櫻井よしこ オフィシャルサイト https://yoshiko-sakurai.jp/

櫻井よしこ オフィシャルサイト

  • 日本語
  • English
  • 小
  • 中
  • 大
  • Facebook
  • Twitter
  • ホーム
  • お知らせ
  • コラム
  • 著作一覧
  • プロフィール
  • お問い合わせ

コラム

  • 「コラム」の一覧を見る
2006.11.18 (土)

「 日本周辺がすべて核保有国となった今 真剣な核議論こそ政治家本来の役割 」

『週刊ダイヤモンド』    2006年11月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 666

「この時期に議論しなければいつするのか」。自民党政調会長の中川昭一氏が言っているのは、核議論のことだ。 北朝鮮の核実験発表を機に、国際社会は北朝鮮への制裁の方法と程度について議論した。日本と米国が厳しい制裁を提案しても、中国は決して乗ってはこない。非難決議にかたちのうえでは加わっても、実質的に北朝鮮を追い詰めようとしないのは、北朝鮮の現状こそが中国の国益に合致しているからだ。追い詰められた北朝鮮の金正日総書記が、中国に国土の切り売りを進めている今、朝鮮半島の北半分を昔の高句麗王朝の領土と重ね合わせ、それは中国の一部だったと主張する中国は、名実共に、北朝鮮の中国化を狙って歩を進めている。 一方、韓国の盧武鉉大統領は11月6日に韓国の国会で施政方針演説を行い、北朝鮮の核実験を言葉で批判しつつも、北朝鮮支援プログラムは続行すると明言した。米国とのあいだで具体的に問題視されてきた金剛山観光事業も開城工業団地の開発も、共に支援を続けるというのだ。 加えて、包容(太陽)政策は「速度の調整が必要」と述べた。つまり、太陽政策は中止せず、援助の与え方さえ調節すればよいというわけだ。現在中止中のフルスケールの援助再開を示唆しているのである。 この間、ついに核を持った金総書記は誰にもチェックされることなく、核ミサイルを発射する権力を持ち続けている。この人物を誰もチェック出来ない。加えて金総書記の北朝鮮は日本を敵視し続けてきた。 日本周辺は、中国もロシアもインドもパキスタンも、むろん同盟国の米国も、すべて核保有国だ。北朝鮮の核だけでなく、中国のミサイルも核も、日本列島すべてを射程に収めている。 この恐ろしい環境で、日本国政府がどのようにして国民と国土を守っていくかを論じないとしたら、そのことのほうが無責任である。核を手に入れた尋常ならざる国、常識の通じない国、あるいは常に日本をコントロールし、自国の国益のために利用しようと考える国から日本国民と領土を守るには、あらゆる手を考えなければならない。むろんそこには核保有の選択肢も入る。 核保有論議は非核三原則に反するという声がある。だが、三原則の「持ち込ませず」が打ち破られていることは、とうの昔、ライシャワー元駐日大使の証言によって明らかにされた。いまだに非核三原則を大前提として論議を進めるのは、真剣に日本の安全保障に取り組む努力を否定するものだ。現実から目をそらした論議は役に立たない。 北朝鮮までもが核を開発し、8番目の核保有国としての実績を世界に認めさせようとしている新しく困難な状況の下で、日本人が論ずべきは、残りの二原則、「作らず」「持たず」をどうするかでなければならない。 議論では当面、日米安全保障条約の核抑止機能を米国側の明確なコミットメントとして確立させていくことに焦点を当ててもよい。あるいは、かつて英国が行ったように、米国の協力の下、いつの日か日本が核を開発する可能性を論じてもよい。ただし、いかなる場合も、日本は米国に反するかたちで核保有を考えているのではないことを米国と世界に確約し、核を論議する目的が国家として当然の、国土と国民を守ることにあると説明すればよい。 核保有国に囲まれた日本、北朝鮮の明確な核の脅威に直面する日本。中川氏の指摘するように、今考えずして、今議論せずして、一体どうするのか。北朝鮮、そして究極的には、より脅威的な中国の核からわが国をいかにして守るのか。眠れないほど考え、工夫するのが政治家本来の役割だ。現状を見れば、中川氏の問題提起こそ正しい。自民党がその議論を否定するとしたら、自民党内の否定論者は国民に背を向けるものである。

Tweet Check
トラックバックURL:

トラックバック: 9件

  1. 核論議:今しなくていつするのか?

