「 北朝鮮援助の見返りで中国が手にした日本海への出口は東シナ海問題の本質を暗示 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年6月3日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 643
東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中間の交渉を、後世の日本人が検証したと仮定すれば、日本が四囲を海に囲まれた文字どおりの海洋国家であるにもかかわらず、海洋国家としての戦略を欠いた外交交渉だった。結果として、東シナ海のみならず、日本海においても、日本の領海と排他的経済水域の実質的使用権を中国に奪われるままに放置した国益なき外交だった、と評されるのではないか。
今、中国の東シナ海および日本海への進出はすさまじい。中国側は長い時間をかけて戦略を練り、実行してきた。たとえば、中国はどのようにして日本海への進出を実現したか。
地図を見れば明らかなように、中国自身は日本海への出入り口を持つわけではない。そこで中国は北朝鮮を取り込んだ。2005年9月の米国による北朝鮮の金融制裁により、金正日政権は極端な資金ショートに陥っている。米国の制裁実施とは対照的に、中国は北朝鮮との経済交流を深め、着実に金正日を取り込んできた。見返りは、北朝鮮の事実上の併合である。
中国はこの1~2年間だけでも、北朝鮮に対する無償援助あるいは合弁事業を通じて、多くの工場を完成させてきた。たとえば、平安南道の大安親善ガラス工場、慈江道の熙川(ヒチョン)硬質ガラス容器工場、咸興市の苛性ソーダ生産工場、咸鏡南道の赴戦ジャガイモ澱粉工場、咸鏡北道の羅先基礎食品工場などである。そのほかにも、平壌市の勝湖鉄道青年発電所を筆頭に一二のプロジェクトが昨年秋以降に完成したとされる(「現代コリア」06年3月号)。
実際にどこまで中国の資金が入っているのか、発表されたプロジェクト完成の情報が正しいのかは不明だが、中国が肩入れの“見返り”を着実に手にしているのは明確だ。
たとえば、北朝鮮最大の鉄鋼資源、茂山鉱山の採掘権を50年間、わずか九億円で中国は手に入れた。中朝国境沿いの金鉱、炭鉱などの採掘権も入手した。
日本に対する直接の脅威ともなりうるのが、北朝鮮の日本海側にある羅津港の埠頭二基の長期使用権を中国が手にしたことだ。日本海への直接の出口を、彼らは初めて得たことになる。
この件については東アジア資料センター代表の花房征夫氏が詳しいが、中国は羅津港の50年間の使用権とともに、中朝国境から同港まで67キロメートルに及ぶ基幹道路の、これまた50年にわたる使用権を入手ずみなのだという。
04年、北朝鮮の総貿易額は約31億ドル、うち約14億ドルが中国だ。ちなみに韓国は約7億ドル、日本は2.7億ドルで、中国の突出ぶりは明らかだ。貿易と援助で、中国が金正日を支えていることを示す統計である。経済的に中国依存に傾かせたうえで、金正日から北朝鮮の国土の長期租借権を得る、という戦略が着実に実を結んでいるのだ。
中国が日本海に出口を得たことは、いくつものことを意味する。日本列島の日本海側の開発が進み、日本海側の港は日中貿易の新拠点となっていく可能性がある。
だが、深刻なのは、中国が日本海の実質支配に乗り出そうとすることである。それは、東シナ海における日中中間線を決して認めず、同海は中国の海だと主張する姿勢からも十分、予想出来る。東シナ海問題は、必ず日本海にも影を落とす。だからこそ東シナ海で尖閣諸島と海底資源を守り通すことが大事なのである。
しかし、そうした責任を日本政府はまったく果たしていない。とりわけ、東シナ海を事実上中国に渡すかのような外交を続ける二階俊博産業経済大臣らの責任は、将来にわたって厳しく指摘し続けなければならない。国益を基礎に日本外交の立て直しが必要である。
「上海協力機構」と「エイズの蔓延」・・今日の中国ニュース
◆米をけん制、反テロ協力強化 中央アジアの体制維持を支持−上海機構が共同宣言
宣言は 「政治体制の違いを内政干渉の口実にしてはならない」 「中央アジ…
トラックバック by 短く斬れ — 2006年06月15日 23:21
平和の使者はアホか!?
まだこんなこと言ってます…
民主・鳩山幹事長「小泉外交は破たん」…講演で批判
YOMIURI ONLINEより引用
>民主…
トラックバック by ☆独断雑記 XYZ — 2006年07月10日 12:44