「 米軍幹部の警告、2年後に米中戦争 」
『週刊新潮』 2023年2月9日号 日本ルネッサンス 第1035回 「2025年、中国は台湾に侵攻し、米中は戦争に突入する」 これは米航空機動軍司令官、マイケル・ミニハン空軍大将が隷下部隊の指揮官と空軍作戦部隊指揮官に宛てたメモの核心部分である。1月27日に米国のNBCテレビがスクープした。日本にとって他人事ではない。わが国も米台両国と協力して中国と戦う局面に立つ。それが2年後、現実…
「 日韓、感情的妥協の罠にはまるな 」
『週刊新潮』 2023年2月2日号 日本ルネッサンス 第1034回 互いに近い国、日韓間には歴史解決にまつわる問題が絶えない。現在の焦点は戦時中の朝鮮人労働者への補償問題だ。戦時中に徴用されたという人々が日本企業を相手に損害賠償請求訴訟を起こし、その訴えを受け入れて韓国大法院(最高裁)は2018年10月30日、日本企業に支払いを命じた。無論日本は応じない。そこで韓国の公益法人「日帝強制動員…
「 米中戦争で日本も戦場になる 」
『週刊新潮』 2023年1月26日号 日本ルネッサンス 第1033回 米国の有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)がこの1月、「次の戦争の最初の戦い・中国の台湾侵略机上作戦演習」を発表した。2年間かけて行った24回の机上作戦演習の総まとめだ。 演習の特徴は同企画の全てを軍関係者が担ったことだ。シビリアンである政治家の参加なしで、中国の台湾侵略に関して厳密に軍事的要素に基づい…
「 楠木正成を討ち死にさせた政軍関係 」
『週刊新潮』 2023年1月19日号 日本ルネッサンス 第1032回 今年、日本の私たちが関心をもって学びたいことに戦略と戦術の違いがある。岸田文雄首相が発表した安全保障戦略に関する3文書、それを解説するメディアの記事や資料には、戦略の二文字が度々登場する。国際関係論の大家、田久保忠衛氏が苦言を呈した。 「国防費の規模やトマホーク導入の可能性などは全て戦術に属する事案です。それも大事…
「 令和5年、日本人は賢く強くなろう 」
『週刊新潮』 2023年1月5・12日号 日本ルネッサンス 第1031回 ウクライナ侵略戦争はプーチン露大統領が戦争遂行を諦めるまで止まない。2022年末のゼレンスキー・ウクライナ大統領の訪米を受けて、米国はウクライナを敗北させない構えを一段と強化した。ウクライナ戦争を終わらせる道はプーチン氏を敗北させ、停戦に追い込む道だ。 ウクライナ戦争が長期化し、プーチン氏が凋落する中で、中国の…
「 戦略3文書、戦後体制への決別を評価 」
『週刊新潮』 2022年12月29日号 日本ルネッサンス 第1030回 12月16日、岸田政権が発表した安全保障に関する戦略3文書はわが国の安全保障の在り方を根本から変えるものだ。戦後日本を特徴づけてきた空想的な平和主義を岸田政権は明確に批判し、その批判が戦略として位置づけられた。まさに歴史的な一歩である。 岸田氏は発する言葉数は多いが、真の意図がよく見えてこないと私は注文をつけてき…
「 習近平、社会主義は米資本主義に勝つ 」
『週刊新潮』 2022年12月22日号 日本ルネッサンス 第1029回 戦略的に見てこれ以上のタイミングはなかっただろう。臨時国会閉幕の12月10日、萩生田光一自民党政調会長が台湾を訪問した件だ。与党三役としては19年ぶりで、台湾の平和と安定を重視する日本の決意を内外に示した。中国には強い抑止力となったはずだ。 安倍晋三元総理の暗殺以降、台湾に芽生えた心細さ、誰が日台関係強化の推進軸…
「 中国の人権侵害に初めて物言う日本 」
『週刊新潮』 2022年12月15日号 日本ルネッサンス 第1028回 相手が中国となると、わが国は政界も財界も信じ難いほど卑屈になる。一例が、中国の人権侵害問題には一言の抗議もできないという事実である。ところが12月5日、ようやくこの悪弊が破られた。超党派の「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」が設立総会を開いたのだ。 これまでわが国にはチベット、ウイグル、南モンゴルの3民…
「 蔡英文氏敗北、台湾は真の敵を見よ 」
『週刊新潮』 2022年12月8日号 日本ルネッサンス 第1027回 11月26日の台湾統一地方選挙で蔡英文氏の民進党が「大敗」した。日米共に極めて憂慮すべき事態だ。 統一地方選では直轄市6つと、市、県、合わせて22の自治体の首長が選ばれる。民進党は選挙前、7つを保持していた。国民党は14、その他が1だった。今回、民進党は首長ポストを5に減らした。 台湾民意基金会が10月18日…
「 中間選挙が米国の新出発点となる 」
『週刊新潮』 2022年12月1日号 日本ルネッサンス 第1026回 米国の著名な政治学者、ウォルター・ラッセル・ミード氏が「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙でアメリカの展望について楽観的見通しを書いていた。氏はアメリカ合衆国の国歌から「ああ、星条旗はまだたなびいているか? 自由の地、勇者の故郷の上に!」の一節を引用して、アメリカの未来は大丈夫か、と自問した後、「中間選挙で米国の秩序(…