「 周辺国を力で影響下に置こうとする『中国革命』に対し日本に必要なこと 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年12月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 866 選挙自体は普天間飛行場移設問題の解決にも、行き詰まった日米関係の解決にもならないが、まず、それを制さなければなにも始まらない。これが11月28日の沖縄県知事選挙だった。 結果は現職の仲井眞弘多(ひろかず)氏が約34万票で、対立候補の伊波洋一氏を4万票弱引き離して再選された。敗れた伊波氏は強硬な県…
「 北朝鮮暴走、世界制覇を目論む中国 」
『週刊新潮』 2010年12月9日号 日本ルネッサンス 第439回 11月23日午後2時34分、北朝鮮が韓国の延坪島を攻撃し、民間人2人を含む4名が死亡した。北朝鮮の攻撃後、朝鮮半島情勢の今後の展開は予想し難いものがある。確かなことは、今回の攻撃は南北両朝鮮の安全保障問題を超えて、米中という二つの軍事大国をより一層の緊張と対立含みの関係へと押しやる可能性があるということだ。 米韓両国は11月2…
「 対中売却凍結は最終解決ではない 」
『週刊新潮』 2010年12月2日号 日本ルネッサンス 第438回 新潟市中心部の5,000坪の土地を、中国政府に売るべきか否か。 新潟市長の篠田昭氏は、11月18日、土地売却案の凍結を発表したが、余震はおさまらない。「凍結」は時機がくれば解除され得るのに加えて、中国側の土地取得にかける意気込みの強さが窺えるからである。 問題の土地は新潟駅からわずか500メートル、市の中心部に位置する万代…
「 日本人の愛する錦鯉を毒殺した中国 」
『週刊新潮』 2010年11月25日号 日本ルネッサンス 第437回 中国の次なる飛躍への踏み台ともなる上海万博は、10月31日、6ヵ月間に7,307万人、大阪万博の6,422万人を超える万博史上最大入場者数を記録して終了した。中国政府は、万博は大成功だったと自賛し、「改革開放政策を進める自信と決意を強固に、平和発展と開放を両立させる道を歩み、世界各国と連携を深める」と発表した。だが中国の威…
「 中国漁船衝突の映像公開を国民は国益と考えている 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年11月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 863 政治家の役割は国民のための国家をつくることである。政府の役割は、国家が国際社会の中で生き残ることを担保することである。領土、領海、国益への侵略を許さない勁(つよ)い国家をつくることだ。外交が武器なき戦いの最前線といわれるゆえんである。 今月9日から10日にかけての、菅直人首相および仙谷由人官房…
「 本末転倒『犯人探し』は菅・仙谷内閣の責任隠蔽だ 」
『週刊新潮』 2010年11月18日号 日本ルネッサンス 第436回 11月4日夜にネットに流出した44分間の尖閣沖の領海侵犯事件の映像は凄まじかった。加速して海上保安庁の「よなくに」に船体をぶつけ、「みずき」に体当たりする中国漁船の「閩晋漁(みんしんりょう)」。黒煙とサイレンの中で大きく上下するビデオ映像が、巡視船の激しい揺れを示していた。 殆どの国民が意識することもない中で、海保の職員…
「 中国の狙う新潟での大中華街構想 」
『週刊新潮』 2010年11月11日号 日本ルネッサンス 第435回 いま、中国に最も狙われている県は新潟県だといってよいだろう。 5年前、中国は北朝鮮の日本海側最北の港、羅津(ラジン)の50年間の租借権を得た。租借は単なる貸与ではない。その地に行政権も及ぶ、まさに植民地時代の遺物のような契約である。 羅津港から中朝国境まで約60キロ、中国はここに幹線道路を作り、これも租借した。歴史上初め…
「 事実を歪曲する中国の独自思想 」
『週刊新潮』 2010年11月4日号 日本ルネッサンス 第434回 事実を曲げて強硬な主張をする厄介な隣人、中国を、私たちはどのように理解すべきか。 〈尖閣諸島は中国領だ、東シナ海は中国の海だ、尖閣周辺の中国の領海内で日本の海上保安庁の船が中国の漁船を取り囲んだ、日本側が体当たりして衝突事件を起こした〉 中華人民共和国はこう主張する。彼らにとって、事実は問題ではなく、彼らが主張することが…
「 『極端なナショナリズム』はどこに存在するのか 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年10月30日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 860 菅直人氏の内閣を世の人びとは「仙谷内閣」または「菅防内閣」と呼ぶそうな。前者の説明は不要だ。後者は官房長官の仙谷由人氏が首相を守るべくすべてを引き受けるという意味で「官房」と「菅氏防御」をかけたものだ。 首相を守るのは確かに官房長官の責任だが、その目的は内閣のまとめ役として、首相とともに日本…
「 歴史は私たちに教えている 『おとなの対応』の危うさを 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年10月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 859 菅直人首相が日中関係について、「いろんなことが元どおりに戻っていくのかなと思う」と期待を込めて語っている(10月9日)。 「元どおり」とは、氏が首相に就任した直後の日中関係を示すようだ。首相は6月13日に温家宝首相と電話会談し、続く27日、カナダのG20首脳会議で胡錦濤国家主席に会った。そ…