「 警戒せよ、情勢大変化の予兆 」
『週刊新潮』 '06年11月23日号 日本ルネッサンス 第240回 米国議会中間選挙での共和党敗北は、朝鮮半島情勢の大変化と日本 への深刻な衝撃をもたらしかねない。 11月10日の『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)は、ラムズフェルド国防長官の更迭とロバート・ゲイツ新長官任命の意味を、ブッシュ・ドクトリンの終焉だと一言で断じた。ブッシュ・ドクトリンとは、民主主義や自由の価値…
「 日本周辺がすべて核保有国となった今 真剣な核議論こそ政治家本来の役割 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年11月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 666 「この時期に議論しなければいつするのか」。自民党政調会長の中川昭一氏が言っているのは、核議論のことだ。 北朝鮮の核実験発表を機に、国際社会は北朝鮮への制裁の方法と程度について議論した。日本と米国が厳しい制裁を提案しても、中国は決して乗ってはこない。非難決議にかたちのうえでは加わっても、実…
「 日米関係の重要性を再確認せよ 」
『週刊新潮』 '06年3月9日号 日本ルネッサンス 第205回 2月22日、イラク中部サマラで起きたイスラム教シーア派の聖地「アスカリ聖廟」の爆破をきっかけに激化したイラク国内の宗派の対立は、日本に対米、対イラク外交の注意深い再検討を迫るものだ。 アスカリ聖廟を爆破した犯人は特定されていないが、シーア派は対立するスンニ派への報復攻撃を繰り返し、死者は日々増え続けている。両派の対立には千数…
「 暴露された防衛施設庁の談合 国防の重要性を担う発想が完全に欠落している 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年2月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 628 防衛施設庁の談合事件から連想するのは日本道路公団改革だ。両者の失敗の中心にはいずれも技官がいる。道路公団の技官集団は、自力では借金返済が難しい水準にまで公団の経営を悪化させ、なお、特大の赤字が避けられない第二東名高速道路の大規模工事に着手する愚を犯した。施設庁の談合事件の全容解明はこれ…
「 日米同盟がなぜ今重要か 米軍基地機能はなぜ必要か… 首相は信念を持って説得せよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年11月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 618 沖縄の米軍基地移転問題に解決の糸口はあるのか。難しい問題だが、日本の国益のためには解決を見出さなくてはならない。 11月11日、首相官邸で全国都道府県知事会議が開かれ、沖縄県の稲嶺惠一知事は小泉純一郎首相に対して、先に政府が提案した普天間飛行場の移転先をキャンプ・シュワブの沿岸部に…
「 米軍普天間飛行場移設問題で調整役にすぎない日本政府 いまだ見えてこない長期戦略 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年10月29日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 614 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題がようやく“最終段階”に入ったと、「沖縄タイムズ」「琉球新報」が報じている。移転先は沖縄県北部の名護市であり、同市長の岸本建男氏は、普天間飛行場の移転先となる新たな基地受け入れに応ずることを公約に掲げて当選した人物だ。 さまざまなプロセスを経て、3つ…
「 米軍再編構想を機に問いたい 沖縄・米軍基地問題解決に向けた日本政府の取り組み 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年10月22日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 613 沖縄に集中する在日米軍基地問題が日本に突きつけているのは、日本ははたして独立国か、という問いである。 沖縄に行けば、米軍が使用する普天間飛行場がどれほど民家に近接し、危険であるかが見て取れる。普天間基地の移転はもう9年も前に合意され、以来、沖縄本島北部の名護市辺野古周辺に新たな基地を…
「 テロでも不動の英国に学べ 」
『週刊新潮』 '05年7月21日号 日本ルネッサンス 第174回 7月7日にロンドンを襲ったテロ攻撃で、地下鉄3ヵ所での爆発はほぼ同時の、午前8時50分頃に、50秒以内に続いて起きていた。周到に準備されたテロ攻撃であり、7月11日現在、まだ約20人が地下鉄内に取り残されているとみられる。 主要先進8ヵ国によるサミット開催に合わせたテロについて、欧米のメディアが大きく報じたことのひとつは、テ…
「 軽視できない中国海軍の最新鋭キロ級潜水艦購入 防衛予算は削るより増やせ 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年2月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 581 2月中旬、マラッカ海峡を抜けてマレー半島とスマトラ島のあいだを航行し、シンガポールの南端を回り込んで南シナ海を北上し続ける3隻の船の姿があった。中国のフリゲート艦(駆逐艦)2隻と貨物船1隻である。 フリゲート艦は「江衛(ジャンウェイ)」と「福清(フーチン)」である。両艦に守られるかたち…
「 命がけの行動だったイラクの国民議会選挙 “投票率60%”が持つ重み 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年2月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 579 戦いと流血のすえに行なわれたイラクの国民議会選挙は大成功だったといってよい。投票率は約60%と伝えられたが、この数字の意味はきわめて重い。なんといっても、投票に行くのは文字どおり、命がけの行動だったからだ。 選挙が失敗し、米国にダメージを与えることを目論むテロリストたちは、投票に行く…