「 迷走のオバマ外交と日本の選択 」
『週刊新潮』 2009年4月23日号 日本ルネッサンス 第359回 オバマ政権の外交政策が迷走中だ。北朝鮮がテポドン弾道ミサイルを発射した5日、大統領は直ちに国際社会のルールを破った北朝鮮について、「違反は処罰されなければならない。強力な国際社会の対応が必要だ」と述べて、強く非難した。 日本も同様に厳しい対処を主張し、国連安全保障理事会での決議の採択を目指した。「決議」はすべての国連加盟国に…
「 テポドン騒動で明らかになった米国から日本へのメッセージ 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年4月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 785 4月5日に日本列島を飛び越えた北朝鮮の長距離弾道ミサイル、テポドン2号改良型が日本にもたらしたのは、自力で国を守れる水準まで軍事力の整備を急げ、というごく平凡な教訓だ。 ミサイル発射への国際社会の対応は二つに割れた。国連安全保障理事会では日米両国が厳しく北朝鮮を非難したのに対し、中露両国は冷め…
「 米国が日本を守り得ない可能性を示唆した軍事報告書 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年4月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 784 米国防総省は3月25日、2009年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を発表した。オバマ政権になって初めての報告書から、米国の中国政策の微妙な変化が読み取れる。 8回目となる今回の報告で、米国は、中国が初めて海中からの核攻撃能力を身につけたことを明記した。米本土への攻撃が可能な潜水艦発射弾道…
「 温暖化はCO2の所為ではない 」
『週刊新潮』 2009年4月9日号 日本ルネッサンス 第357回 3月8日から10日まで、ニューヨークで「反地球温暖化対策」のシンポジウムが開かれた。温暖化はCO2増加による現象であり、CO2削減の先頭に立たなければならないとして、対策に万全を期そうとしている日本にとっては、思いがけないシンポジウムだが、主催は米国保守系シンクタンクの「ハートランド研究所」、今年の参加者は、昨年…
「 『中国核実験』の惨状 」
『週刊新潮』 2009年4月2日号 特別レポート 日本ルネッサンス 拡大版 第356回 「ガン発生率が35%も高い」 ウイグル医師が語る「中国核実験」の惨状 3月18日、東京・千代田区の憲政記念館で、シンポジウム「シルクロードにおける中国の核実験災害と日本の役割」が日本ウイグル協会主催で開かれた。 新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)での中国の核実験の惨状をいち早く突き止め、世界に発信…
「台湾の野党党首が危機を訴える台中経済協力の“罠”」
『週刊ダイヤモンド』 2009年3月28日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 782 台湾の野党民主進歩党の主席、蔡英文氏は40代、歯切れがよいうえにきわめて論理的な女性だ。 17日早朝に行われた記者会見では、今民進党の党首として高い支持を受け、台湾の将来の指導者となる可能性もある蔡氏の発言に注目が集まった。前主席で総統だった陳水扁氏が掲げた台湾独立路線を維持するのかとの彼女へ…
「海の防衛に海保・海自を強化せよ」
『週刊新潮』’09年3月5日号 日本ルネッサンス 第352回 日本は、38万平方キロの領土面積を基準にすれば世界で61位だが、領海と排他的経済水域(EEZ)を足せば447万平方キロ、世界第6位の海洋大国だ。広大で豊かな海の存分な活用が、日本の未来の安全と繁栄に欠かせない。だが、その海を中国が猛烈に侵しつつある。 昨年12月8日、中国海洋調査船2隻が、尖閣諸島に3.5キロまで迫った。この明白な…
「『暗黒牢獄』への投獄が続く中国 日本は中国国民を支える発言を強めよ」
『週刊ダイヤモンド』 2009年2月21日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 777 スイスのジュネーブに本部を置く国連人権理事会で、二月九日、中国の人権弾圧問題が集中的に取り上げられた。「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」紙が伝えたところによると、中国人の証人が次々と体験を語っている。 銀行員の46歳の男性は、家を奪われそうになり地元役場に訴えたが解決されず、北京の…
「海上自衛隊”武器制限 ソマリア派遣”に異議あり」
『週刊新潮』’09年2月5日号 日本ルネッサンス・拡大版 第348回 櫻井 ソマリア沖に横行する海賊退治に国際社会が力を結集しつつあります。中国は昨年暮れに軍艦2隻と補給艦を合わせた3隻の派遣を決め、すでに「大国」としての働きを開始しています。韓国も軍艦の派遣を決めました。他方、日本は3月末あたりを目処に海上自衛隊を送りたいと議論しています。 そこで、民主党副代表で、安全保障の専門家でもいらっ…
「オバマ大統領の就任演説は期待はずれ 対日政策と環境政策に多大な懸念」
『週刊ダイヤモンド』 2009年1月31日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 774 1月21日午前2時(日本時間)のバラク・オバマ米国新大統領の就任演説は期待はずれだった。メディアでは米国も日本も、新大統領への期待値を高めるばかりの報道が目立ったが、大統領のメッセージにはその熱狂に応えるだけの大戦略も力強さも欠けていた。 新政権の評価は、まず、100日間、仕事をする…