「自公連立で力を失った自民党 麻生首相は本来の価値観に戻れ」
『週刊ダイヤモンド』 2009年2月7日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 775 1月25日、大相撲初場所で権太坊主の印象がぬぐえない朝青龍関が優勝した。麻生太郎首相が土俵に上がり内閣総理大臣杯の賞状を授与し、「やっぱり横綱は強くなくちゃ」と加えた。 誰の胸にも、かつて小泉純一郎元首相が貴乃花関に賞状を渡したときの鮮やかな場面が甦ったはずだ。だが、現首相、元首相の言葉の違いは大き…
「深刻化する国家と非国家の戦い」
『週刊新潮』’09年1月29日号 日本ルネッサンス 第347回 パレスチナ自治区のガザ攻撃を続けてきたイスラエルが、17日夜、一方的に停戦を宣言した。米国のブッシュ大統領は、20日の任期切れ直前に、ようやく停戦を実現させたわけだが、死者は幼い子供や女性、お年寄りを含めて1,300人を超えた。 イスラエル軍の攻撃対象だったイスラム原理主義組織のハマスは、一時的に戦闘能力を低下させたものの、潰滅…
「対日強硬策の中国と緊密化する米国 日本は傍観していてはいけない」
『週刊ダイヤモンド』 2008年12月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 769 米国ではオバマ新政権の誕生を前に、すでに新しいアジア政策が進行中だ。その特徴は際立つ親中国政策である。有力シンクタンクの一つ、ピーターソン国際経済研究所所長のバーグステン氏は、先進八ヵ国首脳会議(G8)に代わって米中が二ヵ国会議(G2)を主催し、世界の重要事を決めるべきだと主張する。バーグステン氏…
「韓国の危機、中国が支配確立か」
『週刊新潮』’08年11月27日号 日本ルネッサンス 第339回 11月14、15日、ワシントンで開催された主要20ヵ国による緊急首脳会議(金融サミット)に併行して、日中韓財務相会合が開かれた。3ヵ国は、金融危機に際して互いに外貨を融通し合う「通貨交換協定」(通称チェンマイ協定)の支援枠を拡大することで意見が一致した。 チェンマイ協定は97年から98年にかけて起きたアジア通貨危機を教訓として…
「原潜事故が警告するロシア軍拡」
『週刊新潮』’08年11月20日号 日本ルネッサンス 第338回 北海道積丹半島のあたりから西へ約400キロ、ウラジオストク東のウラジーミル湾付近でロシアのアクラ級の原子力潜水艦「ネルパ」が事故を起こした。 400キロの距離は、東京を起点にすれば西は京都、北は気仙沼の手前あたり。放射能汚染につながりかねない事故は、比較的近いところで発生した。死者は20人、21人が負傷。原因は消火装置の誤作動と伝…
「日本の惨めな外交を予言した中国高官の覆面座談会」
『週刊ダイヤモンド』 2008年10月25日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 761 「アメリカの外交政策に、拉致問題が影響を及ぼすことなんてありっこない」「最初からわかり切ったこと」「それをあたかも希望があるように報じてきた」「日本人って、その辺はお人好しだよね。われわれにはありがたいけどね」――。 ここで「われわれ」の立場から日本を論じているのは、中国外務省の課長補佐である…
「中国、援助外交でラオス侵食」
『週刊新潮』’08年9月18日号 日本ルネッサンス 第329回 「メコン川にマンハッタンのようなビルが並び立ち、ラオスは中国に乗っ取られます。中国のアジア進出を傍観しては、日本の存在感はますます希薄になります」 こう語るのは日本在住のラオス人研究者である。時計回りに、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国の5ヵ国に包み込まれる形のラオスを舞台に、ここ数年、凄まじい中国進出が進行中だ。歴…
「日本の評価を貶めた福田政権」
『週刊新潮』’08年9月11日号 日本ルネッサンス 第328回 9月1日夜、唐突に辞任会見を開いた福田康夫首相は、日本の国益上、最も不利な国際状況を作って去った。日本の命運の鍵を握る米中両国がいま、極めて重要な変化を遂げつつあるなかで、その変化の意味合いを理解せず、対応策もとらずに去った。 中国共産党は、党の生き残りをかけて、中国社会の変化と党政策のバランスをとろうと必死である。ネット人口…
「理念と意思を持った国家を前に持たない国家は譲歩を迫られる」
『週刊ダイヤモンド』 2008年5月3・10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 738 統治の基本を「実利主義」に置いて、はたして国家は成り立つのか。これこそが、韓国の李明博大統領の直面する課題である。 4月21日に来日した李大統領は、好印象を残した。大阪生まれ、祖国韓国に戻ってからの氏の苦労と努力、そして成功の物語は、どこかテレビドラマ「おしん」の人生に似ている。その軌跡は、日本人…
「首相に任せられるか、中国外交」
『週刊新潮』’08年5月8日号 日本ルネッサンス 第311回 外交は勝れて国益のためにある。個人の名誉や趣味のためではない。5月6日、中国の胡錦濤国家主席を迎える福田康夫首相は、その点を履き違えているのではないか。 日中首脳会談では日本にとっての重要問題が、中国にとっての重要問題とともに取り上げられなければならない。日本の国益に関わる両国間の懸案事項はざっと考えただけでも非常に多い。 尖閣諸…