「 中国の対越蛮行でアジアは新局面へ 」
『週刊新潮』 2014年5月22日号 日本ルネッサンス 第607回 中国の正体見たり。 国際社会はそのように考え始めたはずだ。オバマ大統領が、中国と領土領海問題を抱える日本、韓国、マレーシア、フィリピンへの歴訪を終えた途端に、中国は南シナ海パラセル諸島海域でベトナムの権益を一方的に侵す蛮行に及んだ。 2年前に完成させた深海用の巨大掘削装置は中国石油開発の戦略的武器と呼ばれ、建造…
「 韓国の朴大統領の統治が日本にとって危機である理由 」
『週刊ダイヤモンド』 2013年5月18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 985 韓国の朴槿恵大統領が初の外遊で米国を訪れ、7日、オバマ大統領と会談した。彼女は首脳会談の席で、オバマ大統領が北朝鮮の核問題で日米韓の緊密な連携が必要だと語ったのに対し、「北東アジア地域の平和のためには日本が正しい歴史認識を持つべきだ」と応じた。首脳会談の席で他国の歴史認識を批判するという異例の…
合祀を気にしていなかった中国 定型化した報道はウンザリだ
『週刊ダイヤモンド』 2013年5月11日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 984 4月22日、春の例大祭で靖国神社に詣でた。春も秋も、例大祭のときは澄んだ冷たい空気が御社(みやしろ)を包んでいるように思う。空は晴れやかな青磁色、きりりとした空気が緊張感をもたらし、祖国に殉じた人々の魂が私たちを見つめていると感じる瞬間である。 それにしても靖国神社に政治家が詣でるこ…
「 自国を自力で守る姿勢を鮮明にし アジア諸国と連携を強化する首相 」
『週刊ダイヤモンド』 2013年1月26日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 970 「中国人民解放軍を平時において積極的に活用する」「軍事闘争への備えを優先する」 これが習近平・中国共産党総書記が繰り返し強調する考え方であり、後述する中国の尖閣諸島問題に関連する対日強硬政策の主因でもある。 習氏は前任者の胡錦濤、江沢民両氏と異なり、まもなく党中央軍事委員会主席のポ…
「 歴史認識問題で日米分断の危険性 」
『週刊新潮』 2012年9月6日号 日本ルネッサンス 第524回 8月27日、駐北京の日本大使の乗った車を2台の乗用車が連携して停車させ、中国人とみられる男が日の丸の旗を奪い気勢を上げて逃走した。中国版ツイッターの「微博」では犯人を「民族の英雄」とする書き込みが相つぎ、尖閣諸島に関する中国の主張が掲載され続けた。「琉球も中国の領土」という主張も展開され、「反日無罪」というべき過激なナショナリズ…
「 焼身自殺をテロと呼ぶ中国の狂気 」
『週刊新潮』 2012年7月19日号 日本ルネッサンス 第518回 7月6日、東京を訪れたチベット亡命政府外相、デキ・チョヤン氏は意気軒昻だった。彼女と会うのは昨年9月、インド北部のダラムサラでの会談以来、2度目である。その少し前の8月、ダライ・ラマ法王14世が政治から引退し、政治は全て、ロブサン・センゲ首相以下、チョヤン外相を含めて40代前半の閣僚が大半を占める若い政府に引き継がれた。 チ…
「 対中柔軟外交に見るベトナムの強さ 」
『週刊新潮』 2012年5月31日号 日本ルネッサンス 第511回 かつての敵、米国とベトナムが、互いにとっての眼前の脅威である中国と、細心の注意を払いながら如何にバランスをとっていくかを探っている。そんな印象を、過日訪れたベトナムの首都ハノイで抱いた。 国家基本問題研究所(国基研)の代表団団長としてベトナムを訪れ、ベトナム外交学院及び社会科学院中国研究所等との意見交換での焦点は、中国問題だ…
「 中国の脅威を前にTPP推進で経済基盤の健全化を図るベトナム 」
『週刊ダイヤモンド』 2012年5月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 936 シンクタンク「国家基本問題研究所」代表団の団長として、11年ぶりにベトナムを訪れた。30度台後半の気温と高い湿度で少々疲れたが、興味深い現象を見てきた。 首都ハノイは以前にもまして二輪車の洪水だった。信号待ちのバイクは言葉の正確な意味で無数であり、いまにもレースが始まるかのような雰囲気だ。二輪車…
「 政治家91人、中国の人権弾圧に抗議 」
『週刊新潮』 2012年4月19日 日本ルネッサンス 第506回 チベット亡命政府首相ロブサン・センゲ氏招致委員会の長としてセンゲ首相をお招きし、4月3日、国家基本問題研究所(国基研)主催のシンポジウム「アジアの自由と民主化のうねり 日本は何をなすべきか」を開催した。シンポジウムは第1部でセンゲ首相がチベット問題を、第2部で世界ウイグル会議事務総長のドルクン・エイサ氏、モンゴル自由連盟党幹事長…
「 スー・チー氏圧勝で加速する中国の後退 」
『週刊新潮』 2012年4月12日号 日本ルネッサンス 第505回 4月1日に行われたミャンマー議会の補選で、アウン・サン・スー・チー氏が率いる野党の国民民主連盟(NLD)が圧勝した。今回の選挙は国会定数664議席中43の改選議席を争ったもので、NLDが圧勝したとしても、その議席は全体の1割にも満たない。全議席の4分の1が軍人への割り当てで、与党の連邦団結発展党と合わせると軍出身者が議席の8割…