「 内部に芽吹く冷静な思考力が中国社会の将来を必ず変える その前に揺らぐのは日本の恥 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年4月8日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 636
3月28日付『読売新聞』朝刊が、中国政府系研究機関、社会科学院の元日本研究所長、何方氏の発言を伝えていた。内容は「歴史問題を日中関係の基礎にしてはならない」「歴史に決着をつけようとすれば、どんな国家と隣国の関係も、大国同士の関係もうまくいかない」というものだ。
氏は「歴史の決着を最優先すれば、両国関係は絶え間ない悪循環に陥る」として、それが中国の戦略的利益に適うのかと問う。氏の指摘はもっともだ。ジョージ・ワシントンは米国建国の偉大な父だが、英国にとっては反英国革命を率いた反逆者であり続ける。どんなに親しい国同士でも、歴史認識の共有は不可能なのだ。
江沢民国家主席、胡錦濤国家主席と二代続く、歴史問題に軸足を置いた激しい反日政策に、冷静な視点からの批判を加えた何氏の発言が、この先、中国社会でどこまで議論を広げていけるかは疑問である。だが、何氏の発言に見られる冷静で知的な考えが、一つの流れとして、絶えることなく中国社会に存在しているのも確かだ。
連想するのは、3年前の『中央公論』および『文藝春秋』3月号で紹介された馬立誠氏の論文だ。「民族主義的反日論は有害無益だ」という馬論文は、日本でも非常に大きな反響を呼んだ。馬氏は中国の煽情的な反日論と排日的な民族主義を厳しく戒め、歴史問題について「日本の謝罪問題はすでに解決済み」と書き、日本の実績を見れば、日本こそ「アジアの誇り」と書いた。
馬氏はその後、発言の場を与えられなくなったのだろう。表舞台での活躍は伝わってこなくなった。だが、何氏の発言は馬論文と同じ流れにある。私自身も過日、興味深い人物と会った。元北京大学助教授で、『中国宣伝部を討伐せよ』という著書を日本で出版した焦国標氏である。
焦氏は中国共産党の宣伝組織、中央宣伝部の役割は「中国人の思想を特定の枠内に閉じ込めておくこと」であり、中央宣伝部は「手段を選ばず」「嘘、捏造、事実の歪曲のすべてを一貫して行なってきた組織」だと説明した。
焦氏はその後辞任に追い込まれ、すでに北京大学に籍はない。が、氏は希望を失わずに語る。今、中国には大きな地殻変動が起きつつあり、先頭に立つのが農民たちだと。
国民を農民と非農民に二分し、異なる戸籍を与え、農民を内陸部の貧しい地域に閉じ込め、その地域のインフラも整えず、教育も不十分のまま放置し、耕地を不法に取り上げる中国の実態は、すでに私たちも知るところだ。虐げられた農民たちが「法治主義」と「情報公開」を求め始めたことの重要性を、焦氏は次のように強調した。
「農民が暴動を起こすことはこれまでになかった。人権と法治に目覚めた彼らは、中国を新しいかたち、一党独裁ではなく多党制政治の国に引っ張っていくと思います」
中国で、民主主義や冷静で知的な思考が力を得ていくのにはまだしばらく時間がかかるだろう。しかし、日本こそ、その方向へ中国を引っ張っていく力になるべきだ。それにはまず、日本が揺らがないことだ。その意味で、27日の記者会見で小泉純一郎首相が、「靖国神社参拝に関して断固中国に譲らない、日本の立場を守る」と重ねて強調したのは正しかった。歴史問題で日本を非難することの過ちが、中国国内で今よりもっと大きな声で指摘される日は必ずくる。その前に日本が揺らぐのは、日本国の恥である。
もう一点、日本は全力で中国の民主勢力や言論人への励ましを表現することだ。「アジア人権賞」や「言論の自由賞」を設けて、日本国として顕彰してはどうか。そのことは、中国を含むアジア諸国の民主主義を後押しするだけでなく、必ず日本の地位をも高めてくれるはずだ。
日本人の嫌中は、天安門事件から
外務省オリジナルのグラフはこちら。朝日紙などでは天安門89年(平成元年)の部分が、カットされていました。
少し古いネタです。一般報道によれぱ、外務省…
トラックバック by about Anti-JAPAN — 2006年04月15日 01:32
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トラックバック by よろずBLOG — 2006年04月16日 23:10
ニッポンヘイワ
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読売の記事を読むと、韓国は約20隻の警備艇とヘリコプター数機、哨戒機1機などが参加。竹島周辺の韓国側排他的経済水域(EE…
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zyban abuse
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