「 バイオテロに勝つ大人の知恵 」
『週刊新潮』 2002年4月4日号 日本ルネッサンス 第13回 今月末、千葉県の血清研究所が閉鎖される。日本で唯一の天然痘ワクチンを製造している研究所であるばかりか、そのワクチンは、「LC16m8」と呼ばれる、世界で最も安全で優れたワクチンである。 元国立予防衛生研究所ウイルス第一部長で、現在富山県衛生研究所長の北村敬氏が語った。 「血清研究所の閉鎖で、日本の痘瘡ワクチン製造能力は消滅します…
「 都会で生息する鴬・雀・桜が告げる今年の早い春の訪れ 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年3月30日号 オピニオン縦横無尽 439回 18日の月曜日、ベランダで早朝の水やりをしていると聞こえてきた。 ホーホケキョ ホーホケキョ なんという美声だろう。肌に心地よい早朝の冷たい微風のなかで、如雨露(じょうろ)を手に、しばし佇んで聞き惚れた。以来、鴬は毎朝のように訪れてきて美声を聞かせてくれる。 ささやかな都会の庭を訪ねてくる鳥たちのなかで、最も愛ら…
「 実りなき譲歩をやめる時 」
『週刊新潮』 2002年3月28日号 日本ルネッサンス 第12回 3月12日に東京地裁で開かれた、よど号犯人の妻、赤木恵美子被告の公判で、同じくよど号犯人の元妻の八尾恵氏が、日本人拉致工作にかかわっていたことを証言した。有本恵子さんが19年前に語学留学先のロンドンから姿を消したのは自分の拉致工作の結果だというのだ。 八尾氏はまた、拉致はよど号のリーダー故・田宮高麿の指示によること、拉致には北…
「 『10人の拉致くらいで日朝交渉に影響あれば困る』という官僚 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年3月23日号 オピニオン縦横無尽 438回 3月12日のテレビ朝日の報道番組を見て、不思議に思ったことがあった。 画面には、「すみませんでした。私が誘拐しました。今まで黙っていてすみませんでした」と詫びる八尾恵氏の姿があった。 氏はよど号ハイジャック犯の元妻で、田宮高麿(故人)の指示により1987年に2人の子どもを置いて帰国した。彼女は83年にロンドンで、当時…
「 私益に走る官僚に国家はありや 」
『週刊新潮』 2002年3月21日号 日本ルネッサンス 第11回 「ここ数年の外務省は異常でした。非常に憂うべき状況が次から次へと生まれ、このままでは日本はロシア政策を完全に踏み外し、将来に禍根を残すと考えたのです」 こう語るのは、杏林大学教授の田久保忠衛氏である。田久保氏ら外交問題専門家10名が、「対露政策を考える会」を結成し、「対露政策に関する緊急アピール」を出したのは昨年6月だった。1…
「 鈴木宗男氏の国民への“本当”の罪は北方領土問題でのロシアへの譲歩 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年3月16日号 オピニオン縦横無尽 437回 川口順子外務大臣の指示で行なった鈴木宗男氏と外務省の癒着の実態調査結果が3月4日に発表された。 注意してよく読むと、非常に多くのことが見えてくる。たとえば、鈴木氏が「1997年9月に北海道・沖縄開発庁長官に就任したが」「同年末から、同議員が北方四島住民支援への関与の度合いを深めていった」というくだりである。 北方四…
「 鈴木宗男はロシアにひれ伏す 」
『文藝春秋』 2002年4月号 大特集 苦悶する宰相 二島先行返還という暴論。とんだ国益の代弁者だ 田中真紀子前外相が思う存分好き勝手なことを言い、鈴木宗男議員が限りなく灰色の姿を見せたのが2月20日の衆院予算委員会での参考人質疑だった。 両者に共通する際立った特徴の第一は、どうみても不正直かつ不誠実であることだ。第二に国会議員もしくは閣僚として担うべき日本の国益を、大いに損ねている点だ…
「 悪しき情報三法をつぶせ 」
『週刊新潮』 2002年3月14日号 日本ルネッサンス 第10回 官僚たちの悪しき企みが、この国を生ける屍の国にしようとしているかのようだ。 自由を奪われた形だけの報道と言論。個人情報を一元的に集中管理され、羊のように大人しく無気力な国民。その頂点に立つ、未来展望も無い青白い官僚たち。 他国の話でもフィクションでもない。これは現在進行形のねっとりとした動きが現実となった時の日本の姿である。…
「 報道の自由を阻害する人権擁護法案を成立させてはいけない 」
『週刊ダイヤモンド』 2002年3月9日号 オピニオン縦横無尽 436回 悪魔の企みは美名を纏(まと)ってやってくる。「人権擁護法案」がそれだ。 政府が今の国会に提出するとして用意した法案の内容が2月23日に明らかになったが、いったい、このような法案を考えだした官僚や役所は、この国をどうしようと考えているのだろうか。人権擁護といえばいかにも美しく耳ざわりもよい。だが実態は報道の自由を侵害し、…