「 テロには屈しない決意が必要 」
週刊新潮 2004年4月22日号 日本ルネッサンス 第113回 邦人3人が人質にとられ5日がすぎた今、改めて奥克彦大使の残した『イラク便り』(扶桑社)を開いてみた。 外務省のホームページに書き残していた奥大使の『イラク便り』には、多くの人々の死が登場する。2003年8月22日、デ・メロ国連事務総長特別代表の棺は国連旗に覆われブラジルの空軍機によって「凛々しく」迎え入れられ故国に…
「 テロとは闘うしか方法はない スペインの政権交代は真に平和の道につながるか 」
週刊ダイヤモンド 2004年3月27日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 536 スペインのマドリードで200人もの命を奪った列車同時爆破テロが、国際テロ組織アルカーイダの犯行であることは、ほぼ間違いなさそうだ。 当初疑われたスペインの武装テロリストグループ、ETA(バスク祖国と自由=北部バスク地方の分離・独立を主張する組織)は、過去36年間の活動を通して、主として政府や司法…
「 反米韓、親北が弾劾の引金 」
週刊新潮 2004年3月25日号 日本ルネッサンス 第109回 韓国の政治はサッカーのようだといわれる。過熱して我を忘れ暴走するというのだ。 3月12日、盧武鉉(ノムヒョン)大統領は政権発足1年で韓国憲政史上初の弾劾案可決に見舞われ、職務執行停止に追い込まれた。弾劾案が可決されたときの韓国議会の映像は、議員が床に転がり泣き叫び、投票箱が投げとばされる類のものだった。その場面が…
「 並の政治家や官僚に劣らぬ横田夫妻の外交判断能力 改正外為法にも見解の相違 」
週刊ダイヤモンド 2004年2月28日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 532 試練は、人を成長させてくれる。 穏やかな夫と裕福な家庭の主婦をしてこられた横田早紀江さんと語るたびに、そう思う。外交官でも政治家でもないが、早紀江さんはおそらく今、並の政治家や官僚に負けない判断能力を身につけている。 2月11日から平壌(ピョンヤン)で開催された日朝政府間交渉に臨む政府の姿勢を…
「 武士道の国の自衛官 」
『週刊新潮』 2004年2月19日号 日本ルネッサンス 第104回 「日本人らしく誠実に心をこめ、武士道の国の自衛官らしく規律正しく堂々と取り組みます」 陸上自衛隊イラク派遣本隊隊長の番匠幸一郎一等陸佐の言葉を、私は感銘をもって受けとめた。 自らを厳しく律し、恥を知り、責任を全うすることを重んずる武士道の心を、私たち日本人は戦後久しく忘れ去ってきた。だが、新渡戸稲造博士の著した『武…
「 『アメリカの戦争』 に学ぶこと 」
『週刊新潮』 2004年2月5日号 日本ルネッサンス 第102回 イラク問題で日本が米国と独仏両国の間を取りもとうという動きがある。橋本龍太郎元首相が昨年ヨーロッパを訪れたとき、仏などと意気投合した結果だという。 米国と対立している独仏両国と日本が力を合わせて、単独主義で突っ走る米国を国連の枠組に近づけ、同時に米仏独の関係修復に一役買って出ようということのようだ。 私は、戦後最大の失…
「 台湾国民投票を私は支持する 」
『週刊新潮』 2004年1月29日号 日本ルネッサンス 第101回 台湾の陳水扁総統の政権維持の闘いが続いている。3月20日の総統選挙時に住民投票を行うか否か、その件で、日米両国の支持を取りつけることが出来るのか。日米、とりわけ米国の支持の有無は、ほぼストレートに総統選挙に影響するとみられ、総統の戦略が注目される。 1月16日、陳総統はテレビを通じて総統選挙と同時に住民投票を実施…
「 今こそ拉致特別委員会を設けよ 」
『週刊新潮』 2004年1月22日号 日本ルネッサンス 第100回 北朝鮮の戦術はあざとく、巧みである。昨年12月20、21の両日、北京で行われた、平沢勝栄衆議院議員らと鄭泰和日朝交渉担当大使らによる非公式の接触は、日本側を外務省と拉致議連、家族会などに分断して揺るがすと同時に、19日に開かれる国会で拉致問題特別委員会の設置を念頭に置いた目眩ましではないかと思われる。なんら、新しい…
「 自衛隊暴走論から犠牲論へ 『有志連合』 潮流の今こそ国家を考え直す機会だ 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年1月17日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 第526回 100年前、日本は日露戦争を戦った。明治後期のこの戦いぶりは、発展途上の国だった日本が、国際社会で国家としての信頼を勝ち取るのに大きく貢献した。 大国ロシアを相手に、軍艦ごとに国際法の専門家を同乗させて、軍事行動が国際法に違反しないように自らを律したといわれているほどだ。国際法を遵守しつつ奮…
「 もはや“特措法”枠内での自衛隊派遣にはムリがある 憲法解釈変更の機会とせよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2003年12月20日号 新世紀の風をおこすオピニオン縦横無尽 523号 世論調査によっては、7~8割の人びとが反対を表明するなかで、小泉純一郎首相はイラクへの自衛隊派遣を決定した。日本の国益を考えれば、基本的に正しい決断だと考える。 首相は日米同盟と国際協調体制の重要さを強調したが、大前提として、イラクの一般国民の安寧と自由が守られ、その意思が尊重される体制を築き上げ…