「 五輪中止論、背景に政局の蠢き 」
『週刊新潮』 2021年5月27日号 日本ルネッサンス 第951回 5月17日、「朝日新聞」は朝刊一面左肩で「菅内閣支持急落33%」と報じた。小見出しは「『安全安心な五輪』納得できぬ73%」だ。 朝日新聞は紙面、社説やコラムなどで菅義偉首相の武漢ウイルス対策、緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置の適用、ワクチン入手に至るまで、批判してきた。17日の記事は支持率急落や五輪開催反対論の増加を…
「 動物行動学が切り出す日本の問題 」
『週刊新潮』 2021年5月20日号 日本ルネッサンス 第950回 七つの章に約60本の記事、もしも私に目が三つあったら、3本の記事を同時に読みたいくらい面白い本が送られてきた。『ウエストがくびれた女は、男心をお見通し』(WAC)だ。「なんとイヤらしいタイトルか」と思って見たら、著者は竹内久美子さんだった。 動物行動学の研究者として名高い彼女の記事は切り抜いて保存している私である。す…
「櫻井よしこvs西岡力」敗訴でも「慰安婦報道」を永遠に反省しない朝日新聞
自らペンで反論する術を持ちながら、司法の場で争いを仕掛けた男の訴えは退けられた。濡れ衣を着せられたのはジャーナリストの櫻井よしこ氏と麗澤大客員教授の西岡力氏。真実を勝ち取り、判決後に初めて顔を合わせた二人が、過ちを省みない「真の敵」を喝破する。 5年以上に及ぶ長い法廷闘争が遂に終わりを迎えた。元朝日新聞記者の植村隆氏が、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と麗澤大学客員教授の西岡力氏が執筆した雑誌記…
「 日米首脳会談、総理が背負った課題 」
『週刊新潮』 2021年4月29日号 日本ルネッサンス 第948回 バイデン大統領とは通い合うものがあり、昼食のハンバーガーに手もつけず互いの人生について語り合った。こう振り返った菅義偉首相の表情は安堵と喜びを表していた。 4月17日、首脳会談を受けて発表された共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記され、日本が「自らの防衛力強化を決意した」こと、米国が「核を含むあらゆる手…
「 脱炭素の鍵は原発の活用だ 」
『週刊新潮』 2021年4月22日号 日本ルネッサンス 第947回 菅義偉首相の訪米が迫る4月12日、米国の気候変動問題担当大統領特使、ジョン・ケリー氏が訪中するとの見通しが報じられた。実は同2日、菅首相とバイデン大統領との首脳会談が突如1週間延期されたとき、日米首脳会談前にケリー氏が訪中して気候変動問題への米中の取り組みを摺り合わせておくためではないかとの憶測が流れた。最終確定ではないが…
「 日米首脳会談、独立国の気概持てるか 」
『週刊新潮』 2021年4月15日号 日本ルネッサンス 第946回 4月16日、日米首脳会談が行われる。バイデン大統領の最初の対面形式の会談相手が菅義偉首相であることについて菅首相は4日、フジテレビの番組で「バイデン政権そのものが日本を重視している証だ」と語った。 日本への期待の大きさが見てとれるが、そのひとつがバイデン政権の重点政策、2050年までの温暖化ガス排出差し引きゼロ政策(…
「 危機感欠如の楽天・テンセント提携 」
『週刊新潮』 2021年4月8日号 日本ルネッサンス 第945回 世の中が急変し、古い仕組みが新しい仕組みに取って代わられようとするとき、大事なことは新局面で生き残るために何が必要かを考え、確実に実行することだ。すべきことは、➀正しい現状分析、➁解決法の突きとめ、➂その実行、に尽きる。 わが国日本は右の三つのことを成し遂げ得るか。それが3月26日の「言論テレビ」の主題だった。番組で具…
「 米中苛烈、中国の時間稼ぎを許すな 」
『週刊新潮』 2021年4月1日号 日本ルネッサンス 第944回 3月18、19の両日アラスカで行われた米中会談は中国の本音を巧まずして暴露した。中国はもう少し時間稼ぎをしたいのである。 激しい応酬や威嚇的な言葉を削ぎ落として、時系列で事実関係を辿れば、バイデン政権の対中外交における予想以上の周到さが見てとれる。 中国の全国人民代表大会(3月5日~11日)を受けて、バイデン米大…
「 ケネディ教授、「米国は衰退しない」 」
『週刊新潮』 2021年3月25日号 日本ルネッサンス 第943回 3月9日、シンクタンク「国家基本問題研究所」が主催した国際セミナー「アメリカは衰退するのか」で、国基研副理事長で、ニクソン研究で名高い田久保忠衛氏と共にポール・ケネディ教授と鼎談した。 米国東部、コネティカット州にあるイエール大学近くの自宅からリモートで参加したケネディ教授は、早々と準備して音声チェックなどに当たって…