「 米国が日本を守り得ない可能性を示唆した軍事報告書 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年4月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 784 米国防総省は3月25日、2009年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を発表した。オバマ政権になって初めての報告書から、米国の中国政策の微妙な変化が読み取れる。 8回目となる今回の報告で、米国は、中国が初めて海中からの核攻撃能力を身につけたことを明記した。米本土への攻撃が可能な潜水艦発射弾道…
「海の防衛に海保・海自を強化せよ」
『週刊新潮』’09年3月5日号 日本ルネッサンス 第352回 日本は、38万平方キロの領土面積を基準にすれば世界で61位だが、領海と排他的経済水域(EEZ)を足せば447万平方キロ、世界第6位の海洋大国だ。広大で豊かな海の存分な活用が、日本の未来の安全と繁栄に欠かせない。だが、その海を中国が猛烈に侵しつつある。 昨年12月8日、中国海洋調査船2隻が、尖閣諸島に3.5キロまで迫った。この明白な…
「海上自衛隊”武器制限 ソマリア派遣”に異議あり」
『週刊新潮』’09年2月5日号 日本ルネッサンス・拡大版 第348回 櫻井 ソマリア沖に横行する海賊退治に国際社会が力を結集しつつあります。中国は昨年暮れに軍艦2隻と補給艦を合わせた3隻の派遣を決め、すでに「大国」としての働きを開始しています。韓国も軍艦の派遣を決めました。他方、日本は3月末あたりを目処に海上自衛隊を送りたいと議論しています。 そこで、民主党副代表で、安全保障の専門家でもいらっ…
「深刻化する国家と非国家の戦い」
『週刊新潮』’09年1月29日号 日本ルネッサンス 第347回 パレスチナ自治区のガザ攻撃を続けてきたイスラエルが、17日夜、一方的に停戦を宣言した。米国のブッシュ大統領は、20日の任期切れ直前に、ようやく停戦を実現させたわけだが、死者は幼い子供や女性、お年寄りを含めて1,300人を超えた。 イスラエル軍の攻撃対象だったイスラム原理主義組織のハマスは、一時的に戦闘能力を低下させたものの、潰滅…
「兵力の支えなき外交では正しい主張も敗北を免れない」
週刊ダイヤモンド』 2008年1月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 771 2009年は日本にとって覚悟の年になる。日本の浮沈をかけた懸命の改革が必要な年だ。まともな独立国として、まともな外交政策を推進できない場合に日本が直面する事態を、潮匡人氏が『やがて日本は世界で「80番目」の国に堕ちる』(PHP研究所)にまとめた。 元航空自衛隊員の氏の、具体例に支えられた分析には強…
「対日強硬策の中国と緊密化する米国 日本は傍観していてはいけない」
『週刊ダイヤモンド』 2008年12月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 769 米国ではオバマ新政権の誕生を前に、すでに新しいアジア政策が進行中だ。その特徴は際立つ親中国政策である。有力シンクタンクの一つ、ピーターソン国際経済研究所所長のバーグステン氏は、先進八ヵ国首脳会議(G8)に代わって米中が二ヵ国会議(G2)を主催し、世界の重要事を決めるべきだと主張する。バーグステン氏…
「文民統制、曲解された日本の解釈」
『週刊新潮』’08年12月11日号 日本ルネッサンス 第341回 航空幕僚長の田母神俊雄氏が、民間企業主催の懸賞論文に応募し、世に発表した論文を咎められて更迭され、事実上退職させられた。 田母神氏退職前日の11月2日、『朝日新聞』社説は、「ぞっとする自衛官の暴走」の題を掲げ、田母神氏の主張は「一部の右派言論人らが好んで使う」「実証的データの乏しい」「身勝手な主張」と切り捨てた。 11月8日…
「原潜事故が警告するロシア軍拡」
『週刊新潮』’08年11月20日号 日本ルネッサンス 第338回 北海道積丹半島のあたりから西へ約400キロ、ウラジオストク東のウラジーミル湾付近でロシアのアクラ級の原子力潜水艦「ネルパ」が事故を起こした。 400キロの距離は、東京を起点にすれば西は京都、北は気仙沼の手前あたり。放射能汚染につながりかねない事故は、比較的近いところで発生した。死者は20人、21人が負傷。原因は消火装置の誤作動と伝…
「日本無視、米中の壁に挑め」
『週刊新潮』’08年11月6日号 日本ルネッサンス 第336回 日々、国会の解散時期についての情報が新聞各紙で報じられる。けれど、激変する国際情勢を見れば、日本に現時点で総選挙を行うような余裕があるのだろうか。疑問である。 麻生太郎首相は今回の金融危機を〝100年に一度あるかないかの危機〟と言った。激変は金融だけではない。日本に大きな影響力を及ぼす米国が文字どおり、激変中である。いまは、日…
「戦略なき日本に、日米同盟の危機」
『週刊新潮』’08年10月30日号 日本ルネッサンス 第335回 10月19日夕方、中国の軍艦4隻が船団を組んで津軽海峡を横断、日本海側から太平洋側に抜けた。 4隻は、ロシア製の駆逐艦ソブレメンヌイ級、中国製で最新鋭のフリゲート艦ジャンカイⅠ級と同Ⅱ級、それに補給艦だ。ソブレメンヌイ級駆逐艦は、米国も恐れる音速の4倍速のミサイルを搭載する。同ミサイルは海面6メートルの超低空で飛行するため、レーダ…