「 金額合わせに終始するな 本質論からはずれ始めた三位一体改革の論議の中身 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年7月31日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 553 国と地方自治体の税財政改革(三位一体改革)の議論が盛んだが、本質論をはずしているのではないか。三位一体改革は、国が地方への補助金や交付税を減らすぶん、税源を地方に移譲して地方自治に任せるということだ。 重要なのは課税権限を移譲することだ。だが、現在進行中の全国知事会議での議論は、基本的…
「 拉致問題、まだ区切りではない 」
『週刊新潮』 2004年7月29日号 日本ルネッサンス 第126回 曽我ひとみさんのジャカルタ滞在は予想よりもずっと短い10日間で終わった。北朝鮮に戻らず日本で暮らすよう、夫のジェンキンス氏と2人の娘を説得するには、とても長い時間がかかる、或いは出来ないかもしれないと、出発前の曽我さんは述べていた。それだけ3人の家族は北朝鮮の価値観に深く染まっており、ジェンキンス氏は米国による軍訴追を恐れて…
「 民主党が政権を取るには広い視野からとらえる“国益の概念”が不可欠 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年7月24日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 552 7月11日の参議院議員選挙では、民主党の得票数は、比例で2114万票、自民党の票を400万票以上、上回った。のみならず、選挙区でも民主党は2193万票を獲得し、自民党の1969万票を224万票上回った。 この大躍進ぶりは、たとえば今年4月25日の衆議院統一地方補選の結果と較べてみると様変…
「 小泉、公明党離れで自民再生へ 」
『週刊新潮』 2004年7月22日号 日本ルネッサンス 第125回 参議院議員選挙での民主党の躍進を受けて7月11日の深夜、小泉純一郎首相は次のように述べた。 「何の実績もない、期待だけの時とね、3年間の実績を積んでいるのとでは違いますよ」 「これからあと2年、実績を積むよう努力していかねばならない」 官邸の主は懲りない人だ。小泉政権こそ「何の実績もない」から、民主党に敗れたのだ。公明…
「 外交は政権の道具ではない 首相は名誉欲を捨てよ 国を売りたもうことなかれ 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年7月17日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 551 かつての小泉純一郎首相のイメージは、淡々とした人物のそれだった。自分の利益にそれほどこだわることなく、この国に必要な改革にこそこだわり、誰が抵抗しようが反対しようが改革を進める、“よき変人宰相”に見えた。 首相就任から4年目。権力の座はこれほどまでに人間を変えてしまうものか。現在の首相には…
「 総裁に問う、公団財務は健全か 」
『週刊新潮』 2004年7月15日号 日本ルネッサンス 第124回 国土交通省は7月2日、日本道路公団(JH)など道路関係4公団の2003年度決算と財務諸表を、公団の現行方式と民間企業方式の2種類で発表した。民間会計基準で計算すると日本道路公団は“資産超過の優良企業”になったそうだ。 一方、近藤剛道路公団総裁は昨年11月20日の就任記者会見で次のように述べている。 「(日本道路公団を)民間…
「 首相は単なる口舌の徒か 民営化問題取材のさなかに垣間見た小泉改革の正体 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年7月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 550 考え方や立場が違っても、その主張を理解出来る人と出来ない人がいる。分岐点は、理屈や動機がわかるか否かであろう。小泉純一郎首相は、私にとってしばらく前までは、よく理解出来ない人物だった。しかし、今はかなり明確に理解できる。首相は単なる口舌の徒なのである。 首相の言動の意味がとらえにくかったの…
「 小泉政権、これまでの成績は落第 」
『週刊新潮』 2004年7月8日号 日本ルネッサンス 第123回 参議院選挙を前にしきりに考える。自民党が安定過半数を獲得すれば、あと2年余り小泉政権が続くのかしらと。参議院の単独過半数は122であるから、自民現有で非改選の66議席と合わせて、今回の選挙で56議席以上を獲得すればよいわけだ。そこまで議席がのびれば小泉首相の力は強固なものとなる。 しかし、このところの支持率の低下ではそこまで…
「 国民年金保険料の引き上げはまず腐った社会保険庁を解散してから論ずるのが筋 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年7月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 549 厚生労働省が「2003年の合計特殊出生率は1.29である」と発表したのは、年金改革法が成立した6月5日直後の9日だった。このことだけでも、坂口力厚生労働大臣は、担当部署の最高責任者を厳罰に処すべきだった。厚労省の官僚たちが、年金改革の大前提である出生率1.32が達成されていないことを知っており…
「 サマワ帰国『番匠群長』の笑顔 」
『週刊新潮』 2004年7月1日号 日本ルネッサンス 第122回 7月以降イラク統治の最高責任者となる暫定政権のヤワル大統領は、先のシーアイランド・サミットで「イラク国民が最も歓迎しているのは日本の自衛隊だ」と述べた。「武士道の国の自衛官」の仕事振りは、イラク国民によって受け入れられ、絶賛されたのだ。 イラクでの米軍人の犠牲者はすでに800人を超えた。4月をピークに5月、6月と犠牲者…