「検査対象外だったメタミドホス 汚染米売却の裏に既得権益」
『週刊ダイヤモンド』 2008年9月27日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 757 大阪市の三笠フーズに端を発した汚染米転売事件は、その後、なお、広がりを見せている。食用には適さないコメを食用として不正転売していた業者は、 9月17日現在、三笠フーズをはじめ、名古屋市の浅井、愛知県小坂井町の太田産業、新潟県長岡市の島田化学工業の四社、汚染米の販売先は和菓子製造会社や病院、老人ホー…
「拉致、国民の憤りが解決の底力」
『週刊新潮』’08年9月25日号 日本ルネッサンス 第330回 去る9月15日、「拉致被害者家族会」「救う会」「拉致議連」の主催する緊急国民集会が、東京・永田町の星陵会館で開かれた。横田めぐみさんの拉致から32年目、増元るみ子さんも市川修一さんも、拉致されて30年がすぎた。 今年6月12日、北京で行われた日朝公式実務者協議で、北朝鮮が拉致問題の再調査と「よど号」乗っ取り犯5人の身柄引き渡し…
「もう一つの薬害エイズ感染 医療界、製薬業界と闘った母子」
『週刊ダイヤモンド』 2008年9月20日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 756 世の中に母親ほど強い存在はない。最初の取材から10年以上が過ぎた山本栄さんと語っているとそんな思いになる。67歳、身長140センチメートルの栄さんは、重い病気を抱える末っ子の義則さん(32歳)とともに、病魔だけでなく医療界や製薬業界とも闘ってきた。 義則さんは1986年、満九歳のとき、東京・築地…
「中国、援助外交でラオス侵食」
『週刊新潮』’08年9月18日号 日本ルネッサンス 第329回 「メコン川にマンハッタンのようなビルが並び立ち、ラオスは中国に乗っ取られます。中国のアジア進出を傍観しては、日本の存在感はますます希薄になります」 こう語るのは日本在住のラオス人研究者である。時計回りに、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国の5ヵ国に包み込まれる形のラオスを舞台に、ここ数年、凄まじい中国進出が進行中だ。歴…
「政治の何たるかを知る真の政治家はいないのか」
『週刊ダイヤモンド』 2008年9月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 755 福田康夫首相の突然の辞任で二本の記事が頭に浮かんだ。 一つは「月刊現代」8月号に堺屋太一氏が書いた「二代目の研究」である。8月1日発行であるから、当然、堺屋氏は脱稿の時点で福田首相の辞任など想定しておられない。同記事で氏は二世、つまり世襲が最も目立つのは、お寺さんと医療機関の経営者だとしたうえで…
「日本の評価を貶めた福田政権」
『週刊新潮』’08年9月11日号 日本ルネッサンス 第328回 9月1日夜、唐突に辞任会見を開いた福田康夫首相は、日本の国益上、最も不利な国際状況を作って去った。日本の命運の鍵を握る米中両国がいま、極めて重要な変化を遂げつつあるなかで、その変化の意味合いを理解せず、対応策もとらずに去った。 中国共産党は、党の生き残りをかけて、中国社会の変化と党政策のバランスをとろうと必死である。ネット人口…
「グルジア危機と台湾の不安 東西で揺れるアジア情勢」
『週刊新潮』’08年9月6日号 日本ルネッサンス 第754回 グルジア領内の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国をめぐって、ロシア対グルジア・欧米諸国の関係が急速に悪化している。日本のメディア、テレビメディアはあまり報じないが、まさに新たな冷戦の感が否めない。 プーチン路線の下でメドベージェフ大統領が強気の発言をしたのは8月26日だ。ロシア政府は前述の二つの自治区の独立を承認したうえで、「…
「粗にして雑、移民国家の自民党案」
『週刊新潮』’08年9月4日号 日本ルネッサンス 第327回 少子高齢化問題の解決には「海外からの移民の受け入れ以外にない」、日本は「移民立国への転換」を果たし、「総人口の10%を移民が占める移民国家」へ変身すべきだと自民党の中川秀直元幹事長らが提言した。自民党国家戦略本部「日本型移民国家への道」プロジェクトチームの「人材開国!日本型移民政策の提言」だ。 日本が政治難民や優秀な人材を受け入れ…