「 硬軟織り交ぜた戦略を繰り出す裏で真意を巧妙に隠す中国のしたたかさ 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年5月16日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1083 4月末、米国を訪れた安倍晋三首相は日本の国際社会の立ち位置を新たな次元に引き上げた。祖父、岸信介元首相は約60年前、「日米新時代」という言葉で日本が米国と対等の立場に立つ気概を示した。 安倍首相はガイドラインの見直しを通じて、事実上、日米安全保障条約の改定を行った。これまで国家の危機に直…
「 欺瞞に満ちた「原発再稼働」差し止め 」
『週刊新潮』 2015年5月7・14日合併号 日本ルネッサンス 第654号 4月24日、インターネット配信の「言論テレビ」で、原子力が専門の北海道大学教授・奈良林直氏と法律が専門の名古屋大学名誉教授・森嶌昭夫氏をゲストに、福井地方裁判所の「決定」(判決)の疑問点を検証した。 福井地裁の樋口英明裁判長は、4月14日、関西電力の高浜原発3号機及び4号機(福井県)について「運転してはなら…
「 見事だったバンドン会議の安倍演説 中国ではなく日本に吹く歴史の追い風 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年5月2・9日合併号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1082 歴史の追い風を受ける安倍晋三首相は強運の人だ。4月22日、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)で首相が演説した。 「侵略または侵略の脅威、武力行使によって他国の領土保全や政治的独立を許さない」「国際紛争は平和的手段によって解決する」 このくだりはバンドン会議創設時の宣言だが…
「 中国の蛮行、後手に回り続けるアメリカ 」
『週刊新潮』 2015年4月30日号 日本ルネッサンス 第653号 アメリカのシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)のホームページに掲載されている何十枚もの航空写真ほど、中国の本音が透けて見えるものはない。南シナ海で猛烈な埋め立て工事を進めている中国の蛮行振りは、言葉では中々伝わりづらい。しかし、鮮やかな一群の写真を通して東南アジア諸国だけでなく、日本もインドもオーストラリアも、さ…
「 戦後70年談話、日本らしい貢献を説け 」
『週刊新潮』 2015年4月23日号 日本ルネッサンス 第652号 安倍晋三首相の訪米と米議会上下両院合同会議での演説の日が近づくいま、吉田茂、鳩山一郎、岸信介ら先人たちの考え方や日米関係が思われる。先人たちは、戦後、共産主義勢力と反共勢力の熾烈な闘いが日本を舞台にして展開される中で、必死に日本の国益を探った。GHQの日本占領は、マッカーサーの下、保守反共で知られる参謀第2部(G2)部長の…
「 川崎中学生殺害事件の実名報道で問われる少年法の在り方と情報公開 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年4月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1080 今年2月20日、川崎市の河川敷で13歳の上村遼太君が殺害され、1週間後、少年3人が逮捕された。3月12日付の「週刊新潮」が主犯とされた18歳の少年の顔写真と実名を報じ、少年法の在り方が問われている。 少年犯罪についてはこれまで、(1)顔写真の掲載や実名報道は少年法違反であり、少年の更生を妨…
「 これでよいのか、原子力規制委の暴走 」
『週刊新潮』 2015年4月16日号 日本ルネッサンス 第651号 福田康夫元首相が6日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に関して「先進国として拒否する理由はない。(拒否すれば)途上国いじめになるかもしれない」と述べ、日本の参加を促した。 途上国いじめとはどういう意味か。日本は長年、ODAで発展途上国を支えてきた。日本のODAの特色は、相手国の意思を基に資金と技術を提…
「 喧騒の中で花びらを散らす桜に静謐を感じる春のひととき 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年4月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1079 その光景にしばし私は見とれてしまった。不思議な光景だった。庭の桜の木から、ハラハラ、ハラハラと花びらが舞い落ちてくる。風もない凪の中で、ただ花びらだけが散り続ける。四方に広がる枝々から、静かに散り続ける。まるで優しい雨のように、舞い落ち続ける。 その様子はあたかも桜の木に意思があって、今…
「 川内原発の安全性、報道の偏り 」
『週刊新潮』 2015年4月9日号 日本ルネッサンス 第650号 3月17日、関西電力が福井県に立地する美浜原子力発電所1、2号機、日本原子力発電が福井県の敦賀1号機を廃炉にすると発表した。翌18日には九州電力が佐賀県の玄海1号機、中国電力が島根1号機をそれぞれ廃炉にすると決定した。 一方、停止中の原発の再稼働が足踏み状態だ。日本における原発の未来展望は非常に暗く、日本を除く少なか…
「 中国がアジアインフラ投資銀で仕掛ける米欧関係の引き裂き 」
『週刊ダイヤモンド』 2015年4月4日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1078 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が戦後体制を支えてきた米欧関係を引き裂き始めた。3月12日、英国がAIIBへの加盟を表明し、ドイツ、イタリア、フランスなどがここぞとばかりに追随し、水面下で不参加を呼び掛けたオバマ政権は、外交的大失敗だと批判されている。 中国はいかにしてAIIB参…