「検査対象外だったメタミドホス 汚染米売却の裏に既得権益」
『週刊ダイヤモンド』 2008年9月27日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 757
大阪市の三笠フーズに端を発した汚染米転売事件は、その後、なお、広がりを見せている。食用には適さないコメを食用として不正転売していた業者は、 9月17日現在、三笠フーズをはじめ、名古屋市の浅井、愛知県小坂井町の太田産業、新潟県長岡市の島田化学工業の四社、汚染米の販売先は和菓子製造会社や病院、老人ホーム、保育園など、全国三七五社に上る。まさに、日本人のモラルの低下ぶりを突きつけられた思いがする。
そもそも、なぜ、汚染米は輸入されたのか。1993年、細川内閣のとき、GATT(関税貿易一般協定)のウルグアイラウンドで、日本はコメ市場の実質的部分開放に踏み切った。毎年、国内消費量のうち一定量をミニマムアクセスとして輸入する代わりに、残りのぶんについては高い関税をかける仕組みである。この最低購買義務枠は現在77万6,000トン。約半分が米国産米、四分の一が中国産米、残りがベトナム、その他諸国からの輸入である。
すべて食用米として輸入されているが、実際の消費はだいたい、以下のとおりだ。77万トンあまりのうち、約10万トンは主食用として通用する良質米だ。また、年によって異なるが、10万~20万トンがアフリカ、アジアなどへの食料援助米として活用される。残りのうち、20万~30万トンは、コメ粒が割れていたりするために、味噌、醤油、煎餅などの加工用に消費される。こうして残った17万~27万トンが在庫になった。専門家が語る。
「これらも政府の低温倉庫に保管されていますから、質はそこそこ保たれています。たとえば、コメが不足していた昭和20年代なら、日本の消費者でも買ってくれたと思います。けれど、今は美食の時代で、もはや売れません。飼料用として売れれば売ると思いますが、それでも在庫は増えたのです」
では、今回判明した残留農薬メタミドホスや、カビ由来の発ガン性物質アフラトキシンに汚染された事故米は、いったい、なぜ日本に入り、食用流通ルートに乗せられたのか。
じつは、日本政府は2006年5月に輸入米の残留農薬に関する審査基準を改めた。一定量以上含まれていてはならない汚染物質を、それ以前の倍以上の 700余種類に拡大したのだ。このときにメタミドホスなどが、検査対象に加えられた。つまり、それ以前は、メタミドホスについては検査そのものが行なわれていなかったわけだ。
検査基準の改正を前に、06年5月に行なった輸入米の棚卸し調査で判明したのは、当時の在庫は203万トンに上っていたこと、残留農薬基準値を上回る汚染米は3,500トン存在し、それはメタミドホスによる汚染だったことだ。
汚染米を食用として流通させることは食品衛生法で禁じられている。この3,500トンについて、農林水産省はどうしたか。関係者が語る。
「農水省としては廃棄する選択肢もあったと思います。その場合、産業廃棄物となりますので、廃棄処分にはそうとうのコストがかかります。工業用として売却すれば、値段は極端に安くなっても、わずかながら収入が得られる。ただでも、引き取ってさえもらえれば処理のコストがかからない。コスト計算をすれば工業用売却が、財政負担なしに処理できる唯一の方法ですから、そうなったのだと思います。食用としての売却ではありませんから、それ自体問題はないわけですが、まったく追跡調査を行なわなかったことは問題だと思います」
ミニマムアクセスという国際公約を果たすために、食料自給率が四割を切った日本で壮大な量の汚染米が売られていくこの矛盾を正すには、既得権益でがんじがらめになっている農業の構造改革が必要だ。意欲のある農家を育てるための農業政策を具体的に論じ、実行しなければならない。
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