「 田中真紀子前外相更迭で小泉内閣の批判は不適切 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年2月16日号 オピニオン縦横無尽 433回 田中真紀子氏の人気は絶大なようだ。だが、彼女が外相に就任して以来の約9ヵ月間の言動を時系列で見ると、これほどその言葉に信頼のおけない人物も珍しい。日本の国益を担うべき立場の外務大臣としてこれほど不適切な人物もまた珍しい。 ニッコリ笑ったときの彼女の愛敬や聴衆を唸らせる歯切れよく威勢のよい言葉から離れて、客観的に彼女の…
「 小泉首相よ、ベートーヴェンになれ 」
『週刊新潮』 2002年1月3・10日号 日本ルネッサンス 第1回 この冬もまた「第九」の季節がやってきた。歌えば高揚するあの詩。大正6年の初演から、ベートーヴェンの生地ドイツも含めて、日本ほど第九を演奏する国はおそらく他にはないだろう。 それにしても、ベートーヴェンが第九の最終楽章に組み入れた「歓喜の歌」、シラーの詩はフランス大革命の自由、平等、友愛を誇らかに謳いあげ、人間の尊厳を賛美し、…
「 『議員立法提出(10月10日)』に注目せよ!1票の格差是正で日本はガラリと変わる 」
『SAPIO』 2001年10月24日号 緊急提言 「構造改革」も「利益誘導政治消滅」もここから始まる 対談:すぎやまこういち氏(作曲家・「一票の格差を考える会」代表) 民主主義の基本はすべての権利が平等に与えられることである。にもかかわらず、日本では民主主義の基本となる選挙制度に大きな問題点がある。1票の価値が地方と都市とで大きな差が生まれているのだ(※1)。この矛盾について根本的な解決…
「 イタリア式かオランダ式か アメリカと同じ運命を辿るのがベストとはいえない 」
『Voice』 2001年9月号 森永卓郎・櫻井よしこ対談 特集 日本経済「自力再生プラン」 景気を回復させること自体はいとも簡単 森永(三和総合研究所主席研究員): 小泉さんが構造改革を訴えて登場したら、女性たちのあいだで大フィーバーが発生しましたね。先日、羽田空港国際化の問題で呼ばれて自民党本部に行ったら、売店で小泉首相のポスターを求める女性たちが行列していました。私もつい買いそうになり…
「 米国のインド重視を日本の政治家は理解しているのか 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年7月21日号 オピニオン縦横無尽 第405回 “予算案が与党の反対で通らないようなことになれば、私が自民党をぶち壊します” “小泉改革に反対する自民党議員はいても一人かそれくらい。反対している人も(改革の主旨が)わかれば強力に後押ししてくれる” 小泉首相の威勢のよい言葉と、改革反対論者への巧みな誘い込みのメッセージが連日のように発信されている。圧倒的な世論の…
「 田中外相が外交・外務官僚に対し私情で判断・行動しないよう望む 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年6月23日号 オピニオン縦横無尽 第400回 田中外相をめぐって連想するのは「熱狂」と「暴走」という民主主義につきものの2つの言葉である。彼女への支持率は8割を超す。人気のもとは、外務官僚をバシバシとやっつけるあの舌鋒の鋭さである。“煮ても焼いても食えない”外務官僚が多いだけに、それはそれで胸のすく想いにはなる。 だが、田中VS外務官僚の対立の構図を考えると…
「 首相より時給高い各省審議会の天下り官僚の報酬を断罪する 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年6月16日号 オピニオン縦横無尽 399 6月6日の国会は、小泉内閣になって初めての党首討論で盛り上がった。党首討論では、小泉首相が野党党首を圧倒する勢いだったが、委員会をみると野党議員の健闘が目立っていた。 たとえば衆議院決算行政監視委員会である。民主党の上田清司議員が非常におもしろい調査結果を突きつけた。各省庁の下にはさまざまな審議会があるが、審議会委員や…
「 サッカーくじ『toto』なぜ文部科学省の所轄なのか 」
『週刊新潮』 2001年6月7日号 櫻井よしこ告発シリーズ 第5回 サッカーくじ“toto”が始まった。所管官庁の文部科学省はこれを“スポーツ振興投票”と呼ぶが、“toto”はイタリアのトトカルチョから名前をとったように、歴としたギャンブルである。 サッカーくじの導入は、文部科学省が、自らが所管する特殊法人を通じて、従来はアマチュアスポーツの分野にとどめていた活動をギャンブルの胴元としてプロ…
「 田中真紀子外相は各国の歴史教科書を読んで勉強すべきだ 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年5月26日号 オピニオン縦横無尽 第397回 田中真紀子外相が、外相就任時に、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書について、「いまだに歴史をねじ曲げようとする人びとがいる」というコメントを出した。5日後に、外相は問題にされた扶桑社の教科書そのものを読んでいないことを認めたが、日本国を代表する外相としては、国際的にも注目されている非常にセンシティブな問題について…
「 『住宅金融公庫』はホントに国民のためになったか 」
『週刊新潮』 2001年5月24日号 櫻井よしこ告発シリーズ 第3回 特殊法人・住宅金融公庫は財政投融資の最大の借り手である。融資残高75兆円の内、74兆円までが財投資金、つまり、国民の郵便貯金や年金積立金及び、簡易生命保険からの借り入れである。 また、住宅金融公庫は、並みいる特殊法人の中でも飛び抜けて高い利子補給金の受け手である。つまり、国民が最も重い税負担をして支えている特殊法人である。…