「 歯止めはどうする、共謀罪 」
『週刊新潮』 '06年5月18日号 日本ルネッサンス 第214回 この国の安全について考えるとき、いつも疑問に思うことがある。なぜ、オウム真理教による一連の事件を、なぜ、北朝鮮による一連の拉致事件を、防ぐことが出来なかったのかという疑問である。 オウム真理教の犯罪については警察当局への情報提供は幾件もあった。拉致事件については1977年9月19日に石川県能都町(現・能登町)宇出津(う…
「 情報の取り扱いに混乱か 機密情報をめぐる両極端な判決に、司法は猛省せよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年3月25日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 634 一瞬、日本の裁判ではなく、発展途上の他国の判決ではないかと思ったほど、東京地方裁判所の判決は異常な内容だった。 東京地裁は14日、米国の健康食品会社への課税処分に関する報道をめぐって「読売新聞」の記者が民事裁判の証人尋問で取材源の特定を拒否したことについて、それを認めないとの決定を下…
「 日本文明からの逆襲か 秋篠宮妃紀子さまご懐妊で証明された皇室典範改正の拙速さ 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年2月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 629 秋篠宮妃紀子さまご懐妊の報は、性急に進められようとしている皇室典範改正に強いブレーキをかけるもので、まさに、日本文明からの逆襲ではないだろうか。 皇統の継承者は男系男子という2600年あまり続いた伝統から180度の転換を図る女系天皇、長子相続容認の基軸を打ち出した有識者会議の最終報告…
[特別レポート] 「 小泉首相の無関心が招いた『女帝論議』の誤り 」
『週刊新潮』 '06年1月5・12日号 日本ルネッサンス 第197回 神話の時代から2600年以上、世界最古の歴史を持つ皇室制度が、いま革命的に変わろうとしている。 日本を占領統治したGHQでさえも手をつけなかった、天皇家を天皇家たらしめてきた血筋に、手を加えようとするのが「皇室典範に関する有識者会議」の纏めた報告書である。 女系天皇の容認と長子優先を柱とする同報告書は、場合によって…
「 建築業界だけではない “姉歯事務所”を日本国政府も演じている審査能力欠落社会 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年12月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 620 「日本には真の意味の審査能力がありません」 これは首都大学東京学長の西澤潤一氏が語った言葉だが、姉歯建築設計事務所がマンションなどの構造計算書を偽造した問題から見えてくるのは、まさに西澤氏の指摘した審査能力の欠落である。プロフェッショナリズム、専門家の責任感と誇りの欠落と言ってもよい…
「 女系天皇容認案の矛盾と危険 日本文明無視の一方的結論とその手法は、第二のGHQだ 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年12月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 619 たったひと握りの人びとが、独善的にこの国の文明の土台を変えてよいはずがない。わずか10人による、ほとんど公開されてもこなかった議論によって、連綿と引き継がれてきた皇室のあり方を、革命的に変えてよいはずがない。 小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」の出した最終報…
「 幾世代にもわたる共同体意識 被災地を歩くと見えてくるこの国の根源的な再生への道 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年11月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 615 新潟県中越地震から1年が過ぎた。復興は進んでいるとはいえ、小千谷市や長岡市を歩いてみると、地震の被害はまだ生々しい。仮設住宅には現在も9,000人が暮らしており、自宅に戻るメドさえ立たない人も少なくない。 にもかかわらず、仮設住宅で会った人たちは一様に穏やかな表情である。自宅が全壊…
「 災害列島で成すべきこと 」
『週刊新潮』 '05年11月3日号 日本ルネッサンス 第188回 中越地震から1年、小千谷市と長岡市に足を運んだ。訪れる度に、被災地は少しずつ、しかし、着実に、復興を遂げている。関越自動車道も小千谷・長岡間がようやく開通した。最も激しい被害に見舞われた山古志村にも、来年の春には修復された国道が開通する予定だ。 一方で山々には大きくえぐられ、土が剥き出しになっている個所が幾つも残り、手つか…
「 深くて重い皇室典範改正問題 眼前の問題解決のための安易な女性天皇容認は慎重に 」
『週刊ダイヤモンド』 2005年7月30日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 602 日本の皇室はどのようなかたちで存続していくのか。また、皇室は日本人と日本にとってどのような意味を持ち続けることが出来るのか。 グローバル化時代といわれ、人類の交流はすべての面において国境の壁を低くしつつある。同時に、歴史や文化など民族の基盤の確立なしには、グローバル化時代の国際社会にの…
「 非常識を超えて、もはや恐怖 『人権擁護法案』が暗示する人権を弾圧する社会の到来」
『週刊ダイヤモンド』 2005年3月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 585 一度国会に提出されて猛反発を受け、廃案になった法案を、少しばかりの時間をおいてほぼそのまま出し直すという、じつに国民を愚弄し、無視するようなことが行なわれようとしている。「人権擁護法案」の提出がそれで、その中心にいるのが自民党の古賀誠氏らである。 同法案は2つの点において、その命名とは裏…