「 民主党らしさを損ねる言論封鎖 」
『週刊新潮』 2009年10月29日号 日本ルネッサンス 第384回 野党時代の民主党の最大の魅力は政策決定過程の透明性にあった。良くも悪しくも党内議論は活発だった。これでひとつの政党かと訝るほど、右から左まで幅広い人材で成り立つだけに、十分な議論なしには、極論が党の政策として打ち出されかねない実態がある。危うい政策を辛うじて水際で止め得ていたのは活発な党内議論ゆえだっただろう。 ところ…
「 鳩山外交の陥穽、東アジア共同体 」
『週刊新潮』 2009年10月22日号 日本ルネッサンス 第383回 鳩山由紀夫首相は実態不明の友愛精神で東アジア共同体構想を持ち上げた。東南アジアから賛否の声が起きている。 共同体構想は元々、中国が米国のアジアにおける存在を薄め、あわよくばアジアから排除することを狙って、日中韓+ASEAN諸国で構成するものとして提唱した。 中国は、米国さえ後ろについていなければ、日本を中国の支配下に…
「 温室効果ガス25%削減で国民はいくら負担するのか 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年10月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 807 日本時間の9月22日夜、鳩山由紀夫首相はニューヨークの国連本部で開かれた国連気候変動首脳会合の開会式で演説した。2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという中期目標を表明した。 目標値達成は、全ての主要国の参加による意欲的な目標の合意が前提となるとの条…
「 顰蹙を買う自民党議員の振る舞い 保守体制の立て直しに全力を尽くせ 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年9月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 805 9月8日、総選挙で大敗した自民党が、党本部で両院議員総会を開いた。約1時間20分、党立て直しの第一歩になるべき総会では、16日に行われる首相指名選挙で麻生太郎氏の名前は書きたくない、総裁選挙の新しいルールをつくってほしいなどの声が続いた。こうした言葉のどれ一つとして、聞く側の胸を打つものはない。 …
「 鳩山政権はどこを目指すのか 価値観がバラバラの民主党の危うさ 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年9月12日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 804 鳩山由紀夫民主党代表の論文が「日本の新しい道」という題で、「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」紙(IHT)に、8月27日付で掲載された。 内容が「反米的」だとして、親日派を含む米国知識人らのあいだに瞬時に広がった。同記事は「ニューヨーク・タイムズ」紙(NYT。電子版)にも掲載されたが、鳩…
「 民主党政権が運んでくる『教育荒廃』と『エコ破綻』 」
『週刊新潮』 2009年9月10日号 日本ルネッサンス 第377回 民主党の勝利に終わった総選挙から、2つのことが見えてくる。日本人の気概を奪い無力化を狙ったGHQの政策が60余年を経て結実したこと、自民党が自壊したことだ。 日本人の気概喪失と無力化は各政党のバラ撒き公約とそれに無批判な大方の反応に表われていないか。民主党も自民党も有権者に訴えたのは経済的にいかに多くを与えるかだった…
「 本当におかしくなった日本の姿がくっきりと浮かんだ“日の丸事件” 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年9月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 803 民主党が「日の丸」を破って2枚を継ぎ合わせ、民主党旗を作っていたことが、麻生太郎首相の指摘で明らかにされたのは、少し前のことだった。 国旗への敬意も繊細さも欠いている民主党とは対照的な出来事が、お隣の韓国で起きていた。先に死去した金大中元大統領の国葬の締めくくりの場面でのことだ。 ソウル国立墓地で…
「 政権奪取間近の民主党 問われる小沢一郎氏問題 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年8月1日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 799 8月30日の衆議院議員選挙で、民主党政権が誕生するだろう。政権政党として大丈夫かとの声を打ち消すように、同党は外交・安全保障政策などを大幅に見直しつつある。だが、一連の政策転換のあとにも、不安は残る。 それは小沢一郎氏問題である。寄り合い所帯の党を束ねて政権奪取に迫った力ゆえに、大半の党員は氏に物…
「 民主党は日本を担えるか 政権公約を早期に発表せよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年7月25日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 798 衆議院議員選挙の日程が8月30日に決まった。解散権は総理大臣一人の手にあり、その行使はどんな場面でも首相権限の強さを感じさせてきた。 だが、今はその力強さを感じさせる場面も盛り上がりもない。自民党政権の終焉と民主党政権の誕生の間近さが予定調和のように示されただけだ。 民主党政権誕生を前にして気…
「 自民党よ、負けるなら潔く負けよ 民主党と議論を戦わせて 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年7月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 796 自民党が内紛状態である。麻生太郎首相が党人事刷新の構えを見せれば、党長老も反麻生派も反対する。「麻生首相では選挙は闘えない」として、総選挙前の総裁交代を目指して、総裁選挙を行なえとの要求も広がっている。 自民党には、すばらしい人材も多いが、このような状況では人材がいたとしてもその力の生かしようがな…