「 温首相来日、中国の微笑を信じるな 」
『週刊新潮』 2011年5月26日号 日本ルネッサンス 第461回 中国の温家宝首相が今月21日から来日し、東日本大震災の現地を視察するという。2008年1月、中国の大群衆が大雪のため旧正月に故郷に戻れなかったとき、或いは同年5月、四川大地震が起きたとき、温首相はいち早く現地に赴き、民衆の苦難に深い同情を表明して、混乱をおさえた。 そのときと似たような同情溢れる目差しで温首相は日本の被災地…
「 中国国防白書に見る軍事的脅威 」
『週刊新潮』 2011年4月14日号 日本ルネッサンス 第456回 4月1日、中国国家海洋局所属の航空機が東シナ海の中間線周辺の公海上で監視活動を展開していた海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」にまたもや異常接近した。3月26日に続くあからさまな対日示威行動である。 航空機はいそゆきの周りを2周し、最接近時の高度は約60メートル、護衛艦までの水平距離は約90メートルだったという。国際慣例上、それ以…
「 自由弾圧に中国の大規模予算 」
『週刊新潮』 2011年3月17日号 日本ルネッサンス 第452回 発生から2ヵ月余りがすぎても、中東のジャスミン革命は続く。公正で自由な国家を求める中東革命を横目に見ながら、中国の全国人民代表大会(全人代)が開かれている。開幕当日の3月5日、温家宝首相が行った演説には、中国共産党の抱く危機感が溢れ、中東の轍は踏まないとの固い決意がうかがわれた。 温首相は情感を込めて一段と声を張り上げた。「…
「 民主社会に変わる条件を備えた中国のジャスミン革命は続く 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年3月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 878 中東で始まった民主化を求める「ジャスミン革命」の波及を堰き止めようと、中国共産党の死に物狂いの努力が続く。自由で公正な社会を渇望する中国版ジャスミン革命を目指す日曜日ごとの集会は、2月20日に13都市、27日に27都市、3月6日は33都市に呼びかけられた。 中国当局の締めつけは激化し、27日の…
「 毎年10万件の暴動が起きる中国 胡主席が幹部に強調した規制徹底 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年3月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 877 中国では毎年10万件の暴動が発生している。一般国民の不満や訴えが、毎日約300件、爆発し続けているのだ。なんと不幸な国家だろうか。それでも、中国共産党は国民の怒りが昂じて、反政府運動に発展しないよう、巧妙に処理してきた。不満や怒りを手っ取り早く抑制するために、中国政府は反日運動を利用し、情報も日常的…
「 異常な軍拡に統制の危うさ 中国の異質性は高まっている 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年2月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 873 中国の胡錦濤国家主席の訪米で米国メディアが展開した批判はすさまじく、それはオバマ大統領にも及んだ。 一例が「ワシントン・ポスト」紙である。オバマ大統領を「ノーベル平和賞受賞者を拘束する国家元首を公式に招待する最初の米大統領」と批判し、CNNテレビは1月19日の歓迎式典の中継で、「ノーベル平和賞を受…
「 『これから30年間』米中摩擦の深まりを印象づける首脳会談 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年1月29日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 872 1月18日、中国の胡錦濤国家主席が国賓として米国を訪れた。翌朝の公式歓迎式典でオバマ大統領は、「一人ひとりに人類普遍の人権が認められ、すべての国家がその権利と責任を固く守るとき、社会は調和し、国家は成功し、世界に正義が通用することを歴史は示している」と述べて、人権問題を取り上げた。 続いて挨…
「 中国とよい関係を築く方法は侵略されない軍事力を持つこと 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年1月22日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 871 1月7日、北京入りした米国防長官のロバート・ゲーツ氏に見せつけるかのように、中国人民解放軍が、彼らの誇るステルス戦闘機「殲(セン)20」のテストフライトを行った。レーダーにとらえられないステルス戦闘機を配備しているのは、世界で米国だけであり、中国が「殲」の開発を完了したのであれば、中国の軍事力は…
「 優位な対潜能力に自信を持ち尖閣諸島の実効支配を高めよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年12月25日・2011年1月1日合併号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 868 12月11日未明に沖縄県石垣市の市議会議員2人が尖閣諸島の南小島に上陸した。石垣市は尖閣諸島を直接、所管する立場にあり、かねて固定資産税などの評価のために上陸して調査したいと、国に申し入れていた。 それはもっともな理由だが、真の理由は日本の領土領海を侵す中国の主権侵害…
「 今度は国有地、名古屋に中国の魔手 ]
『週刊新潮』 2010年12月16日号 日本ルネッサンス 第440回 都市の一等地を中国政府に売る計画は、新潟市だけではなく、名古屋市でも進行中だった。しかも、売り手は財務省、日本国政府である。 売却予定地は、名古屋城近くの南向きの3万1,000平方メートルとその飛び地の2,800平方メートル、合計1万200坪を超える、都市に残された最後の超大型物件だ。国家公務員宿舎「名城住宅」と名城会館の…