「兵力の支えなき外交では正しい主張も敗北を免れない」
週刊ダイヤモンド』 2008年1月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 771 2009年は日本にとって覚悟の年になる。日本の浮沈をかけた懸命の改革が必要な年だ。まともな独立国として、まともな外交政策を推進できない場合に日本が直面する事態を、潮匡人氏が『やがて日本は世界で「80番目」の国に堕ちる』(PHP研究所)にまとめた。 元航空自衛隊員の氏の、具体例に支えられた分析には強…
「対日強硬策の中国と緊密化する米国 日本は傍観していてはいけない」
『週刊ダイヤモンド』 2008年12月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 769 米国ではオバマ新政権の誕生を前に、すでに新しいアジア政策が進行中だ。その特徴は際立つ親中国政策である。有力シンクタンクの一つ、ピーターソン国際経済研究所所長のバーグステン氏は、先進八ヵ国首脳会議(G8)に代わって米中が二ヵ国会議(G2)を主催し、世界の重要事を決めるべきだと主張する。バーグステン氏…
「米オバマ次期政権の陣容発表で高まる対日要求の激化懸念」
『週刊ダイヤモンド』 2008年12月6日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 767 オバマ次期米国政権の閣僚が決まりつつある。特徴は、クリントン政権の焼き直し拡大版とでもいうべき陣容にある。その様子は、八年前、ジョージ・ブッシュ氏の政権が発足したとき、父ブッシュ政権の閣僚の多くが復活したのと同じ構図である。米国では、人材は共和党、民主党に大別されるかたちで能力知力を磨き、自分…
「韓国の危機、中国が支配確立か」
『週刊新潮』’08年11月27日号 日本ルネッサンス 第339回 11月14、15日、ワシントンで開催された主要20ヵ国による緊急首脳会議(金融サミット)に併行して、日中韓財務相会合が開かれた。3ヵ国は、金融危機に際して互いに外貨を融通し合う「通貨交換協定」(通称チェンマイ協定)の支援枠を拡大することで意見が一致した。 チェンマイ協定は97年から98年にかけて起きたアジア通貨危機を教訓として…
「国家の土台を蝕む権力と果敢に闘う“言論人の手本”」
『週刊ダイヤモンド』 2008年11月22日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 765 10月末、韓国の言論人、李度迴ゥ(イ・ドヒョン)氏にお会いした。氏が「髮ゥ南(ウナン)愛国賞」の第一回受賞者に選ばれ、有志によるお祝いの会が日本で開かれたのだ。 同賞の名称は、李承晩大統領の号を取って髮ゥ南とされた。趣旨は「建国60周年を迎え、自由、民主の建国理念を忠実に守り、親北朝鮮・反逆政…
「原潜事故が警告するロシア軍拡」
『週刊新潮』’08年11月20日号 日本ルネッサンス 第338回 北海道積丹半島のあたりから西へ約400キロ、ウラジオストク東のウラジーミル湾付近でロシアのアクラ級の原子力潜水艦「ネルパ」が事故を起こした。 400キロの距離は、東京を起点にすれば西は京都、北は気仙沼の手前あたり。放射能汚染につながりかねない事故は、比較的近いところで発生した。死者は20人、21人が負傷。原因は消火装置の誤作動と伝…
「日本無視、米中の壁に挑め」
『週刊新潮』’08年11月6日号 日本ルネッサンス 第336回 日々、国会の解散時期についての情報が新聞各紙で報じられる。けれど、激変する国際情勢を見れば、日本に現時点で総選挙を行うような余裕があるのだろうか。疑問である。 麻生太郎首相は今回の金融危機を〝100年に一度あるかないかの危機〟と言った。激変は金融だけではない。日本に大きな影響力を及ぼす米国が文字どおり、激変中である。いまは、日…
「戦略なき日本に、日米同盟の危機」
『週刊新潮』’08年10月30日号 日本ルネッサンス 第335回 10月19日夕方、中国の軍艦4隻が船団を組んで津軽海峡を横断、日本海側から太平洋側に抜けた。 4隻は、ロシア製の駆逐艦ソブレメンヌイ級、中国製で最新鋭のフリゲート艦ジャンカイⅠ級と同Ⅱ級、それに補給艦だ。ソブレメンヌイ級駆逐艦は、米国も恐れる音速の4倍速のミサイルを搭載する。同ミサイルは海面6メートルの超低空で飛行するため、レーダ…
「今、日米関係を前向きに見直せ」
『週刊新潮』’08年10月23日号 日本ルネッサンス 第334回 10月11日、ブッシュ政権が、北朝鮮をテロ支援国家のリストから外したことは、安全保障に関して、米国依存の日本に安保・外交体制の根本的かつ前向きの見直しを迫るものだ。 6ヵ国協議を舞台に、一層進む米中関係の緊密化の結果、日米関係はこれから本当に厳しくなるだろう。日本は自ずと厳しさを増す日米関係の齟齬と摩擦を賢く乗り越え、如何に…
「中国、援助外交でラオス侵食」
『週刊新潮』’08年9月18日号 日本ルネッサンス 第329回 「メコン川にマンハッタンのようなビルが並び立ち、ラオスは中国に乗っ取られます。中国のアジア進出を傍観しては、日本の存在感はますます希薄になります」 こう語るのは日本在住のラオス人研究者である。時計回りに、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国の5ヵ国に包み込まれる形のラオスを舞台に、ここ数年、凄まじい中国進出が進行中だ。歴…