「 全人代、習近平の思惑をどう止めるか 」
『週刊新潮』 2023年3月16日号 日本ルネッサンス 第1040回 3月5日、中国の全国人民代表大会(全人代・日本の国会に相当)が開幕、李克強首相が最後の政府活動報告を行った。1時間足らずの淡々とした演説には、さまざまな意味が込められていた。その中から習近平国家主席の思惑を読みとってみる。 李氏は報告を読み上げる中で何か所かを省略した。これらも含めて全て習氏の了承を得ているはずだが…
「 ウ戦争、日本自身のために立ち上がれ 」
『週刊新潮』 2023年3月9日号 日本ルネッサンス 第1039回 追いつくのが難しい程、国際社会が速いペースで動いている。 2月18日、ブリンケン米国務長官と中国共産党政治局員で外交の総責任者、王毅氏の会談がドイツ・ミュンヘンで行われた。目立ったのが双方の強気な姿勢である。ブリンケン氏は中国に、スパイ偵察気球を米国土の上空に飛ばすのを止めよと強く要求し、ロシアへの中国の政治的援助が…
「 気球と無人機で世界を席巻する中国 」
『週刊新潮』 2023年3月2日号 日本ルネッサンス 第1038回 直径60メートル、中国の巨大スパイ気球は南シナ海の海南島で打ち上げられ、太平洋に出てアリューシャン列島、アラスカ、カナダ経由でアメリカ本土の上空に入った。海南島は世界最大規模の水中潜水艦基地や文昌衛星発射センターがあることで知られる。同島の位置する南シナ海は、中国最重要の対米軍事拠点だ。 米軍は2月4日、中国の気球が…
「 安倍氏『回顧録』、戦い続けた生涯の記録 」
『週刊新潮』 2023年2月23日号 日本ルネッサンス 第1037回 『安倍晋三 回顧録』が出版された。聞き役を務めた読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏は、本書は1年前に完成していたと語る。にも拘わらず出版が遅れたのは安倍氏自身が待ったをかけたからだ。 「総理を辞めて安倍派の会長になった。体調もよくなり、政治的影響力は強くなる一方だった。そこに本音で語った本書を出すと、余りに影響が強す…
「 少子化対策は未婚化阻止が第一歩だ 」
『週刊新潮』 2023年2月16日号 日本ルネッサンス 第1036回 中国の総人口が前年比で85万人減ったと大きく報道されたのは1月17日だった。それ以前には中国の労働生産人口が10年も前から減少し始めていたなどとも報じられていた。人口問題から国際社会を分析してきた仏の学者、エマニュエル・トッド氏は、昨年11月、シンクタンク「国家基本問題研究所」の招きで来日した折り、こう語った。 「…