「 情報公開を実質骨抜きにする司法の判断は国民の利益を損なう 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年4月14日号 オピニオン縦横無尽 第392回 3月27日、大阪府知事の交際費や食糧費支出に関する情報公開裁判で、最高裁が唐突な判決を出した。「(資料の)一部公開は、国民の側が請求できる権利ではなく、行政側の裁量権である」というものだ。 仙台市の市民オンブズマンの情報公開要求から始まった地方自治体および中央省庁の食糧費問題が、官官接待のすさまじさを国民の前に暴…
「 『黙秘権』『供述拒否権』の誤解から『サラリーマン検事』の台頭まで日本の検察制度は時代の壁にぶつかり停滞してきている 」
『SAPIO』 2001年4月11日号 司法改革が日本を変える 第11回 検察官の付けているバッジのデザインは「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)」と呼ばれ、秋に降りる霜と夏の強い日差しが厳しい刑罰を意味する。この霜と日差しの組み合わされたバッジは、まさに検察官の理想の姿とされているのだ。国民がいま期待する検察官のあり方とはどのようなものなのか、日本の検察官の現状を探る。 福岡地方検察庁の山…
「 司法書士らに法律事務を開放することこそ急務 弁護士過疎解消の試みは本当に歓迎すべきことか? 」
『SAPIO』 2001年3月28日号 司法改革が日本を変える 第10回 いま弁護士過疎が大きな問題となっている。大都市に住む者だけが法的サービスを享受でき、地方に住む者は法律相談さえもままならないということが現実に起きているのだ。そこでようやく日弁連と各弁護士会が中心となり、過疎地域へ公設法律事務所がつくられはじめた。今回は弁護士過疎の問題点を考える。 昨年11月に政府に提出された司…
「引き延ばす弁護士、覇気のない検察、無関心な被告 私が『麻原オウム裁判』で実感した、これは『司法の自殺』だ 」
『SAPIO』 2001年3月14日号 司法改革が日本を変える 第9回 オウムに関する事件で松本智津夫被告の裁判は検察側の立証すらいまだに終わらない。このオウム裁判は、日本の司法が抱える問題点をそのまま表わしていると言えるだろう。 日本の裁判の特徴の一つが、時間がかかりすぎることです。事実審理を尽くして、公正な裁判を行なうことが重要なのは言うまでもありません。かといって、事件の本質とあ…
大反響! 現役裁判官座談会 第2弾「裁判官には最高裁多数派につく『家風』がある」
『SAPIO』 2001年1月24日・2月7日号 司法改革が日本を変える 第7回 1999年9月に現役裁判官の有志で結成された「日本裁判官ネットワーク」。とかく閉鎖的だと見られてきた裁判官たちだが、司法を考えるシンポジウムを開き、市民たちの声を聞き、率直に自分の意見を述べる彼らの姿に、日本の新しい裁判官の姿を見出すこともできるのではないだろうか。以前、この連載の中で行なわれた櫻井よしこ氏との座…
「 『ロースクール』『参審制』で司法過疎解消、国民の司法参加は実現できるのか 」
『SAPIO』 2001年1月10日号 司法改革が日本を変える 第6回 司法制度改革審議会中間報告の問題点を総括する! 99年7月に発足した司法制度改革審議会が2000年11月20日、中間報告を出した。その内容は、法曹人口の増加、陪審・参審制の導入、法科大学院(ロースクール)の設置、法曹一元化など、21世紀の司法制度を目指す盛りだくさんなものとなっている。しかし本当にそのひとつひとつが我々…
「 国民が共感できる国歌について皆で選択肢を考えよう 」
『週刊ダイヤモンド』 2000年12月30日・2001年1月6日新春合併号 オピニオン縦横無尽 第378回 9月30日の当欄で、「日の丸」と「君が代」について取りあげたところ、お便りをいただいた。 27歳の諏訪部裕さんからは、オリンピックの表彰台で選手が「君が代」を歌わないのは自分たちの世代は「歌えない」からだとのご指摘をいただいた。彼は君が代を聞くと、どうしても戦争のイメージを抱く一方で、…
「 漂流するフリーター『200万人』の存在理由 」
『週刊新潮』 2000年12月28日号 迷走日本の原点 第11回 フリーターという言葉が就職情報誌『フロムA』に登場したのは1987年だった。はっきりした定義はまだないが、労働白書は、フリーターはパートでアルバイトをする、学生ではない人々、女性は未婚などとしている。 その数は15年間で3倍の151万人に達した。これも97年の数字であり、現在は200万人に迫り、将来も増えていくと分析されてい…
「 また始まった農業バラマキのアリ地獄 」
『週刊新潮』 2000年12月21日号 迷走日本の原点 第10回 日本のコメ農政の壮大なる失敗が、今や国民に不当な財政負担を強いているだけでなく、日本外交の基本方針を大きく狂わせている。 去る10月4日に決定された、北朝鮮への50万トンのコメ支援は、一体何を意味するのか。河野洋平外相は、拉致及びミサイル開発問題など、懸案事項の「解決に至る環境整備に役立て」、「自分が全責任を取る」と述べて、5…
「 日本の司法が置き去りにした犯罪被害者たちの『悲痛な叫び』 」
『SAPIO』 2000年12月20日号 司法改革が日本を変える 第5回 情報も援助も心のケアもまるで不十分 平成12年度の犯罪白書によれば、犯罪被害者本人と遺族に対する意識アンケートの中で半数以上が判決を軽いと考え、その精神的影響について、殺人と傷害致死事件の遺族は「感情がまひしたようになった」(43・0%)と答えている。犯罪被害者への情報開示やケアがほとんどなく、被害者を置き去りにして…