株式市場の停滞が雄弁に告げる福田政権における政治決断能力の欠如
『週刊ダイヤモンド』 2008年1月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 724 優れた企業と人材を多く擁し実力のあるはずの日本が、株式市場でひとり負けしている。昨年1年間で株価を下げた国は五ヵ国あり、日本は世界で2番目に大幅に株価を下げた国だった。 なぜこうなるのか。その問いと、薬害肝炎問題で患者側が「120%の出来栄え」と評価するほどの解決策を提示し、和解にこぎ着けたにも…
「 『小泉・安倍・福田』3内閣を斬る! 」
『週刊新潮』'08年1 月3日・10日号 [拡大版]日本ルネッサンス 第295回 【新春対談】 櫻井 よしこ vs 高杉 良 櫻井 高杉さんの新著『亡国から再生へ』を拝読して、藤原正彦さんが゛日本は教養主義、教養大国にならなきゃいけない″と書いておられたのを思い出しました。高杉さんも、本質は同じことをおっしゃっている。日本人の美徳、或る意味、比類のない長所が、教養を中心としてみんななくなってしまっ…
「 米欧がイランの核問題を最重視するなか外交に疎い首相の下で孤立深まる日本 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年12月15日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 719 福田康夫首相の外交視点には、日本周辺の景色、というより、日中関係の促進しかないのではないか。 今、国際情勢は複層的に変化しつつある。鍵は米国の中東政策だ。ブッシュ大統領の評価は、北朝鮮問題よりもイラク、イラン問題で決まる。残り任期約一年となった同大統領はそのことを意識しているはずだ。 ブ…
「 まだ十分に報じられていない小沢氏のメディア批判とその意味合いの重要性 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年11月17日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 715 小沢一郎民主党代表が11月2日の辞任記者会見で語った内容のなかで、まだ十分に報じられていないのがメディア批判だ。非常に深刻な意味を持つこの問題提起は次のような内容だった。 「新聞・テレビの報道は明らかに報道機関の域を大きく逸脱している」「事実無根の報道が氾濫している」「ほとんどの報道機関が政府・…
「 信念なき福田首相こそ問題だ 」
『週刊新潮』'07年11月15日号 日本ルネッサンス 第286回 10月30日と11月1日、都合3回の党首会談から生まれた大連立構想とその後の小沢一郎民主党代表の辞任を巡る混乱で、メディアの批判は小沢氏と民主党に集中している。そもそも自民・民主の大連立構想を画策してきたのは『読売新聞』の主筆、渡辺恒雄氏と見られるが、『読売』は、「壊し屋」「『変わらなかった』小沢氏」「決定的なイメージ悪化も」など…
「 官僚と業界の腐った関係にメスを入れる「官民人材交流センター」の無力化を懸念 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年11月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 714 10月29日、衆議院テロ防止特別委員会で行われた守屋武昌前防衛次官の証人喚問は、防衛省の抱える問題の根の深さを痛感させた。 省にもなれず、長年肩身の狭い思いをしてきたのが防衛庁だ。それは他省の出向組が、防衛庁に対して格が違うと、無言で示し続け、〝参事官〟として自衛隊員の頭上に立ち、日本の安全保…
「 機能するかに見える福田首相の調整能力 だが難問打開には突き動かす信念こそ必要 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年10月27日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 712 福田康夫首相は、森・小泉政権の官房長官として1,289日間務めた。官房長官としては最長記録となったこの間、内閣の顔として巧みな調整能力を発揮した。福田氏への評価はそのまとめの技への評価で、政治哲学や信念などとは無縁のものだ。氏の調整能力の高さは、政治家としてよりも、むしろ秘書や事務方として輝くもの…
「 何も変わらない、調整型政治 」
『週刊新潮』'07年10月11日号 日本ルネッサンス 第283回 「花も実もない所信表明」……それが10月1日の福田康夫新首相演説への感想だ。ついでにいえば、新味もなく夢もない。気概も気迫もないという印象だ。 「自立と共生」が福田内閣の基本理念だそうだが、小沢一郎民主党代表が「その言葉はボクが20年前から使っていた」「口先で言ってもだめだ」と牽制したように、必ずしも福田首相自身の発想ではない。…
かつての姿に戻っただけの自民党 政変の背後に蠢く幾人かの人物
『週刊ダイヤモンド』 2007年10月6日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 709 9月26日に発足した福田康夫新内閣の特徴はいわゆる古い自民党体質の温存と官僚重視にある。 古い自民党体質は党の役員人事に明らかだ。だが、福田氏と特に親しいわけでも、党の実務に精通しているとも思えない伊吹文明氏を幹事長に任命したことは意外だった。福田氏と伊吹氏の共通項を強いて挙げれば、官僚重視という…
「 福田康夫新首相は官僚がお好き 」
『週刊新潮』 '07年10月4日号 日本ルネッサンス 第282回 新首相、福田康夫氏は一体どんな人物か。「平時ではない」、つまり党存亡の危機故に立ったと語る氏はどんな姿勢で政治に臨むのか。 そのことを知る手懸かりのひとつが拉致問題への対処である。自民党総裁選の最中、麻生太郎氏が、福田氏は拉致被害者の家族に死亡情報を断定的に伝えたと理解していると述べたとき、福田氏は珍しく反論した。゛私が断定した…