「 最新技術が払拭、小泉元首相の憂慮 」
『週刊新潮』 2013年11月28日号 日本ルネッサンス 第584回 「原発は即ゼロがいい」「核燃料サイクルもいま、やめたほうがいい」 11月12日、日本記者クラブで小泉純一郎元首相はこう語った。氏の主張の最大の根拠は核廃棄物の最終処分場がないという点だ。本当にそうか。世界の実情も併せて見てみよう。 使用済み核燃料を含む放射性廃棄物には低レベル、中レベルから高レベルのものま…
「 感性だけの議論では解決出来ない原発問題 」
『週刊ダイヤモンド』 2013年11月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1011 「原発は即ゼロがいい」と語り、原発再稼働にも反対した小泉純一郎元首相の会見を見て、郵政改革に向けた決意を語った場面を思い出した人は少なくなかったであろう。氏はあのとき、「殺されてもいい。郵政改革を断行する」と語ったのだ。 カメラの前で、短く、きっぱりと心情を吐露した瞬間に、小泉氏…
「 独断専行で過つのか、原子力政策
『週刊新潮』 2013年7月11日号 日本ルネッサンス 第565回 菅直人元民主党代表は、最小不幸社会の実現という後ろ向きの公約を掲げて首相としての仕事を始め、3・11の大震災への無策極まる対応で国民に愛想をつかされて、政権を手放した。 その人物の思惑に沿って、いま、原子力発電所の全てが廃炉になる道が作られ、日本のエネルギー政策の根幹が蝕まれようとしているのではないか。 菅氏は…
「 矛盾だらけのエネルギー政策 野田民主党政権の責任は重い 」
『週刊ダイヤモンド』 2012年10月13日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 956 野田民主党政権の下で日本のエネルギー政策が漂流中だ。 1956年1月の創設以来、わが国の原子力政策を推進してきた「原子力委員会」が2日、原子力政策大綱の策定を中止し、有識者による策定会議も廃止した。正力松太郎氏が初代委員長を務め、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹氏も委員となった原子…
「 官邸デモ、漠とした反体制の空気 」
『週刊新潮』 2012年8月16・23日号 日本ルネッサンス 第522回 永田町の首相官邸周辺で金曜日毎にデモが行われ始めて5ヵ月目に入った。当初数百人規模だった参加者は大飯原発の再稼働が決定された6月以降増え始め、6月29日には15万~18万人に上ったと主催者は発表、他方警視庁は1万7千人と発表した。 7月30日の「朝日新聞」社説はデモに関して、「1960年の安保闘争から半世紀。これほど…
「 実は日本はレアアース大国だった 」
『週刊新潮』 2012年7月26日号 日本ルネッサンス 第519回 本州から1800キロ、わが国の最東端に位置する南鳥島の排他的経済水域(EEZ)の海底で、膨大な量のレアアースを含む泥(希土泥)が見つかった。レアアースの濃度が1000ppmから1500ppmという非常に高品質な泥で、濃度が400ppmの水準にとどまる中国の鉱床より数倍、良質であることも判明した。発見したのは東大大学院工学系研究…
「 独の二の舞か『太陽光発電』買取制度 」
『週刊新潮』 2012年7月5日号 日本ルネッサンス 第516回 鳩山由紀夫・菅直人両政権が残したものは混乱と実害ばかりだった。日本と日本国民はこれからも長く、その被害を蒙り続けかねない。そのひとつが、7月から始まる再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(Feed-in Tariff=FIT)である。 FITは、太陽光、地熱、風力、バイオマスなどによる再生可能エネルギー由来の発電量全量を、…
「 原発に高度な安全性を求めつつ いまこそ冷静に議論を深めたい 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年12月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 915 佐藤雄平福島県知事は11月30日、県内に立地している東京電力の原発10基すべてを廃炉にするよう要請すると発表した。福島第一原子力発電所の1号機から6号機のうち6号機、さらには第二原子力発電所は大地震と津波に耐え無事だった。だが、福島県は、すべての廃炉を求める。 一方、米国は新たな原発4基の建設…
「 東京電力と政府が嘘をつく体質を変えなければ事故は再発する 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年10月1日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 905 去る8月11日、佐藤雄平福島県知事が県の復興ビジョンを決定し、脱原発を基本理念とする旨、発表した。日本の原発54基中、10基を擁する原発立地県が脱原発を正式に宣言したことは、日本の電力供給に大きな負の影響を与える深刻な事態である。 確かにすさまじい原発事故は発生し、処理の仕方はこのうえなくまずかっ…
「 原発抜きで日本は生き残れるのか 」
『週刊新潮』 2011年9月29日号 日本ルネッサンス 第478回 福島県川内村の遠藤雄幸村長は、9月13日からの村議会で、来年3月を目標に全村民を村に戻す計画を発表した。村民は約3,000名、内2,800人が避難生活中だ。野田政権では、細野豪志原発事故担当相が、「(除染を)すべての避難区域の市町村で行いたい。特に避難している人が多い地域は、国が前面に出る」「福島の将来は除染が進むかにかかって…