「米オバマ次期政権の陣容発表で高まる対日要求の激化懸念」
『週刊ダイヤモンド』 2008年12月6日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 767 オバマ次期米国政権の閣僚が決まりつつある。特徴は、クリントン政権の焼き直し拡大版とでもいうべき陣容にある。その様子は、八年前、ジョージ・ブッシュ氏の政権が発足したとき、父ブッシュ政権の閣僚の多くが復活したのと同じ構図である。米国では、人材は共和党、民主党に大別されるかたちで能力知力を磨き、自分…
「韓国の危機、中国が支配確立か」
『週刊新潮』’08年11月27日号 日本ルネッサンス 第339回 11月14、15日、ワシントンで開催された主要20ヵ国による緊急首脳会議(金融サミット)に併行して、日中韓財務相会合が開かれた。3ヵ国は、金融危機に際して互いに外貨を融通し合う「通貨交換協定」(通称チェンマイ協定)の支援枠を拡大することで意見が一致した。 チェンマイ協定は97年から98年にかけて起きたアジア通貨危機を教訓として…
「金融危機、日本の価値で打開せよ」
『週刊新潮』’08年10月16日号 日本ルネッサンス 第333回 10月3日、最大で7,000億ドル(約74兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取ることを柱とする金融安定化法案を、米国下院が可決、同法が成立した。米国発の金融危機が世界恐慌に直結する事態は、とりあえず回避された。 とはいえ、同時期、パリで首脳会議を開催した英仏独伊の4ヵ国は、欧州連合(EU)が歩調を一にする対処策を打ち…
「 なぜ日本経済は〝一人負け〟になったか 」
『週刊新潮』'08年2 月7日号 [特集] 日本ルネッサンス・特別編 第299回 経済大失速を招いた「福田首相の無策」 1月21日、官邸記者団との会見で、株価下落は政府の政策不在が原因だと言われていると質されると、福田康夫首相は気色ばんで言った。 「そんなふうな専門家はいますか? ちょっとお顔を拝見したい」。プライドを傷つけられた首相の苛立ちを冷笑するかのように、株価は翌日も下げた。 他方、…
「 技術大国・日本は「中国の下請け」になる 」
『週刊新潮』'07年12 月20日号 [特集]日本ルネッサンス・拡大版 第293回 日本は戦後、安全保障も外交も基本的に米国主導の下でやってきた。一人前の国家でなくとも、経済だけは世界一の水準を達成し、幾世代もかけて磨き上げた優れた技術を誇ってきた、と私たちは考えてきた。 しかし、いまや、経済、技術分野においてさえ日本は敗北しつつある。日本の技術にかげりが生じたからではない。21世紀の地球経…
「 先を見た中国の国際標準化戦略 国益意識が低い日本の最悪のシナリオ 」
『週刊ダイヤモンド』 2007年11月24日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 716 インド洋での海上自衛隊の補給活動を再開するための新テロ対策特別措置法案が13日、衆院本会議で可決され、参院に送られた。だが、混迷を極める国会では同法案は審議開始の目途さえ立っていない。 政党に党利党略は当然だが、政党も政治も日本国と国民のためにある。党利党略を超えた国益がなければならず、国益は…
「 かつての“接待汚職事件”で引責辞任した屈辱をお忘れか 福井氏に求めたい真のけじめ 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年7月1日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 647 国家の衰退は、その国のエリート集団の行ないに顕著に表れる。その意味で、福井俊彦・日本銀行総裁が村上ファンドへの投資を総裁就任以降も継続していたことを深刻に考えざるをえない。 日本の株価は外国資本の流れ方によって大きく左右される。加えて、個人投資家の資金も重要な要素の一つだ。それだけ多く…
「 特会改革の方向は正しいが国益という発想が欠落している 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年3月4日号 特集 「特別会計」を解体せよ! 第2の予算400兆円利権をめぐる攻防 閣議決定された「特別会計の見直しについて」は、政治家が官僚群に太刀打ち出来なかったことを物語っている。改革自体は正しいにもかかわらず、なぜ、最終的に骨抜きにされてしまうのか。私は道路公団改革を連想せずにはいられない。 おカネは魔物である。それを持つ人、組織、国の…
「 為替相場への介入を含め日本の賢い対応が求められる米国経済の悪化とドル安 」
『週刊ダイヤモンド』 2004年12月4日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 570 チリのサンティアゴで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、ブッシュ・米国大統領は「強いドルを支持する」と言い、シュレーダー・ドイツ首相は「米国の財政赤字がドル安の最大の原因」だと指摘した。シュレーダー首相の政策や考え方は、往々にして方向違いだと思わせられることが多いが、今回は正し…
「 巨大商業銀行システムはケインズ体制からの脱皮で真の自己責任経営確立を 」
『 週刊ダイヤモンド 』 2003年6月28日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 499回 長年株式市場に携わり、それにコミットしてきたドイツ証券の武者陵司氏が、経済の歴史から見て、今は経済の体質が変わりつつあるとでもいうべき転換点に来ている、と語る。 これまでの経済とは何か。それは錬金術を用いて実力以上の繁栄を享受してきた戦後の世界経済だという。錬金術は、主として三つの要素からなる…