「 危機高まる、実戦並みの中国統合演習 」
『週刊新潮』 2025年5月15日号 日本ルネッサンス 第1145回 世界各地で「醜い紛争」が続発している結果、米中2大国及びその周辺国が戦争勃発の引き金を引く可能性がかつてなく高まっている、と米国の著名な論客、ウォルター・ラッセル・ミード氏が4月29日、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)に寄稿した。 米国のインド・太平洋軍司令官、サミュエル・パパロ将軍は4月10日の…
「 自民党再生へ、萩生田氏の決意 」
『週刊新潮』 2025年5月1・8日合併号 日本ルネッサンス 第1144回 4月18日、自民党元政調会長の萩生田光一氏が「言論テレビ」で語った。 「先日、高市(早苗)さんとゆっくり食事をしました」 高市氏は「めちゃくちゃ元気」で「闘う気力は全然衰えていないと感じた」という。2024年9月の自民党総裁選挙での反省点や感じるところを話し合ったそうだ。 別の日、雑誌『正論』で萩…
「 中国の覇権に連合体制で対応せよ 」
『週刊新潮』 2025年4月24日号 日本ルネッサンス 第1144回 「中国はたった20年で国際社会の商船の半分以上を建造する大造船国となったが、米国はシェア0.1%の国になり果てた」 これは米国を代表するシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が先月報告した内容だ。中国が2024年に建造した商船の総排水量は、米国が第2次世界大戦以降の約80年間で建造した全商船の合計トン数を上…
「 中国に屈服する石破・岩屋外交 」
『週刊新潮』 2025年4月17日号 日本ルネッサンス 第1143回 トランプ米大統領の全世界を対象とした相互関税政策が発動した。ノーベル賞経済学者、ポール・クルーグマン氏は「彼(トランプ氏)は完全に狂っている」と、自身のニュースレターで指摘した。 だが、トランプ氏御本人は株価市場の大暴落や諸国の反発はアメリカ再生の「治療」の結果生ずる症状だとして動じず、「私の決意は絶対に揺らがない…
「 米国の後退、戦略3文書を見直せ 」
『週刊新潮』 2025年4月10日号 日本ルネッサンス 第1142回 「石破さんも中谷さんも自衛隊ではどんなに頑張っても3佐どまりでしょう。船や装備の性能、軍事技術に詳しくても戦略や政策は理解できない。そんな2人が首相と防衛大臣ですから、わが国の防衛戦略が行き詰まろうとしているのは当然です」 右は複数の安全保障の専門家からきいた話だ。ちなみに3佐とは3等陸佐、海佐、空佐のことで、かつ…
「 習氏の檄、台湾侵攻の「戦備強化」 」
『週刊新潮』 2025年4月3日号 日本ルネッサンス 第1141回 シンクタンク「国家基本問題研究所」で衛星画像の解読を始めて1年、中国人民解放軍(PLA)が台湾侵攻準備を進める様子を見てきた。画像の全てが現実である。仮想でも誇張でもない。その現実を、私たちは見詰めなければならない。その上で習近平国家主席の考え、中国共産党指導者の政治的思惑は何かを知って対処しなければならない。 3月…
「 米国の圧力で日本農業を立て直せ 」
『週刊新潮』 2025年3月27日号 日本ルネッサンス 第1140回 令和のコメ不足が続いている。コメの価格は1年前に較べて約1.9倍に上昇し、江藤拓農林水産大臣が備蓄米を初回として15万トン放出しても、不足は解消せず価格も下がらない。 そこに米国から爆弾が投げ込まれた。3月11日、ホワイトハウスのレビット報道官が、日本は米国米に700%の関税をかけていると指摘した。トランプ大統領は…
「 トランプ日米安保批判、前向きに使え 」
『週刊新潮』 2025年3月20日号 日本ルネッサンス 第1139回 トランプ米大統領がまた言った。「日本はアメリカが攻撃されても助けに来ない。日本はアメリカビジネスで大儲けしている。誰がこんな取引を決めたんだ」と。 安倍晋三総理の時代にトランプ氏が展開した日本批判を想い出す。 日本が双務条約と自立を望んでも、それを潰してきたのが米国だ。根底には日本不信があった。キッシンジャー…
「 トランプディール外交、ロシアに有効か 」
『週刊新潮』 2025年3月13日号 日本ルネッサンス 第1138回 2月28日の米ウクライナ首脳会談決裂はトランプ米大統領とのつき合い方に関する大きな教訓である。1980年代後半、レーガン元米大統領は一発の銃弾も撃たず旧ソ連を崩壊へと導いた。今回プーチン露大統領は銃弾どころか言葉ひとつ発することなく西側の団結を粉砕した。 ゼレンスキー大統領は大国アメリカの大統領と副大統領に、世界が…
「 暴言の向うに見えるトランプ戦略 」
『週刊新潮』 2025年3月6日号 日本ルネッサンス 第1137回 トランプ米大統領の最大の強みは彼が何を考えているかを誰も予測できないことだと言われる。破天荒な言動で氏は自らの予測不可能性を最大限高め、効果的に活用することに成功している。しかし、氏の言動をよくよく詰めていけば、見えてくる。トランプ氏の大目的は、⓵中国が米国を追い抜くことを許さない、⓶米国の利益を徹底的に追求する、に尽きる…