「 トランプディール外交、ロシアに有効か 」
『週刊新潮』 2025年3月13日号 日本ルネッサンス 第1138回 2月28日の米ウクライナ首脳会談決裂はトランプ米大統領とのつき合い方に関する大きな教訓である。1980年代後半、レーガン元米大統領は一発の銃弾も撃たず旧ソ連を崩壊へと導いた。今回プーチン露大統領は銃弾どころか言葉ひとつ発することなく西側の団結を粉砕した。 ゼレンスキー大統領は大国アメリカの大統領と副大統領に、世界が…
「 暴言の向うに見えるトランプ戦略 」
『週刊新潮』 2025年3月6日号 日本ルネッサンス 第1137回 トランプ米大統領の最大の強みは彼が何を考えているかを誰も予測できないことだと言われる。破天荒な言動で氏は自らの予測不可能性を最大限高め、効果的に活用することに成功している。しかし、氏の言動をよくよく詰めていけば、見えてくる。トランプ氏の大目的は、⓵中国が米国を追い抜くことを許さない、⓶米国の利益を徹底的に追求する、に尽きる…
「 石破氏の北への大幅譲歩が心配だ 」
『週刊新潮』 2025年2月27日号 日本ルネッサンス 第1136回 「恵子には、もう少し頑張って待っとけ、必ず救い出すから、といつも(心の中で)言ってるんです」 そう語っていた有本恵子さんの父、明弘さんが、2月15日、亡くなった。96歳だった。恵子さんの母、嘉代子さんも5年前、94歳で亡くなった。そして42年前、英国留学中に23歳で北朝鮮に拉致された恵子さんはいま65歳のはずだ。 …
「 日鉄を犠牲にするのか、石破訪米 」
『週刊新潮』 2025年2月20日号 日本ルネッサンス 第1135回 2月7日、ワシントンで日米首脳会談に臨んだ石破茂首相を、その成果も含めて100点満点だったとほめちぎる声がある。石破氏自身も帰国直後の9日、NHKの『日曜討論』をはじめとするテレビ番組でトランプ大統領と個人的信頼関係を築き得たとの見解を示した。果して本当にそうか。私は大いに疑問を抱く。 今回の首脳会談で恐らく最も注…
「 首相は米大統領に中国の真実を説け 」
『週刊新潮』 2025年2月13日号 日本ルネッサンス 第1134回 訪米を前にした2月3日、石破茂首相はソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏、オープンAIのアルトマンCEOと会談した。 5000億ドル(約78兆円)を米国でAIのインフラ構築に投資すると公言してトランプ米大統領に食い込んだ孫氏らから、石破氏はトランプ氏との向き合い方に関しても指南を受けたのであろう。確かに孫氏らの…