「 貧困と過激派の芽が混在し難航するエジプトの政権移譲 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年2月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 875 オバマ大統領がエジプトのカイロに元駐エジプト大使のウィズナー氏を特使として派遣したのは、ムバラク大統領に即時、もしくは早期に退陣するよう説得するためだったと見られていた。 だが帰国したウィズナー氏は五日、オバマ大統領に、ムバラク大統領による政権維持が今致命的に重要で、米国は即時辞任など求めるべき…
「 対中売却凍結は最終解決ではない 」
『週刊新潮』 2010年12月2日号 日本ルネッサンス 第438回 新潟市中心部の5,000坪の土地を、中国政府に売るべきか否か。 新潟市長の篠田昭氏は、11月18日、土地売却案の凍結を発表したが、余震はおさまらない。「凍結」は時機がくれば解除され得るのに加えて、中国側の土地取得にかける意気込みの強さが窺えるからである。 問題の土地は新潟駅からわずか500メートル、市の中心部に位置する万代…
「 中国の狙う新潟での大中華街構想 」
『週刊新潮』 2010年11月11日号 日本ルネッサンス 第435回 いま、中国に最も狙われている県は新潟県だといってよいだろう。 5年前、中国は北朝鮮の日本海側最北の港、羅津(ラジン)の50年間の租借権を得た。租借は単なる貸与ではない。その地に行政権も及ぶ、まさに植民地時代の遺物のような契約である。 羅津港から中朝国境まで約60キロ、中国はここに幹線道路を作り、これも租借した。歴史上初め…
「 『検察判断』に逃げ込んだ『菅・仙谷』の卑怯者外交 」
『週刊新潮』 2010年10月7日号 日本ルネッサンス 第430回 尖閣諸島周辺の日本領海侵犯事件で菅直人、仙谷由人両氏の卑怯さほど、耐え難いものはない。 船長を逮捕するのか強制送還するのか。必ずや日中外交摩擦につながるこの重大問題の結論が政府の判断なしに下されることはあり得ない。 小泉政権下の2004年3月、尖閣諸島に上陸した中国人7人を自民党政権は強制送還した。小泉純一郎首相が記者会…
「 あぶない菅民主党外交の基盤 」
『週刊新潮』 2010年7月8日号 日本ルネッサンス 第418 菅直人首相が外交デビューしたカナダでの主要8ヵ国首脳会議(サミット)は、氏の外交音痴を曝露する場となった。 夕食会で、首相はいきなり「中国をG8に呼ぶことを考えてもいいのではないか」と提案したのである。G8は民主主義、国際法の遵守、知的財産の保護、人権擁護など、多くの価値観を共有する先進諸国の枠組みだ。その点でロシアを招じ入れた…
「 中国軍の脅威、問題外の日本の対応 」
『週刊新潮』 2010年5月20日号 日本ルネッサンス 第411回 東シナ海で進行中の事態はまさに日本の危機であり、異常事態だ。 奄美大島の北西320キロメートル、東シナ海の日中中間線から日本の排他的経済水域(EEZ)に40キロも入った海域で海上保安庁の測量船、「昭洋」が5月3日、中国の調査船に追尾されたのだ。 そこは日本のEEZである。どんな調査をしようが、国連海洋法で認められた日本の権…
「 国益の『嘘』と私益の『嘘』 」
『週刊新潮』 2010年4月8日号 日本ルネッサンス 第406回 鳩山由紀夫首相は、ひょっとして、“病気”なのではないか。こんな言い方は首相でなくとも誰に対しても失礼なことだと承知してはいるが、普天間飛行場移設問題に関する首相発言の変遷は、それほど異常である。 首相は3月29日夜、こう語った。 「今月中じゃなきゃならないということは法的に決まっているわけじゃない」 国民は皆、3月末まで…
「 米国の医療保険制度改革と中国の影響力増大の懸念 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年4月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 832 米下院は3月21日の日曜日深夜の本会議で、オバマ大統領の悲願である医療保険制度改革法案を成立させた。過去100年間、セオドア・ルーズベルト大統領以来、誰も成し遂げ得なかった改革を実現させたことで、オバマ大統領は歴史に名を刻んだといえる。 大変革だけに現実は厳しさを伴うだろう。それにしても、オバマ改…
「 捕鯨、怯まず正しさを主張せよ 」
『週刊新潮』 2010年3月4日号 日本ルネッサンス 第401回 2月21日、豪州を訪れた岡田克也外相は、西海岸の町、パースでスミス外相と会談した。世界屈指の美しさで知られるパースの自然とは対照的に、会談では鯨問題を巡る険しい対立が浮き彫りにされた。 南極海での日本の調査捕鯨に対して、米国の反捕鯨団体シーシェパード(SS)の妨害が続いているのは周知のとおりだ。SSは、本部を米国に置き、カナ…
「 CO2温暖化説を疑い始めた英国 なぜ日本に検証の動きはないのか 」
『週刊ダイヤモンド』 2010年2月27日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 827 まだ暗いうちから起き出して少し空が明るくなる頃、ちょうど仕事に区切りがついた。障子を開けてみて驚いた。庭一面、雪で覆われている。急いで障子を全開にして、雪の舞い降りる様を眺めた。なんと静かで美しいことか。 今年2度目の雪である。サクラの花の頃まで、まだ幾度か降るのだろうか。 …