「 ウクライナ支援で独・仏を味方に中国を引きずり出した首相の深慮遠謀 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年6月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1088 「パックスアメリカーナ」から「パックスシニカ」の世界に変わるのか。 その歴史の転換点ともなり得る会議が6月7日からドイツのエルマウで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)だった。小ぶりの丸テーブルを囲んで語り合う首脳同士の会話を随所でリードした安倍晋三首相の姿は、日本が国際政治にお…
「 国際政治のプレーヤーの資格を得た日本 」
『週刊新潮』 2015年6月18日号 日本ルネッサンス 第659回 6月7日からドイツのエルマウで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)での首脳同士のやりとりは、日本が国際政治におけるプレーヤーになったことを物語っている。日本の新しいイメージが生まれたのだ。 アメリカ主導の世界が中国主導の世界へと大きく転換するのかどうか、いま、私たちはその局面に立つ。これから先、人類がどのよう…
「 国益観を欠く安保法制の国会論戦 ニクソン外交に学ぶ戦略的視点 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年6月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1087 安保法制に関連する国会論戦はわが国の政治家、殊に野党政治家に国益観が欠けていることを示している。 5月末にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」で、中国人民解放軍副総参謀長の孫建国氏は南シナ海問題でふてぶてしく開き直った。氏は演説で中国の埋め立てもインフラ整備も「軍事目的」であると…
「 南シナ海強奪で開き直る中国 」
『週刊新潮』 2015年6月11日号 日本ルネッサンス 第658号 5月末にシンガポールのシャングリラホテルで行われたアジア安全保障会議では、大国意識を隠そうともしない中国が堂々たる悪役を演じた。国際社会から如何なる非難を受けても、中国の行為がどれほど非道であっても、動ずることなく突き進むと、事実上、宣言した。 中国人民解放軍副総参謀長、孫建国氏は会議最終日の5月31日に演説した。絵…
「 財務省の教員削減は本質知らず 解決策は民間の力の活用にあり 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年6月6日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1086 5月26日、安倍晋三首相の開催する教育再生実行会議と、下村博文文部科学大臣の諮問に応える中央教育審議会の意見交換会が行われた。私は中教審の委員の1人として出席したのだが、交換会では近未来社会に生ずる大きな変化に対応する教育の在り方に注目が集まった。 下村文科相が、3つの未来予測を示した。…
「 せめぎ合う米中、日本の存在強化の好機 」
『週刊新潮』 2015年6月4日号 日本ルネッサンス 第657号 5月20日、米国防総省は最新鋭のP8対潜哨戒機で南シナ海上空を偵察した。翌日、世界に公開された映像には南沙諸島海域に展開する幾十隻もの中国艦船が映っていた。その数は私が想像していたよりもはるかに多く、中国が猛スピードで埋め立てとインフラ整備を進めていることを改めて痛感した。 中国は現在5つの島に侵略の手をかけている。ヒ…
「 憲法9条の下で無力な国にとどめたい理屈抜きの反日論説に惑わされるな 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年5月30日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1085 安倍晋三首相が4月末に行った米国上下両院合同会議での演説がどのような反応を引き起こしているか、米国の対日政策を調べている中で、ブルームバーグのジェームス・ギブニー氏の記事に行き当たった。「あしき安倍外交の責任はジョージ・ケナンにあり」という見出しである。 ケナンは米国を代表する戦略家で…
「 オバマ大統領の無策で南沙に真の危機 」
『週刊新潮』 2015年5月28日号 日本ルネッサンス 第656号 米中関係はいま、大きな山場にさしかかっている。南シナ海を中国が目指す中華帝国の核心的利益の具体例とするのか、それとも、アメリカや日本が貢献する自由な海洋にとどめるのかのせめぎ合いが続いている。 5月初旬、アメリカ海軍の艦船などを中国が南シナ海に築いた人工島の12海里以内に航行させることを検討するよう指示した。オバマ大…
「 首脳会談前に領土問題で激突 印中関係に見る本当の外交の姿 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年5月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1804 眼前で進行する世界の外交は、諸国が国益を懸けて激しく戦う実相を見せてくれる。ウクライナからクリミア半島を奪う際、核兵器使用の準備を整えていたとプーチン大統領は語った。 同発言は、「武器なき戦い」といわれる外交の背景には、常に軍事力が控えていることを、まるで外交の教科書のように見せてくれ…
「 左遷された片桐氏の至福の月日 」
『週刊新潮』 2015年5月21日号 日本ルネッサンス 第655号 「もう少し、あのとき頑張っていればよかったと、思うことがあるんです」 片桐幸雄氏は上梓したばかりの『左遷を楽しむ』(社会評論社)を前にこう語った。私は問うた。 「あのとき、精一杯やったじゃないですか。力を出しきって戦ったでしょう。もっと頑張ればよかったと言う理由は、何ですか」 片桐氏はここで言葉を濁した。…