁汚職撲滅、➂人権尊重の促進である。 米国務省は国連に加盟する193か国から1…
「 核先制不使用は逆に危険を招く 」
『週刊新潮』 2021年12月2日号 日本ルネッサンス 第977回 11月15日、バイデン米大統領と習近平国家主席がオンライン首脳会談を行った。その翌日、ホワイトハウスは、両首脳が核の軍備管理に関する交渉開始の可能性を探ることに同意したと発表した。 安全保障問題担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏も「両首脳は戦略的安定性に向けて前向きの議論を開始することで合意した」「ここから如何に…
「 「台湾有事」への備えを急げ 」
『週刊新潮』 2021年11月25日号 日本ルネッサンス 第976回 「私が総理なら合同訓練も含めて、ガッツリ受けてやりますね。台湾有事が起きたら、明らかに日本の安全にも関わります。台湾にお住まいの邦人保護をどうするのか。放置してよい課題ではありません」 高市早苗自民党政調会長が11月12日の「言論テレビ」で語った。これは米国務長官のブリンケン氏が11月10日、中国が台湾の現状を力に…
「 中国核弾頭1000発の恐怖 」
『週刊新潮』 2021年11月18日号 日本ルネッサンス 第975回 中国の習近平国家主席の毛沢東化、終身皇帝への道がまた一歩、確実に前進した。今月8日から開催された重要会議、第19期中央委員会第6回総会(6中総会)の最終日に当たる11日には習氏の「第3の歴史決議」を採択する。 毛沢東の「若干の歴史問題に関する決議」(1945年4月)、鄧小平の「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決…
「 自民大勝利、立民共産大惨敗の意味 」
『週刊新潮』 2021年11月11日号 日本ルネッサンス 第974回 衆議院議員選挙で岸田自民党は予想外に善戦し261議席を獲得した。その岸田文雄首相と選挙前の10月29日、「言論テレビ」で対談した。 岸田氏はコロナ、経済、安全保障を三つの重要政策として訴えたが、焦眉の急は安全保障問題だ。日本維新の会が41議席と大躍進し、公明党も32議席をとり3党で憲法改正に必要な3分の2以上も獲得…
「 「立共合作」に隠された危うい路線 」
『週刊新潮』 2021年11月4日 日本ルネッサンス 第973回 日本共産党の志位和夫委員長は10月25日、BSフジの「プライムニュース」で、中国との向き合い方について、日本は軍事力を増強するのではなく話し合いで対処すべきだと主張した。その上防衛費は今より1兆円も削減すべきだとも語った。 共産党の的外れは甚しい。志位氏はきちんと現実を見よ。中国が南シナ海でフィリピンの島を奪ったとき、…
「 立民・共産一体化の危険を見逃すな 」
『週刊新潮』 2021年10月28日号 日本ルネッサンス 第972回 10月31日の衆議院議員選挙を立憲民主党などは「政権選択選挙」だと言う。自民党幹事長の甘利明氏は「自由民主主義の政権と、共産主義が初めて入る政権のどちらを選ぶのかということだ」と言う。自由民主主義か共産主義かの「体制選択選挙」だというのだ。どう見ても甘利氏の主張が正しいだろう。 日本共産党は立憲民主党の政権が誕生し…
「 バイデンの対中政策に異変あり 」
『週刊新潮』 2021年10月21日 日本ルネッサンス 第971回 米国の対中政策が変化している。「中国とは強い立場」から交渉すると言ってきたバイデン米大統領が、必ずしもその強さを維持できていない。日本にとっては切実な問題である。岸田新政権はこの米中関係の変化を見てとり、全ての面で日本の地力を強める手立てを急がなければならない。 振り返れば、ブリンケン国務長官は上院での指名承認公聴会…
「 岸田氏の課題、「宏池会体質」の転換 」
『週刊新潮』 2021年10月14日号 日本ルネッサンス 第970回 「これからが本当の意味でのスタートだ。強い思いで、強い覚悟を持って臨んでいきたい」 10月4日、岸田文雄新首相はこう語った。大変結構だ。今、日本を取り巻く情勢はおよそ全ての分野で厳しい。問題に呑み込まれることなく、ひとつひとつ解決して乗り越えていくには、揺るぎない強さが必要だ。 そこで氏は早速、衆院選を10月…
「 狡猾で論外、中国のTPP加盟申請 」
『週刊新潮』 2021年10月7日号 日本ルネッサンス 第969回 米英豪3か国が、安全保障の枠組み「AUKUS」の創設と、米英が連携して原子力潜水艦の技術を豪州に提供することを発表したのが9月15日だった。 豪州はディーゼルエンジンの通常型潜水艦建造をフランス企業と契約していた。世界で2番目の広大なEEZを持つ豪州は、中国の脅威に対処するためにも潜水艦を必要としている。豪州とディー…