「日本の惨めな外交を予言した中国高官の覆面座談会」
『週刊ダイヤモンド』 2008年10月25日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 761 「アメリカの外交政策に、拉致問題が影響を及ぼすことなんてありっこない」「最初からわかり切ったこと」「それをあたかも希望があるように報じてきた」「日本人って、その辺はお人好しだよね。われわれにはありがたいけどね」――。 ここで「われわれ」の立場から日本を論じているのは、中国外務省の課長補佐である…
「ノーベル物理学賞受賞が示唆する大学改革の見直しの必要性」
『週刊ダイヤモンド』 2008年10月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 760 三人の日本人学者がノーベル物理学賞を受賞した。受賞のニュースは、金融危機や株式市場の落ち込みで意気消沈しかけていた日本に、大きな喜びをもたらしてくれる。 若き時代に三氏が取り組んだのは、宇宙や物質の成り立ちにかかわるきわめて根源的現象の理論的解明である。各紙は三氏の業績について、紙面を大きく割…
「金融危機、日本の価値で打開せよ」
『週刊新潮』’08年10月16日号 日本ルネッサンス 第333回 10月3日、最大で7,000億ドル(約74兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取ることを柱とする金融安定化法案を、米国下院が可決、同法が成立した。米国発の金融危機が世界恐慌に直結する事態は、とりあえず回避された。 とはいえ、同時期、パリで首脳会議を開催した英仏独伊の4ヵ国は、欧州連合(EU)が歩調を一にする対処策を打ち…
「民主党の〝高速道路無料化案〟は真剣な議論に値するのではないか」
『週刊ダイヤモンド』 2008年10月4日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 758 自民党に麻生太郎氏、民主党に小沢一郎氏。真っ正面から闘う構図のなかで、私はどうしても、民主党の高速道路無料化の公約に注目してしまう。 財源はどこにあるのだといって、自民党が、同案をまともに取り上げないとしたら、大きな損失につながりかねない。なぜなら、現行の高速道路会社のあり方、つまり、小泉純一郎首相の…
「政治の何たるかを知る真の政治家はいないのか」
『週刊ダイヤモンド』 2008年9月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 755 福田康夫首相の突然の辞任で二本の記事が頭に浮かんだ。 一つは「月刊現代」8月号に堺屋太一氏が書いた「二代目の研究」である。8月1日発行であるから、当然、堺屋氏は脱稿の時点で福田首相の辞任など想定しておられない。同記事で氏は二世、つまり世襲が最も目立つのは、お寺さんと医療機関の経営者だとしたうえで…
「粗にして雑、移民国家の自民党案」
『週刊新潮』’08年9月4日号 日本ルネッサンス 第327回 少子高齢化問題の解決には「海外からの移民の受け入れ以外にない」、日本は「移民立国への転換」を果たし、「総人口の10%を移民が占める移民国家」へ変身すべきだと自民党の中川秀直元幹事長らが提言した。自民党国家戦略本部「日本型移民国家への道」プロジェクトチームの「人材開国!日本型移民政策の提言」だ。 日本が政治難民や優秀な人材を受け入れ…
「妻子を殺害された青年が絶望の中で闘い続けた軌跡」
『週刊ダイヤモンド』 2008年8月2日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 750 新潮社に入社して以来、25年間「週刊新潮」編集部に在籍した門脇護氏が、『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』(新潮社)を上梓した。 ペンネーム、門田隆将で著した本書は、「週刊新潮」の筆頭デスクとして縦横無尽に走り続けてきた氏の力量を思わせる。 本書は、山口県光市の妻子殺害事件の被害者の家…
「短期集中連載・第1回 あえて言う“後期高齢者医療制度”は絶対に必要だ」
『週刊新潮』’08年7月3日号 日本ルネッサンス・拡大版 第319回 【短期集中連載・第1回】「終末期医療」の信じ難い光景 迷走を極める後期高齢者医療制度を巡る議論は、堕ち行く日本の品格と失われ行く日本人の誇りを象徴するかのようだ。 社会保険庁の呆れる行状、当初、道路特定財源を死守しようとした官僚と族議員の国民不在の利己主義、天下り先の組織に膨大な税を注ぎ込むさもしさ。政府は、これら統治者側の…
「危機に直面する皇室継承 今こそ具体的な議論が必要」
『週刊ダイヤモンド』 2008年6月14日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 743 「諸君!」七月号に、高清水有子氏が秋篠宮家の悠仁さまのご成長ぶりを報じている。愛子さまに関する報道に比較して、悠仁さま関連の報道が少ないなか、同レポートは心和むものだ。 それにしても、悠仁さまご誕生を機に、それ以前に熱く議論されていた皇室典範改正問題が急速にしぼんでいった。問題は解決されたわけでも…
「公務員制度改革に抗う過去官僚」
『週刊新潮』’08年6月5日号 日本ルネッサンス 第315回 社会保険庁や国土交通省道路局の事例を持ち出すまでもなく、日本の官僚の所業は異常である。国民の努力、勤勉、苦労を水泡に帰す税の使い方の出鱈目さと、彼らが立案する政策の、国益に反する実相はまさに許し難い。少数の例外を除いて、いまや、国家国民の利益よりも自己利益の確保に悪知恵を働かせる官僚の在り様を変えることなしには、日本の未来はない。そのた…