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2002.02.09 (土)

「 田中真紀子前外相更迭で小泉内閣の批判は不適切 」

『週刊ダイヤモンド』 2002年2月16日号
オピニオン縦横無尽 433回

田中真紀子氏の人気は絶大なようだ。だが、彼女が外相に就任して以来の約9ヵ月間の言動を時系列で見ると、これほどその言葉に信頼のおけない人物も珍しい。日本の国益を担うべき立場の外務大臣としてこれほど不適切な人物もまた珍しい。

ニッコリ笑ったときの彼女の愛敬や聴衆を唸らせる歯切れよく威勢のよい言葉から離れて、客観的に彼女の言動を振り返ってみよう。

たとえば日米関係について。米国のミサイル防衛(NMD)に関して田中外相は当初それを批判した。日本政府は同構想に対し明確な支持は打ち出していないものの、弾道ミサイル攻撃に対する懸念を共有するという立場から、米国がNMDの検討、開発に取り組むことは「理解する」という立場だった。日本政府と外相の立場の食い違いが表面化したあと、田中氏は同構想を「理解」するとの立場に変わった。ところが、外遊先の外国のテレビ局での取材に応じて、「理解」から一歩踏み込んで「支持する」と述べてしまった。

「批判」「理解」「支持」へと田中氏の言葉は変節した。好悪の感情を超えて、日本にとって最重要の二国間関係が日米関係である。その日米関係と安全保障問題について、短時日のうちに、これほど意見の変わる外相には、外相の資格がないのである。

言葉のみならず、その言動が国民の利益を著しく阻害した事例に金正男不法入国事件がある。周知のように北朝鮮には政府が認めているだけで10人の日本人が拉致されている。この人びとの解放を実現させる直接の最高責任者は外相である。外相の選挙区である新潟県からは横田めぐみさんも拉致されている。

にもかかわらず、金正男の不法入国を知らされた田中氏は、金正男を早く出国させるよう指示したとされる。直接の責任者として拉致された国民、その家族への思いに欠けるのではないか。

枚挙にいとまのない、と言うべき外相としての失態に、全国紙のすべてが、社説を掲げて田中氏の資質を疑問視し、全国紙は揃って事実上、田中氏の更迭を主張した。それでも田中氏の人気は衰えなかった。理由は、改革をやってくれるからというものが多い。だが、彼女は本当に外務省改革をやったのか。

たとえば、田中氏の柳井俊二前駐米大使への姿勢をどう評価すればよいのだろうか。機密費問題の責任をとらせるとして外務省の歴代四次官の更迭を主張したのが田中氏だった。これは当然の処分である。ところが、田中氏は6月に訪米した際の柳井大使の骨折りに接して、一転して、四次官の一人だった柳井大使の留任を主張し始めた。

当時は、5月にアーミテージ国務副長官との会談を直前でキャンセルし、田中外相の米国での評判は芳しくなかった。その田中氏と米側要人の会談をセットした柳井大使の尽力に接して田中氏は大使を留任させようとしたのだろうか。だが、同大使が他の歴代次官と較べて、責任を逸れるとは思えない。田中氏は外務省改革に私情を交えたと言われても仕方がないのだ。

田中氏のなかでは往々にして「公」と「私」が混同され順序が逆になっていると思われる。昨年6月21日、氏は鈴木宗男氏の質問時間を制限するよう衆院外務委員会に申し入れた。この行動の非常識さについて外相の国会答弁は「不誠実」であり、質問時間制限の動きは「論外」と日経が社説で厳しく指摘したほどだ。

その田中氏が今回は正しかった。NGOやNPOを排除する動きには、私も強く反対する。外務省も鈴木宗男氏も厳しく批判されるべきだ。

であるとしても、田中氏の更迭が小泉内閣への厳しい批判に直結するのは、有権者が田中氏の全体像を見ていないからだと考えざるをえない。

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