「 韓国の教科書にみる 親心があふれる国の歴史の教え方 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年8月4日号 オピニオン縦横無尽 第407回 歴史教育のなかで教科書の役割がいったいどれだけの重みを持つのかは正直に言って定かではない。私自身、学校で習った歴史は、今想い出そうとしてもあまり思い出せないからだ。私の場合、歴史の面白さは教科書以外の幾多の本によって知った。興味が湧くような編集内容の本に接すれば、子どもは歴史に魅きつけられるのだ。 では読み物としての…
「 教科書をめぐる日韓関係悪化は大胆な融和策で対処せよ 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年7月28日号 オピニオン縦横無尽 第406回 扶桑社の教科書問題と小泉首相の靖国参拝問題に関連して隣国の反発が強まっている。7月18日には韓国政府は靖国神社に合祀されている旧日本軍の軍人・軍属だった韓国人の位牌の返還を日本政府に公式に要請する方針だと伝えられた。 この要項以前にも韓国側は教育現場での交流を中止し、政治レベルの会談も中止した。日本製品のボイコット運…
「 米国のインド重視を日本の政治家は理解しているのか 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年7月21日号 オピニオン縦横無尽 第405回 “予算案が与党の反対で通らないようなことになれば、私が自民党をぶち壊します” “小泉改革に反対する自民党議員はいても一人かそれくらい。反対している人も(改革の主旨が)わかれば強力に後押ししてくれる” 小泉首相の威勢のよい言葉と、改革反対論者への巧みな誘い込みのメッセージが連日のように発信されている。圧倒的な世論の…
「 ハンセン病判決は『行政過保護』だった日本の司法に地殻変動を起こす 行政へのクレームができず国民が泣き寝入りしてきた事態をもっと我々は知らなければならない 」
『SAPIO』 2001年7月25日号 司法改革が日本を変える 特別対談(後編)最終答申を撃つ! 6月12日、戦後最大の改革となる司法制度改革審議会の最終答申が小泉首相に提出された。今後は内閣に司法制度改革推進室が設置され、順次法案を国会に提出、3年以内の成立を目指す。しかしその中身は法曹人口の増大、法科大学院の創設、裁判員制度導入など抜本的で多岐にわたるため、いまだ多くの問題が山積している。…
「 米国人ジャーナリストの根気が明らかにした『真珠湾の真実』 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年7月14日号 オピニオン縦横無尽 第404回 7月初め、文藝春秋「諸君!」の企画で『真珠湾の真実』の著書、ロバート・スティネット氏らと対談した。ペギー夫人とともに来日した今年77歳の氏から聞いた取材にまつわるエピソードがとりわけ重く私の心に響いた。 真珠湾攻撃は日本がアジア諸国に石油等の資源を求めて進出する動きを、米国に阻止されないよう、米国の攻撃能力をつぶし…
「 日米安保条約の解消を主張する元外交官の論文は国益を損ねる 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年7月7日号 オピニオン縦横無尽 第403回 週末の「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」(IHT)紙に元外交官の野田英二郎氏が「日米安保条約は廃棄すべきだ(should be scrapped)」という主張を「社説・意見欄」に寄稿していた。 野田氏は文部省(現文部科学省)の教科書検定審議委員を務めていた昨年10月、2002年度版中学生用の歴史教科書の検…
「 責任者不在のプロジェクト 」
『GQ』 2001年8月号 COLUMN POLITICS 官僚の実像は掴みにくい。年度末に予算が余ったといって数千万円単位のワインを買うのも官僚であり、赤字国債を解消して健全財政に導こうと、元首相の橋本氏を財政再建路線に走らせたのも官僚だ。 無責任なのか、利己主義者なのか、国政に責任をもとうとしているのか。多面体人間の官僚集団が日本を動かしてきたのは事実である。彼ら官僚の姿への興味は尽きな…