「 米新政権下、日本の気概が問われる 」
『週刊新潮』 2020年12月10日号 日本ルネッサンス 第929回 米国大統領選挙の結果はまだ正式には確定されていない。とはいえ、ジョー・バイデン前副大統領は人事を筆頭に政権構想を次々に発表し始めた。他方、トランプ大統領は選挙での不正投票を巡る法廷闘争に関して弱気に転じており、巻き返しの見通しは明るくない。 この間の11月12日、菅義偉首相はバイデン氏と電話会談をし、バイデン氏は尖…
「 官邸に乗り込んだ韓国高官の赤い影 」
『週刊新潮』 2020年12月3日 日本ルネッサンス 第928回 政治が激しく動くとき、怪しい勢力が暗躍するのは世の習いだ。 11月8日に来日した韓国の国家情報院(国情院)院長、朴智元(パクチウォン)氏はその典型だ。朴国情院長は4日間滞在し、まず二階俊博自民党幹事長、次に菅義偉首相に面会した。 国情院は韓国の情報機関だ。そのトップが他国の首脳に会うとき、通常は秘密裏に行動する。…
「 バイデン政権、上院次第で機能不全に 」
『週刊新潮』 2020年11月26日号 日本ルネッサンス 第927回 米大統領選挙の結果は米国が「一国二国民」(米外交問題評議会会長、リチャード・ハース)であることをはからずも露呈させた。 外交問題評議会は議会関係者や国際政治・安全保障の専門家にとって必読誌とされる「フォーリン・アフェアーズ」の発行元である。その会長であるハース氏は9・10月号の同誌に「分裂のさ中で――トランプは如何…
「 尖閣で試される菅首相の気概 」
『週刊新潮』 2020年11月19日号 日本ルネッサンス 第926回 世界の混乱に乗じて目標を達成するのが中国の手法だ。相手が事態の急変に対応できない時こそ好機と見て中国は襲ってくる。 米国はいま、大統領選挙を巡る混乱の極みにある。世界の耳目も米国の迷走に吸い寄せられている。中国が挑戦的行動に出ても米国の対応能力は低いままだ。中国が狙い定める尖閣諸島に手をつける可能性はかつてなく高い…
「 米大統領選と絡んだ習近平強硬路線 」
『週刊新潮』 2020年11月12日号 日本ルネッサンス 第925回 本稿執筆時点で米国大統領選挙の予測はつきかねるが、中国のこれからの世界戦略は10月下旬の中央委員会第5回総会(5中全会)である程度見えてきた。習近平国家主席は対米強硬策に向かうだろう。 そもそも習氏は5中全会で何を達成しようとしたのか。産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は、事前に乱れ飛んだ尋常ならざる量の人事情報から習…
「 設立当初から「赤い巨塔」の学術会議 」
『週刊新潮』 2020年11月5日号 日本ルネッサンス 第924回 日本学術会議は一体どんな組織なのか。歴史を辿ると設立当初から、日本を占領統治した連合国軍総司令部(GHQ)及び日本共産党と、深い関係にあったことが見えてくる。 10月23日、シンクタンク「国家基本問題研究所」で東京大学名誉教授、唐木英明氏の話を聞いた。唐木氏は2000年に学術会議の会員となり、08年~11年の3年間、…
「 宗教心なき中曽根元首相の葬送 」
『週刊新潮』 2020年10月29日号 日本ルネッサンス 第923回 戦後日本の歴史に大きな功績を残した故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が今月17日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で営まれた。昨年11月の死去から約1年後の準国葬である。 亡くなった人をどれだけ心をこめて葬送できるか、どこまで深くその人の想いに共感できるかは、残された功績をどれだけ未来に生かせるか、私た…
「 学術会議の反日、異常な二重基準 」
『週刊新潮』 2020年10月22日号 日本ルネッサンス 第922回 日本は普通の真っ当な国家になってはいけないというかのような日本否定の考え方はもう捨て去る時だ。論理矛盾とダブルスタンダードの日本学術会議を見ての感想である。 日本の学者・研究者は「今後絶対に」軍事研究はしない。なぜなら日本は過去に軍国主義に走ったから、という学術会議の掲げる1950(昭和25)年の「決意表明」は、日…
「 「学術会議」にモノ申した菅首相の英断 」
『週刊新潮』 2020年10月15日号 日本ルネッサンス 第921回 アカデミズムの権威の衣をまとった日本学術会議に菅義偉首相が物言いをつけた。菅首相の決定は英断であり、高く評価する。評価の理由は後述するが、まず、日本学術会議という組織を見てみよう。 同会議は、日本が米軍の占領統治下にあった昭和24年に設立された。戦時中、日本の学者、研究者、とりわけ科学者が「戦争に協力させられた」と…
「 核使用が前提、世界情勢の厳しさ 」
『週刊新潮』 2020年10月8日号 日本ルネッサンス 第920回 米国は尚武の国である。加えて説明責任を重んずる国である。 トランプ大統領のツイッターや言動を見れば、米国は迷走しており、政策は衝動的に提案されていると思えるかもしれないが、後述する中距離核ミサイル(INF)全廃条約の例に見られるように実態からは全く別の米国の姿が窺える。じっくりと考え抜かれた戦略があり、トランプ氏の政…