「 岸田外交、面子優先で国益損ねるな 」
『週刊新潮』 2023年5月25日号 日本ルネッサンス 第1049回 岸田文雄首相は本誌発売日の5月18日に広島でバイデン米大統領と首脳会談を行い、翌日からは先進7か国首脳会議(G7サミット)を主催する。世界大激変の真っ只中で岸田首相の1年半における外交の成果が問われる。 吉田茂、岸信介、安倍晋三の三首相の外交・安全保障政策の延長線上に自らの安保政策を位置づけて、安倍氏の路線を引き継…
「 日韓外交、全ての基点を国益に置け 」
『週刊新潮』 2023年5月18日号 日本ルネッサンス 第1048回 大きな戦略図で見れば、日米韓の協力態勢の強化が日本の国益であるのは明らかだ。中国、ロシア、北朝鮮は核、そして極超音速滑空ミサイルをはじめ種々の迎撃不可能なミサイルを開発し、増産を急いでいる。ロシアと北朝鮮の背後には中国がいて、台湾侵攻の日が迫る。その状況下で、韓国が中国やロシアへ接近するのを阻止しようと日米両国の努力が続…
「 チャットGPT、実は日本に親和的 」
『週刊新潮』 2023年5月4・11日合併号 日本ルネッサンス 第1047回 「チャットGPT」が急速に広まっている。「ITの神様」と呼ばれる伊藤穰一氏はチャットGPTを創ったサム・アルトマン氏を、過日、岸田文雄首相に紹介したご当人だ。伊藤氏は千葉工業大学で変革センターの所長を務めているが、学生たちにチャットGPTの使用を義務づけた。 「1週間前から始めたばかりですが、学生の能力を飛…
「 脱原発の独、未来は問題だらけだ 」
『週刊新潮』 2023年4月27日号 日本ルネッサンス 第1046回 欧州の盟主を自任するドイツが4月15日、稼働中の最後の原子力発電3基を停止した。同国は2003年以降、16基を停止させ、今回、完全に脱原発を果たしたことになる。 欧州では1970年代に反核運動と反原発の動きが結びつき、デモは左翼イデオロギー闘争の色彩を帯びた。その中で緑の党が生まれ、彼らは現在、社会民主党ショルツ連…
「 中国の分断作戦に嵌った仏大統領 」
『週刊新潮』 2023年4月20日号 日本ルネッサンス 第1045回 中国の戦略の基本は孫子の兵法の教え、敵勢力の分断である。中国は常に日米及び米欧分断を画策してきた。その罠に見事にはまった、というより自ら飛んで火に入ったのが、マクロン仏大統領だ。氏は欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長に声をかけ、両氏は共に訪中したが、両者の対中姿勢の違いはこれ以上ない程鮮やかだった。 4月5日…
番組出演のお知らせ(2023年4月23日)
令和5年4月23日(日)7時30分~8時55分 フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に生出演します。…
「 中国、国土買収の嵐、超党派で止めよ 」
『週刊新潮』 2023年4月13日号 日本ルネッサンス 第1044回 中国人女性が沖縄県島尻郡の無人島、屋那覇島を買い取っていたと判明したとき、フジテレビの緊急世論調査で99%の人が外資への土地売り渡しを規制すべきだと答えた。この圧倒的な数字は、国土を奪われ続ける深刻な事態を何十年も放置してきた政治への強い抗議でもある。 それから約ひと月、畏友の加藤康子(こうこ)氏が上海電力問題を調…
「 日中首脳が演じた世界の善と悪 」
『週刊新潮』 2023年4月6日号 日本ルネッサンス 第1043回 岸田文雄首相は3月20日、インドでモディ首相と首脳会談を行い、その日の夜中にチャーター機でポーランドに飛んだ。「遅い、遅い」といわれたウクライナ訪問を果たすために、列車に乗りかえて10時間東に進み、21日、ウクライナの首都キーウに到着した。 ゼレンスキー大統領と会談し、ロシアによる侵略戦争を「国際秩序の根幹を揺るがす…
「 台湾・日本有事の実態はこんなに悲惨 」
『週刊新潮』 2023年3月30日号 日本ルネッサンス 第1042回 国際刑事裁判所(ICC)が3月17日、ロシアのプーチン大統領にウクライナからの子供連れ去りに責任があるとして、戦争犯罪容疑で逮捕状を出した。ロシアの歴史を美化し、大ロシア帝国の復活と、自らがその盟主におさまることを夢見るプーチン氏にとって、耐え難い恥辱であろう。 ICCの決断は恐らくプーチン氏の逮捕にはつながらない…
「 問題山積の日韓、それでも改善する訳 」
『週刊新潮』 2023年3月23日号 日本ルネッサンス 第1041回 今週、韓国の尹錫悦大統領が来日する。日韓関係を戦後最悪の水準に突き落とした戦時朝鮮人労働者問題の解決策を引っ下げての来日だ。戦時朝鮮人労働者の動員は「反人道的不法行為」であるから、慰謝料を払えと韓国大法院がとんでもない判決を下したのは2018年10月だった。日本側は猛反発し、その後22年5月に発足した尹政権は日本側に新た…