「 安倍新政権に求められることはまったき保守の価値観を貫くこと 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年9月30日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 659 強者には草木もなびき、歴史観も外交政策も正反対の人びとが安倍晋三氏の門前に列を成す。氏の課題はいかに彼らをさばき、自分なりの内閣をつくり上げるかである。 安倍政権誕生を前に、国民が何を欲しているかを、戦後の歴史から振り返る。氏の祖父、岸信介は総裁選で石橋湛山に敗れたあと、石橋の病による…
「 道路改革、それぞれの顛末 」
『週刊新潮』 '06年9月28日号 日本ルネッサンス 第232回 いよいよ小泉純一郎氏の政権が幕を閉じる。小泉政治を彩ったドラマのひとつが道路公団民営化である。 明らかな失敗に終わった民営化の顛末も興味深い。まず道路公団元総裁の藤井治芳氏である。 氏は03年10月、国土交通大臣から解任され、それを不服として東京地裁に処分取り消しの訴訟をおこした。地裁は今年9月6日、藤井氏の訴えを棄…
「 『悠仁親王』ご誕生でも低調な世論 皇室への無関心こそ最大の危機 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年9月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 658 秋篠宮家にお生まれになったお子さまは、9月12日、悠仁(ひさひと)と名づけられた。悠久の日本の伝統を継がれるのにふさわしいお名前である。お印の高野槇は日本固有の常緑樹で高くまっすぐに育つ。皇室の未来が、お名前とお印の示すように、悠久の歴史を偽りなくまっすぐに貫き、続いてほしい。 注目さ…
「 『皇位継承』に突きつけられた課題 」
『週刊新潮』 '06年9月21日号 日本ルネッサンス「拡大版」 第231回 皇室に親王が誕生された。皇室をめぐる眼前の危機を救い、拙速な改革への静かなる峻拒となった親王の誕生は、何よりもまず、日本人に皇室について考え、学ぶ時間を与えてくれた。 戦後の教育で、日本人は殆ど自国の歴史を学んでこなかったが、皇室についてはとりわけそうだ。皇室の歴史や由来、それが日本という国にどんな形で織り込…
「 対露外交で取るべき正攻法は? Part.2 道義的に優位な日本こそ力を蓄えよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年9月16日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 657 暴力による支配を軸に成り立つ“力治国家”ロシアから日本固有の北方領土を、どうしたら取り戻せるのか。日本国際フォーラム理事長の伊藤憲一氏は、まず日本側が、対露認識を根源的に改めることだと指摘する。 ロシアが、ソ連時代も含めて今日まで、国際法も道義も踏みにじってきたことを日本は十二分に体…
[特別レポート]「 『小泉政権5年』を採点する[内政編] 」
『週刊新潮』 '06年9月14日号 日本ルネッサンス 拡大版 第230回 約5年間にわたる小泉政権の内政は、深い落胆なしには語り得ない。小泉純一郎首相は、攻撃の場面において最も冴えわたる。首相にとって政治は政局に他ならない。全ての事柄は、政敵を斃し、勝つための材料として値踏みされる。その事柄の国家にとっての意義とは無縁の次元で、小泉政治は展開されてきた。 首相を超現実主義のマキャベ…
「 日本外交はなぜ失敗するのか。日露外交を成功に導く要因は何か Part.1 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年9月9日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 656 開国以来、日本は外交で多くの敗北を重ねてきた。対中、対露外交では、領土問題を筆頭に、現在も深刻な問題を抱えている。成功だと評価される小泉純一郎首相の対米外交でさえ、危うさがつきまとう。 日本外交の失敗は、自他を相対化出来ないところから始まる。最も顕著な例が日露外交だ。日本国際フォーラム…
[特別レポート]「 『小泉政権5年』を採点する[外交編] 」
『週刊新潮』 '06年9月7日号 日本ルネッサンス 拡大版 第229回 小泉純一郎首相が間もなく退任する。約5年間、高い支持率を維持した小泉政権は稀なる強運の政権だった。危機を、大いなる好機へと反転させる首相の手法は余人の及ばぬものでもあった。運と勘で支えられた小泉政権にはしかし、その分、綱渡りにも似た危うさが終始つきまとった。 小泉外交は玉石混淆だ。手つかずのまま放置されたロシア問題…
「 はじける笑顔の雅子妃に複雑な思い 皇室はなんのために存在するのか? 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年9月2日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 655 8月18日、皇太子ご一家がオランダに到着され、オランダ王室のお出迎えを受けて撮影された写真が各紙の一面を飾った。「はじける笑顔」と見出しを付けた社もあったほど、雅子妃の表情は明るかった。国内で見なれてしまった鬱々とした表情の上に努力して重ねて見せる笑顔とはまったく異質の、心底楽しそうな豪…