「 エネルギー事情や安全保障体制が異なるドイツと同じ道は歩めない 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年7月23日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 896 7月13日夕方、菅直人首相は官邸で記者会見を行い、「原発に依存しない社会を目指す段階に来た」と語った。だが、首相の言葉は少なくとも2つの点でうつろである。 まず、これまでの首相提言同様、具体的中身に欠ける。震災の復興も満足に指揮出来ない首相が、将来のエネルギー戦略の大転換を打ち上げるのは勘違いも…
原発稼働に反対の首相 目指すは自身の生き残りのみ
『週刊ダイヤモンド』 2011年7月16日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 895 佐賀県玄海町の岸本英雄町長は7月4日、眞部利應・九州電力社長に定期検査で停止中の原発2号機と3号機の再稼働に同意する旨、伝えた。再稼働に至れば、菅直人首相が中部電力浜岡原発を停止させたあと、初めての再稼働例となる。 町長は再稼働の決定前に、3つのことを考えたという。 「まず玄海原発の安全性です…
「 菅首相のエネルギー政策はでたらめ 長期戦略の構築が急務だ 」
『週刊ダイヤモンド』 2011年7月9日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 894 6月28日の民主党両院議員総会で菅直人首相は自党議員の罵倒も意に介さず、エネルギー政策が、次期国政選挙の最大の争点になると開き直った。 脱原発、再生可能エネルギー推進の大義を掲げて総選挙を打つ可能性を示唆し、選挙基盤の弱い自党議員らを恫喝したに等しい。翌29日夜、首相は3軒の店で「はしご酒」を重ね…
「 原発安全対策、国民に明確に示せ 」
『週刊新潮』 2011年7月7日号 日本ルネッサンス 第467回 6月27日、菅直人首相は細野豪志首相補佐官を原発事故収束・再発防止担当相に任命した。「原発事故を収められないようなら、政治家を辞める」と語る氏は6月24日、シンクタンク「国家基本問題研究所」主催のセミナー「放射線被害の虚実」で、「福島第一原発の各原子炉に対するコントロールの度合いは確実に上がっている」と強調した。 たとえば、…
「 中国は恐くない、日本は資源大国だ 」
『週刊新潮』 2010年10月14日号 日本ルネッサンス 第431回 幽霊の正体見たり枯尾花 恐い恐いと恐れれば、何でも恐くなる。菅直人、仙谷由人両氏らの民主党政権は、対中関係で枯尾花の恐怖に搦めとられている。 我が国を領海侵犯した中国人船長の勾留を延長した9月19日以降、中国は圧力をさらに高め、23日にはレアアース(稀土類)の輸出を止めた。同日、フジタの社員4人も人質のように勾留した。…
「 中国『国防動員法』の脅威を認識せよ 」
『週刊新潮』 2010年6月24日号 日本ルネッサンス 第416回 「中国の最高意思決定機関、中国共産党常務委員会は今年2月26日に国防動員法を決定し、即日、法律全文を世界に発表、7月1日から施行します。全14章72条の堂々たる法律は戦いに備えたものです」 こう語るのはビジネス・ブレークスルー大学教授の田代秀敏氏だ。氏の指摘する中国の国防動員法を読んでみると、一朝有事の際に軍事的に如何に国…
「 CO2と気温の関係に新説 気温上昇がCO2増加に先行する 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年7月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 797 麻生太郎首相は、2020年までに温室効果ガスの排出を05年比で15%削減すると決定した。省エネも、CO2削減も大いに結構だ。しかし、政府の政策は合理的なのか、国益にかない、国際社会への真の貢献につながるのか、疑問である。 右の目標達成には、約62兆円の投資が必要とされる。一方、05年…
「 CO2、政府はもっと賢い削減策を 」
『週刊新潮』 2009年6月25日号 日本ルネッサンス 第367回 6月10日、麻生太郎首相は官邸でパネルを示しながら会見し、2020年までに温室効果ガスの排出を05年比で15%削減すると発表した。 中期目標としての15%削減を実現するには、産業、家庭、運輸などの各分野で総額62兆円もの省エネ関連の投資が必要とされる。目標達成の具体策は、太陽光発電の導入量を20年までに20倍にす…
「 引き返せない道に踏み出した戦略なき再処理工場の稼働 最終的なシワ寄せは消費者に 」
『週刊ダイヤモンド』 2006年4月15日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 637 原子力発電に使用された核燃料からプルトニウムとウランを抽出する商業用再処理工場が、4月1日、青森県六ケ所村で運転を開始した。17ヵ月間の試験運用で430トンの使用済み核燃料を再処理する予定だという。 運用開始で、日本原燃の六ケ所村再処理工場は半減期が1万4000年という毒性の強いプル…
「 再処理稼働は急ぎ過ぎだ 」
『週刊新潮』 2004年11月25日号 日本ルネッサンス 第142回 政府の原子力委員会新計画策定会議は、去る11月12日の会合で原子力発電所の使用済み核燃料を再処理する政策を柱とした中間報告を正式に決定した。しかし、日本の未来を担うエネルギー政策は果たしてこれで良いのか、どう考えてもこの決定には疑問と不安がつきまとう。 今回の決定は、政府が従来から目標として考えてきた核燃料サイクルの実…