「 北朝鮮制裁は中国を念頭に置け 」
『週刊新潮』 '06年7月20日号 日本ルネッサンス 第223回 米国の独立記念日に合わせて北朝鮮がミサイル7発を発射したことで、国連安全保障理事会を舞台にした攻防が展開中だ。本稿が出る頃には、日本提案の制裁決議案に中国がどう対応したのかが明らかになっているはずだ。 ミサイル発射後の内外の論調は、中韓両国など一部を除いて、北朝鮮に対して非常に厳しい内容だ。日本にとっては、直接的かつ現…
「 中国の陰謀、カナダの反日教育 」
『週刊新潮』 '06年6月29日号 日本ルネッサンス 第220回 カナダ・トロント在住の日本人の方から憂慮すべき手紙を受け取った。カナダで反日教育が進行中で、背後に中国共産党の情報宣伝活動があるというのだ。寄せられた情報はざっと以下のとおりだ。 「第二次大戦アジア史保存連盟」(通称ALPHA)という団体が企画して、カナダのオンタリオ州の歴史、社会科の教員24名を2004年夏、上海、…
「 恫喝外交では効果なしと対日政策を切り替えるか、中国 問われる日本の外交スタンス 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年6月24日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 646 中国大使の宮本雄二氏が信任状を手渡すため胡錦濤国家主席を訪れた6月10日、胡主席は「条件が整い、適当な機会に貴国を訪問することを願っている」と語った。 このニュースは「産経新聞」と「朝日新聞」の二紙が伝えたが、私は「朝日」の記事に目を引かれた。そこには、中国政府は小泉純一郎首相の今年…
「 節度なき中国に米国も不快 」
『週刊新潮』 '06年6月15日号 日本ルネッサンス 第218回 経団連新会長の御手洗冨士夫氏が極めて真っ当な発言をした。6月1日、大阪での記者会見で、経済同友会が先に小泉純一郎首相の靖国神社参拝に「ノー」を突きつけたことについて問われた折、こう答えた。 「小泉首相は適切に判断して行動している。経団連は過去に(靖国神社に関する見解を)とりまとめたこともないし、これからも予定はない」「国の…
「 北朝鮮援助の見返りで中国が手にした日本海への出口は東シナ海問題の本質を暗示 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年6月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 643 東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中間の交渉を、後世の日本人が検証したと仮定すれば、日本が四囲を海に囲まれた文字どおりの海洋国家であるにもかかわらず、海洋国家としての戦略を欠いた外交交渉だった。結果として、東シナ海のみならず、日本海においても、日本の領海と排他的経済水域の実質的使用権を中国に奪わ…
[特別レポート] 「 中国が日本に『軍事侵攻』する日 」
『週刊新潮』 '06年5月4・11日号 日本ルネッサンス 拡大版 第213回 戦争は、力が均衡しているときに起き易く、力が大きく離れているときには起きにくい。また、戦いに勝つには1対3の法則、つまり、相手方の3倍の戦力が必要だといわれる。 こうしたことを否応なく考えなければならないのは、中国の国家戦略が一貫して軍事力を基本に組み立てられているからだ。1949年の中華人民共和国の建国以…
「 米中首脳会談を前に態度を様変わりさせた中国の思惑 日本側の資源は必ず奪われる 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年4月29日・5月6日合併号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 639 東シナ海の天然ガス田開発に関して、中国政府が、日中中間線を越えた日本の排他的経済水域(EEZ)に、船舶の航行および立ち入り禁止海域を設け、中国海事局のホームページに掲載したのは3月1日だった。これを日本の海上保安庁が知ったのが同月下旬、官邸に情報が届いたのは4月14日だっ…
「 『マオ』が伝える中国の巨悪 」
『週刊新潮』 '06年4月20日号 日本ルネッサンス 第211回 『マオ 誰も知らなかった毛沢東』(ユン・チアン、ジョン・ハリデイ 講談社)を読めば、中国共産党と中国のおぞましさが一段と明確に見えてくる。 著者のユン・チアン氏は15年前『ワイルド・スワン』で文化大革命の背後にあった毛沢東、周恩来らの冷酷な権力闘争を丁寧に描いた。日本の中国専門家や大手メディアが賛美した文革が、実は血塗…
「 内部に芽吹く冷静な思考力が中国社会の将来を必ず変える その前に揺らぐのは日本の恥 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年4月8日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 636 3月28日付『読売新聞』朝刊が、中国政府系研究機関、社会科学院の元日本研究所長、何方氏の発言を伝えていた。内容は「歴史問題を日中関係の基礎にしてはならない」「歴史に決着をつけようとすれば、どんな国家と隣国の関係も、大国同士の関係もうまくいかない」というものだ。 氏は「歴史の決着を最優…
「 論外の中国案、ガス田共同開発 」
『週刊新潮』 '06年3月23日号 日本ルネッサンス 第207回 東シナ海の天然ガス田をめぐるせめぎ合いで、日中両国が展開する外交は、余りにも対照的だ。 たとえ相手を騙してでも目的達成を目指す勢力と、相手を信じたいと虚しく希望する勢力が相対すれば、敗れるのは後者だ。この場合、前者は中国政府、後者が日本政府であるのは言うまでもない。 3月7日に終了した第4回日中政府間協議での、中国側…