「 日本は価値観共有で危機を乗り越えよ 」
『週刊新潮』 2021年2月25日号 日本ルネッサンス 第939回 朝鮮半島情勢に詳しい韓国観察者の鈴置高史氏が興味深いことを語っていた。2月4日に行われたバイデン・文在寅両首脳による電話会談について、青瓦台(大統領府)が3種類の情報を出していたというのだ。 「米韓会談直後の発表では青瓦台は両国の海上協力については全く触れていません。つまり、米国は韓国を北朝鮮との関係における協力相手…
「 米政権、危うい教条的正しさ 」
『週刊新潮』 2021年2月18日号 日本ルネッサンス 第938回 バイデン政権発足から約3週間、彼らが何を目指しているのかが、ようやく少し見えてきた。2月5日の「言論テレビ」でジャーナリストの木村太郎氏が指摘した。 「バイデン政権の閣僚に極左は入っていませんが、強く左に傾くと確信したのが1月26日のスーザン・ライス氏の声明です。彼女の『人種公正構想』(Racial Equity I…
「 見えてこない米国のインド太平洋戦略 」
『週刊新潮』 2021年2月11日号 日本ルネッサンス 第937回 トランプ、バイデン新旧米政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官が、党派を超えて対中政策で幅広く合意した。ジェイク・サリバン新大統領補佐官は、正式に日米豪印4か国が構成する「自由で開かれたインド・太平洋戦略」の軍事的枠組み(クアッド)が、米国の国防政策の基本であると認めた。また、いくつかの前提を置いたうえでのことだが、ウイグ…
「 米国の出鼻をくじく中国の本気度 」
『週刊新潮』 2021年2月4日 日本ルネッサンス 第936回 中国の習近平国家主席が1月11日、中央党学校の開講式で演説した。李克強氏ら政治局常務委員、王岐山国家副主席を前にして、今後30年間は中国が歴史的大望を達成する時期だと習氏は語った。 「世界はこの百年で初めての大変化を経つつあるが、時と勢いはわれわれの側にある。この事実こそわれわれの定力〈ぶれない力〉と気概の源であり、決意…
「 米新政権、中国に圧倒される懸念 」
『週刊新潮』 2021年1月28日号 日本ルネッサンス 第935回 本稿が皆さんのお目にとまる頃、米国ではバイデン氏が大統領に就任し、民主党政権の政策が矢継ぎ早に発表されているだろう。それでも共和党政権のポンペオ国務長官をはじめロス商務長官らは、残りわずかな時間の中で厳しい対中政策を打ち出し続けている。 先週報じたように、ポンペオ国務長官は1月9日、長年米国の対中政策の基本であり続け…
「 ポンペオ氏、米中関係転換の決定打 」
『週刊新潮』 2021年1月21日号 日本ルネッサンス 第934回 任期が残り11日に迫った1月9日、ポンペオ米国務長官が鮮やかにケジメをつけた。米国はこれまで、「中国はひとつ」と中国政府が主張していることを承知し、米国と台湾の政治家、外交官や軍関係者の接触を「自主的に制限」してきたが、それらすべてを撤廃したのだ。 氏はこう述べている。 「台湾は活力に溢れた民主主義国で信頼すべ…
「 他人事ではない中国の「見えない手」 」
『週刊新潮』 2021年1月14日号 日本ルネッサンス 第933回 米国の歴代大統領は退任後すぐに回顧録を出すのが習性となっている。読者は世界中に存在し、最初からミリオンセラーが約束されている。出版契約料が日本の標準では考えられないほど高額なのも当然かもしれない。たとえばオバマ前大統領夫妻は6500万ドル(約68億円)を得た。私はこの余りの高額に驚きを超えて笑ってしまったが、それでも各大統…
「 新年の読書は『天皇の国史』だ 」
『週刊新潮』 2020年12月31日・2021年1月7日合併号 日本ルネッサンス 第932回 冬至がすぎ、新年が近づいてきた。新しい年がどんな年になるか、それは私たち日本人次第だ。 世界情勢の大混乱はどの国をもいためつけている。日本だけが武漢ウイルスの攻撃に晒されているわけではない。他方、ウイルスを撒き散らした中国は、いち早く経済再生をはかり、一番得をしているように見える。だが、彼ら…
「 統一朝鮮の核、日本の真の危機だ 」
『週刊新潮』 2020年12月24日号 日本ルネッサンス 第931回 日本が位置する北東アジア地域はいまやミサイルの密度でいえば欧州よりも高く、世界一危険な地域である。核兵器についても同様だ。 中国、ロシア、そして北朝鮮。全て核保有国だ。 一番近い半島国家、韓国と北朝鮮が万が一にでも統一すれば、南北合わせて180万の軍隊が出現する。しかも核とミサイルを保有し、日本を射程にとらえ…
「 中国のTPP横取りを許すな 」
『週刊新潮』 2020年12月17日号 日本ルネッサンス 第930回 中国の手法は時代が変わっても変わらない。一番賢いのは策略を巡らして相手を出し抜くことだと信じる民族は、政治体制が王朝であろうと共産党独裁であろうと、同じ発想で問題解決に当たる。その中国に、いま、日本は最大の警戒心を抱かなければならない。 彼らは長い年月をかけて米国を完全に騙した。その結果、念願の世界貿易機関(WTO…