    いつもながら桜井さんの舌鋒はするどい。

    是非お読みください。

    http://blog.yoshiko-sakurai.jp/…

    トラックバック by 憲坊法師の徒然草 — 2006年11月21日  06:56

  2. 共同通信の偏向ぶり

    今回は岡山の地元紙、山陽新聞(平成18年11月15日)より、核保有論議についてのおかしな論文がありましたので引用します。

    ■核保有論議 廃絶の議論こ…

    トラックバック by 新・へっぽこ時事放談 — 2006年11月21日  15:15

  3. 櫻井よしこさんの「核」論と僕の「核」論

    >「日本周辺がすべて核保有国となった今 真剣な核議論こそ政治家本来の役割」(ys 2006年11月18日)

    >核保有論議は非核三原則に反するという声…

    トラックバック by 三界無安(サンガイムアン) — 2006年11月21日  17:44

  4. 日本の核兵器保有は可能!

     アメリカの中間選挙の開票が気になるところであるが、今朝(8日)の産経新聞に気に

    トラックバック by Empire of the Sun太陽の帝国 — 2006年11月29日  15:23

  5. 人類史上最も危険な思想1

    ●中国の核開発

     共産中国は、建国後の数年間、1950年代にアメリカから核兵器で繰り返し威嚇された。朝鮮戦争、インドシナ戦争、大陳諸島解放作戦の際であ…

    トラックバック by ほそかわ・かずひこの BLOG — 2006年11月30日  12:14

  6. ブッシュ政権がインドの核武装を容認

     国際政治の流れは、想像以上に早いものです。これまでの常識がいつのまにか通用しなくなることはよくあることです。だからこそ、先入観を持たずに国際政治の「冷厳…

    トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年12月24日  09:00

  7. ブッシュ政権がインドの核武装を容認

     国際政治の流れは、想像以上に早いものです。これまでの常識がいつのまにか通用しなくなることはよくあることです。だからこそ、先入観を持たずに国際政治の「冷厳…

    トラックバック by 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN — 2006年12月24日  09:00

  8. 対米依存で専守非核の日本1

     大東亜戦争で、わが国は、有史以来の大敗を味わった。多くの国民が、二度と戦争はしたくないと思った。また、国民の多数が核の廃絶を願った。GHQに押し付けられ…

    トラックバック by ほそかわ・かずひこの BLOG — 2006年12月27日  10:31

  9. http://kenkousizen.blog77.fc2.com/blog-entry-445.html

    トラックバック by 自然食だから健康。自然食は、有機・無農薬の野菜・玄米・雑穀・果物だけ。自然食は、化学肥料・農薬・食品添加物=合成化学物質=環境ホルモンの汚染が無いから72歳爺も60兆の細胞・核・ — 2007年07月03日  16:22

櫻井よしこ氏がネット新番組の発表をいたします。
「 日本周辺がすべて核保有国となった今 真剣な核議論こそ政治家本来の役割 」

新着記事

  • 2025年5月22日
    「 石破農水族内閣がコメ騒動の元凶だ 」
  • 2025年5月15日
    「 危機高まる、実戦並みの中国統合演習 」
  • 2025年5月8日
    「 自民党再生へ、萩生田氏の決意 」
  • 2025年4月24日
    「 中国の覇権に連合体制で対応せよ 」
  • 2025年4月17日
    「 中国に屈服する石破・岩屋外交 」

記事フィルタ

カテゴリ
月別アーカイブ

  •  ・番組出演のお知らせ(2025年3月20日)
  •  ・番組出演のお知らせ(2025年1月8日)
  •  ・番組出演のお知らせ(2024年12月24日)
  •  ・番組出演のお知らせ(2024年10月1日)
  •  ・番組出演のお知らせ(2024年9月9日)

新刊のご案内

暴虐国家
暴虐国家
異形の敵 中国
異形の敵 中国

  • 国家基本問題研究所 - jinf
  • 櫻井よしこ 公式Facebook
  • 櫻井よしこ 公式Twitter
このページのトップへ
creative comons

このサイトに掲載されているコンテンツは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。

Copyright © 2025 Ascent Co.,Ltd. All Rights Reserved.