「 情報提供者に対する政府の国家らしからぬ扱いと無策 」
『 週刊ダイヤモンド 』 2002年11月30日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 471回 北朝鮮から逃れてきた数少ない在日朝鮮人、青山健熙(けんき)氏をめぐって、烈しい綱引きが行われている。 青山健熙は仮名である。彼は日本生まれの在日朝鮮人で、祖国に憧れ、1960年に祖国建設事業のため北朝鮮に渡った。38年間、彼(か)の国で種々の工作活動に就き、海外での仕事もこなした。幅広い仕事…
「 “孫の涙”で幕引きを狙った北朝鮮の意図はすでに崩壊 」
『 週刊ダイヤモンド 』 2002年11月9日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 468回 15歳の女の子はよく“戦った”。10月25日のフジテレビで、2時間にわたる特別番組の主役として取材に応じさせられた金恵京(キムヘギヨン)さんの姿を見て感じたことだ。 祖父母と確認された横田滋さんと早紀江さん夫妻は、15歳の少女に拉致事件のことを尋ねるのは酷であると抗議した。被害者の家族会も同様…
「 五人の帰国は謎解きの始まり 情報公開求める戦いの段階へ 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年11月2日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 467回 「親を取るか、子どもを取るか」。蓮池透さんが弟の薫さんの心境について語った言葉だ。24年ぶりに帰国した弟を、蓮池さんは明らかに日本にそのままとどめたいと考えている。 帰国当時の蓮池薫さんはじめ他の4人の方がたの表情は、固く暗かった。帰国した日の夕方、初めて記者会見に臨むために控え室に集っていたとき…
「 訪朝前に拉致被害者家族と会わなかった政府首脳の罪 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年10月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 464回 外務省アジア大洋州局長の田中均氏は、なぜだと考えているに違いない。だれもできなかった日朝首脳会談に漕ぎつけ、あの金正日氏から拉致を認める言葉のみならず、謝罪まで引き出したのだから、たいへんな功績を築いたはずと考えていたに違いない。 にもかかわらず、その後の日本の世論の展開は、外務省と政府の非を責…
「 拉致問題の解明どころか日朝交渉に新たな火種 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年10月05日号 ダイヤモンドレポート 日朝首脳会談で金正日がいとも簡単に認めた「拉致」の事実と謝罪に、小泉首相は功を急ぎすぎたか。8人死亡説の根拠もその事実関係もなんら解明されていないなか、北朝鮮側は難色を示しながらも調査団派遣を受け入れる。ジャーナリスト・櫻井よしこ氏が検証する「日朝平壌宣言」調印をめぐる政治判断の是非。 調査団派遣は成功するか 早くも小波…
「 友好や援助の通じない国を唯一動かせる要因は“力” 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年9月14日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 461回 小泉純一郎首相は差しの会談を得手とするという。 歴史問題や教科書問題が日韓間に軋轢(あつれき)を生じさせていたときでさえ、小泉・金大中両首脳の会談は周囲が驚くほど和やかに進んだと、首相周辺は語る。 確かに、ここぞと思うとき、首相の、相手に対する食い込みには並ならぬものがあるのであろう。トップ会談…
「 北朝鮮に譲歩は禁物 日本の主張を通してこそ交渉進む 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年4月6日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 440回 拉致問題に関する3月22日の北朝鮮の反応は、私たちに重要なことを告げている。外交は善意だけでは決して解決できない。突破口は、国民を守り通すという強い国家意思を持ち、揺らぐことなく、その一点を起点にすることによって初めて開くことができるということだ。 日韓首脳会談のために韓国を訪れた小泉首相は3月22…
「 実りなき譲歩をやめる時 」
『週刊新潮』 2002年3月28日号 日本ルネッサンス 第12回 3月12日に東京地裁で開かれた、よど号犯人の妻、赤木恵美子被告の公判で、同じくよど号犯人の元妻の八尾恵氏が、日本人拉致工作にかかわっていたことを証言した。有本恵子さんが19年前に語学留学先のロンドンから姿を消したのは自分の拉致工作の結果だというのだ。 八尾氏はまた、拉致はよど号のリーダー故・田宮高麿の指示によること、拉致には北…
「 『10人の拉致くらいで日朝交渉に影響あれば困る』という官僚 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年3月23日号 オピニオン縦横無尽 438回 3月12日のテレビ朝日の報道番組を見て、不思議に思ったことがあった。 画面には、「すみませんでした。私が誘拐しました。今まで黙っていてすみませんでした」と詫びる八尾恵氏の姿があった。 氏はよど号ハイジャック犯の元妻で、田宮高麿(故人)の指示により1987年に2人の子どもを置いて帰国した。彼女は83年にロンドンで、当時…
「 日本は国家か――拉致から25年 」
『週刊新潮』 2002年2月28日号 日本ルネッサンス 第8回 横田めぐみさんの拉致から今年で四半世紀、13歳だった少女が38歳になる。 御両親の滋さんと早紀江さんは、同じ境遇に陥っている人々の家族を代表して2月14日、小泉首相に手紙で訴えた。早紀江さんが語る。 「二つ、お願いしました。ブッシュ大統領来日の折り、首脳会談の議題のテロ対策に関連して拉致問題解決についても話し合ってほしい、東シ…