「 小泉首相よ、ベートーヴェンになれ 」
『週刊新潮』 2002年1月3・10日号 日本ルネッサンス 第1回 この冬もまた「第九」の季節がやってきた。歌えば高揚するあの詩。大正6年の初演から、ベートーヴェンの生地ドイツも含めて、日本ほど第九を演奏する国はおそらく他にはないだろう。 それにしても、ベートーヴェンが第九の最終楽章に組み入れた「歓喜の歌」、シラーの詩はフランス大革命の自由、平等、友愛を誇らかに謳いあげ、人間の尊厳を賛美し、…
「 批判者を排除する老年医学会が担う医療の混乱とムダを憂う 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年12月29日・2002年1月5日 新春合併号 オピニオン縦横無尽 第427回 私にとって今年の収穫のひとつは、40歳になったかならずの優秀な精神科医和田秀樹さんに出遭ったことだ。『日本の病正常な国への処方箋』という共著も出した。氏の問題提起の鋭さは私の問題意識にも火をつけてくれた。 和田さんは高齢者の心にとりわけ関心を抱いており、世界でも飛び抜けて高齢化してい…
「 対テロ対策外交でのプーチンロシア大統領の見事な手腕 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年12月22日号 オピニオン縦横無尽 第426回 米国を襲ったテロ攻撃からちょうど3ヵ月の12月11日、攻撃の主謀者とされるウサマ・ビンラディンのテロ組織「アルカイダ」が投降に同意した。投降部隊の規模や、ビンラディンの所在は不明ながら、アルカイダの潰滅が近づいているのが見えてくる。 ブッシュ大統領が「新しい戦争」と呼んだこの戦いは、そのネーミングにもかかわらず、…
「 内親王ご誕生で改めて感じた文化歴史を伝える言葉の大切さ 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年12月15日号 オピニオン縦横無尽 第425回 「ローマの休日」は、なぜあれほど、愛され続けるのか。「神がお遣(つか)わしになった最も美しい天使」(エリザベス・テーラー)のようなヘプバーンの笑顔のゆえか、魅力的なグレゴリー・ペック演ずる特派員生活への憧れのゆえか。 理由はこの両方に加えて、ヘプバーンの演ずる主役がユア・ロイヤル・ハイネスと呼ばれる立場、つまり皇…
「 “後出し”判決文の大いなる矛盾 薬害エイズ裁判批判 」
『中央公論』 2002年1月号 判決宣告の後に作られる判決文 薬害エイズ事件で安部英・元帝京大学副学長を無罪とする判決文は8月8日に出された。3月28日に無罪判決と判決要旨が出されてから四ヵ月以上が経っていた。今回改めて内容を検討すると驚くべき点がいくつも目についた。 まず、第一の驚きはそのタイミングの遅さである。なぜ、判決言い渡しから判決文まで四ヵ月以上もかかるのか。374頁にのぼる判決…
「 『薬害エイズ松村判決』でわかった日本の官僚はプロの『責任』を放棄している! 」
『SAPIO』 2001年12月19日号 「官僚の不作為」を初めて認定した判決は出たが… 9月28日、東京地方裁判所の永井俊雄裁判長は、薬害エイズ事件において、元厚生省課長松村明仁被告に対し、エイズウイルス(HIV)が混入しているおそれのある非加熱濃縮血液製剤について適切な処置を取らなかったと、官僚の不作為を問い、禁固1年執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。薬害エイズ事件に関して当初より取材…
「 誇大報告・水増し“南京事件”の証拠の信憑性は非常に乏しい 」
『週刊ダイヤモンド』 2001年12月8日号 オピニオン縦横無尽 第424回 再び南京事件について。私が南京での日本軍による民間人虐殺があったと考えていた理由のひとつが、紅卍会(こうまんじかい)および崇善堂(すうぜんどう)による遺体埋葬数だった。前者は4万3000体を、後者は11万体強を埋葬したと報告、これが、東京裁判で南京大虐殺を事実として認める根拠ともなった。 北村稔氏の『「南京事件」の…
「 『南京虐殺』の虚構 」
『諸君!』 2002年1月号 発掘!! 「新史料」が証(あ)かす 「虐殺」を世界で初めて報じた英字紙記者ティンパーリーは、国民党の宣伝工作員だった! 北村稔氏(立命館大学教授) 櫻井よしこ(ジャーナリスト) ティンパーリーの正体を突止める 櫻井: 北村さんの『「南京事件」の探究』を拝見しましたが、これは一言で言うと、いわゆる「大虐殺」が「あった」とする論拠をことごとく洗い直して再検証さ…