「 オバマ大統領の“戦い”を理解しない鳩山政権の平和論は日米関係を危うくする 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年10月31日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 811 米国のオバマ大統領のノーベル平和賞受賞のニュースに、鳩山政権の人びとはたいそう喜んだ。 鳩山由紀夫首相は、オバマ大統領が先に表明した核のない世界を目指すという考え方に共鳴し、9月24日の国連安保理首脳会合で「核廃絶の先頭に立つ」と力を込めて述べた。岡田克也外相は核のない世界を目指す立場から…
「 民主党らしさを損ねる言論封鎖 」
『週刊新潮』 2009年10月29日号 日本ルネッサンス 第384回 野党時代の民主党の最大の魅力は政策決定過程の透明性にあった。良くも悪しくも党内議論は活発だった。これでひとつの政党かと訝るほど、右から左まで幅広い人材で成り立つだけに、十分な議論なしには、極論が党の政策として打ち出されかねない実態がある。危うい政策を辛うじて水際で止め得ていたのは活発な党内議論ゆえだっただろう。 ところ…
「 タイ資本に買収された老舗オギハラ 日本の金型産業は本当に危うい 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年10月24日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 810 日本の金型産業が危ういと、メディアで報じられ始めて久しい。それでも、日本の金型産業を担っていた人びとは、秘かな自信を失いはしなかった。 彼らの自信の根拠は、金型はたいそう複雑な産業で、簡単にまねが出来ないところから生まれていた。 たとえば一台のクルマのモーターを作るには、ざっと見て、1,00…
「 鳩山外交の陥穽、東アジア共同体 」
『週刊新潮』 2009年10月22日号 日本ルネッサンス 第383回 鳩山由紀夫首相は実態不明の友愛精神で東アジア共同体構想を持ち上げた。東南アジアから賛否の声が起きている。 共同体構想は元々、中国が米国のアジアにおける存在を薄め、あわよくばアジアから排除することを狙って、日中韓+ASEAN諸国で構成するものとして提唱した。 中国は、米国さえ後ろについていなければ、日本を中国の支配下に…
「 鳩山首相と一郎元首相の共通項 甘い『友愛』への大いなる不安 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年10月17日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 809 鳩山由紀夫首相の唱える友愛外交は祖父・一郎から学んだと、首相は「Voice」9月号で述べている。一郎の友愛は「博愛」を指し、「革命の旗印ともなった戦闘的概念」だという。 一郎は友愛を説くとともに日本の憲法改正と再軍備を主唱した。こうした考えは、後述のように、一郎の信念というより政敵・吉田茂への…
「 『道路独裁』が問う道路改革の真実 」
『週刊新潮』 2009年10月15日号 日本ルネッサンス 第382回 久し振りに読みごたえのある本に出会った。「朝日新聞」経済グループの記者、星野眞三雄(まさお)氏の『道路独裁 官僚支配はどこまで続くか』(講談社)である。 氏は6年前に断行された小泉政権の「道路改革」を取材した記者である。なぜ、いま、6年前の道路改革を取り上げるのか。理由は簡単だ。道路民営化が偽物だったからだ。偽りの改革か…
「 自由と民主主義を守る台湾に“一条の希望”の立法院補欠選挙 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年10月10日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 808 9月27日、台湾西南部の雲林県で立法院補欠選挙が行われ、台湾人の政党、民進党が大勝利した。 国民党の議員が先の総選挙で票を買収し、当選無効とされたことを受けての今回の補選では、中国系の国民党の公認候補、国民党系の無所属候補、民進党の公認候補の3人が競った。 民進党の劉建国氏の得票は74,30…
「 危うし、民主党国防政策の揺らぎ 」
『週刊新潮』 2009年10月8日号 日本ルネッサンス 第381回 日本最西端の国境の島、与那国島は沖縄本島から約500キロ、九州南端の鹿児島からは約1,000キロも離れている。長径1,000キロとは、東京を基点に北に向かえば北海道の名寄、紋別、網走まで、西に向かえば本州、九州を飛び越して種子島までの距離である。 この広い海域に点在する島々が、日本の排他的経済水域を広大ならしめ、日本を世界第6…
「 温室効果ガス25%削減で国民はいくら負担するのか 」
『週刊ダイヤモンド』 2009年10月3日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 807 日本時間の9月22日夜、鳩山由紀夫首相はニューヨークの国連本部で開かれた国連気候変動首脳会合の開会式で演説した。2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという中期目標を表明した。 目標値達成は、全ての主要国の参加による意欲的な目標の合意が前提となるとの条…
「 特集 国防最前線を担う最果ての島『与那国』ルポ 」
『週刊新潮』 2009年10月1日号 日本ルネッサンス 拡大版 第380回 「国境」が危ない」 【後編】 9月2日、尖閣諸島の上空を飛んだ。海原に浮かぶ日本固有の領土の周辺海域には海上自衛隊の船と海上保安庁の船が巡回していた。中国が東シナ海で着々と開発を進めるいま、この美しい海は中国の侵食から日本を守る緊張の海でもある。 尖閣諸島とともに、日本の国境を形成するのが与那国島だ。日本列島最西端に…