「 中国の人権侵害に初めて物言う日本 」
『週刊新潮』 2022年12月15日号 日本ルネッサンス 第1028回 相手が中国となると、わが国は政界も財界も信じ難いほど卑屈になる。一例が、中国の人権侵害問題には一言の抗議もできないという事実である。ところが12月5日、ようやくこの悪弊が破られた。超党派の「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」が設立総会を開いたのだ。 これまでわが国にはチベット、ウイグル、南モンゴルの3民…
「 蔡英文氏敗北、台湾は真の敵を見よ 」
『週刊新潮』 2022年12月8日号 日本ルネッサンス 第1027回 11月26日の台湾統一地方選挙で蔡英文氏の民進党が「大敗」した。日米共に極めて憂慮すべき事態だ。 統一地方選では直轄市6つと、市、県、合わせて22の自治体の首長が選ばれる。民進党は選挙前、7つを保持していた。国民党は14、その他が1だった。今回、民進党は首長ポストを5に減らした。 台湾民意基金会が10月18日…
「 中間選挙が米国の新出発点となる 」
『週刊新潮』 2022年12月1日号 日本ルネッサンス 第1026回 米国の著名な政治学者、ウォルター・ラッセル・ミード氏が「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙でアメリカの展望について楽観的見通しを書いていた。氏はアメリカ合衆国の国歌から「ああ、星条旗はまだたなびいているか? 自由の地、勇者の故郷の上に!」の一節を引用して、アメリカの未来は大丈夫か、と自問した後、「中間選挙で米国の秩序(…
「 ウクライナ支援が日本の国益だ 」
『週刊新潮』 2022年11月24日 日本ルネッサンス 第1025回 11月9日、ロシア国防相のショイグ氏とスロヴィキン将軍が、ロシア軍はヘルソン州の州都から撤退すると発表した。ウクライナ南部のヘルソン州はロシアが侵攻開始以来、制圧した州の内、州都を制圧した唯一の例だった。 ロシア軍のヘルソン撤退は何を意味するのか。11月11日の「言論テレビ」でロシア軍の専門家、東京大学先端科学技術…
「 仏知識人の世界観と日本の国防戦略 」
『週刊新潮』 2022年11月17日号 日本ルネッサンス 第1024回 欧州の大国のひとつ、核を保有するフランスから歴史人口・家族人類学者、エマニュエル・トッド氏が来日した。シンクタンク「国家基本問題研究所」の15周年の会員の集いで、3時間半にわたって行ったセミナーは刺激に満ちていた。 旧ソ連の崩壊を、その15年も前に予測して世界的名声を得たトッド氏は、ロシアのウクライナ侵略戦争をと…
「 異常な人事が示す習氏のプーチン化 」
『週刊新潮』 2022年11月10日号 日本ルネッサンス 第1023回 10月22日に閉幕した中国共産党大会、その直後に開かれた中央委員会第1回総会(1中総会)で決定された人事は習近平国家主席が絶対的権力を確立したことを示していた。但し、一見堅固に思える習氏の権力基盤には、一枚皮をめくると権力の崩壊につながりかねない不穏な要素も少なくない。 大会冒頭の政治演説で注目を浴びたのは全分野…
「 力の結集を、今が拉致解決の好機だ 」
『週刊新潮』 2022年11月3日号 日本ルネッサンス 第1022回 毎年秋になると「家族会」「救う会」「拉致議連」は、北朝鮮に拉致された人々の奪還を誓う国民大集会を開催する。今年も東京・千代田区の砂防会館に全国から多くの人々が集った。小泉純一郎元首相の訪朝から20年、家族会が被害者の実名を公表し、救出運動を始めて25年、横田めぐみさんが拉致されて45年が過ぎた。13歳のめぐみさんは58歳…
「 予算委員会で光った政調会長の質問 」
『週刊新潮』 2022年10月27日号 日本ルネッサンス 第1021回 国際情勢は一瞬にして変わる。NATO(北大西洋条約機構)が「定期的訓練」だとしながら、高度な核抑止力を維持するための軍事演習を開始した。米国を含む14か国が参加して、10月17日から2週間、ベルギー、北海、英国など欧州北西部上空を各国軍機60機が飛ぶ。実弾は使用しないが核兵器の投下訓練も行う。 ロシアも「定例」の…
「 財務省よ、国防力強化を妨げるな 」
『週刊新潮』 2022年10月20日号 日本ルネッサンス 第1020回 9月は25、28、29の計3日、10月に入ってからも1、4、6、9の計4日、北朝鮮の金正恩総書記が弾道ミサイルを発射した。10月16日に開幕する中国共産党大会が終わる頃には核実験も行いかねない。金氏は9月8日、「核戦力政策に関する法令」を採択し、自身・自国に核や通常兵器による攻撃がなされる場合、或いはその危険が差し迫っ…
「 安倍総理の死で歴史を書き換えるな 」
『週刊新潮』 2022年10月13日号 日本ルネッサンス 第1019回 NHKの看板番組のひとつ、「クローズアップ現代」(クロ現)が9月14日、「日朝首脳会談20年 元外交官が語る北朝鮮との秘密交渉 その舞台裏」と題して、小泉純一郎首相の訪朝を実現させた田中均アジア大洋州局長の証言を伝えた。 私自身、拉致問題には長年関わってきた。それもあって注意深く見たが、田中氏の発言にもクロ現のま…