「 変わる米情報戦略、日本は対応できるか 」
『週刊新潮』 2024年4月11日号 日本ルネッサンス 第1093回 今年3・4月号の『フォーリン・アフェアーズ』誌に米中央情報局(CIA)長官のウィリアム・バーンズ氏が「スパイ術と国政術」(Spycraft and Statecraft)の題で寄稿していた。よく見ると1月30日に公表された論文だった。少し古いかもしれないが、大事なことが書かれている。 時代が変わり技術革新が急激に進…
「 何とも不思議な底力をもつ日本 」
『週刊新潮』 2024年4月4日号 日本ルネッサンス 第1092回 親中派と言えば、政治家ではかつて首相を務めた福田康夫氏を筆頭にその系譜に連なる人々、例えばエネルギーや安全保障分野での所業から河野太郎デジタル大臣や林芳正官房長官などが思い浮かぶ。各々幾十万の有権者の支持を得て国民のため、日本国のため、国政に携わっているはずだが、一体どの国のために働いているのかと苦々しく思うことが少なくな…
「 人類の希望は混じり合う世界から 」
『週刊新潮』 2024年3月28日号 日本ルネッサンス 第1091回 伊藤穰一氏は心優しい天才だ。2011年から19年まで、科学の分野で世界最先端を走る米マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボでアジア人として初めて所長を務めた。現在は千葉工業大学学長として、社会に大いなる変革をもたらそうと挑戦中だ。伊藤氏の変革は米欧の真似ではない。日本の文化、伝統、哲学を踏まえて、日本独自のあた…
「 台湾有事で米国は軍事介入をする 」
『週刊新潮』 2024年3月21日号 日本ルネッサンス 第1090回 軍人と家族、37万5000人の頂点に立って世界の海の65%を守る米インド・太平洋軍司令官にサミュエル・パパロ氏が就任する。2月1日に行われた米上院公聴会でのパパロ氏の発言からは、中国の脅威に向き合う米国の本音が透けて見えた。 パパロ氏は6人の子の父親である。シングルマザーに育てられたが、母は「理髪店とメークアップセ…
「 無責任体制で自民党の迷走が続く 」
『週刊新潮』 2024年3月14日号 日本ルネッサンス 第1089回 岸田政権の政治には何の脈絡もない。連帯し、心をひとつにして難関に当たる気風がなく、およそ全てがバラバラに動いている。2月29日と3月1日、2日間にわたる国会での政治倫理審査会を見て感じたのはこのことだった。 岸田文雄首相は、われこそは正義の人だとでもいう気持ちで政倫審に出席したのであろう。確かに首相の出席によって清…
「 「もしトラ」でなく「ほんトラ」に備えよ 」
『週刊新潮』 2024年3月7日号 日本ルネッサンス 第1088回 本当にトランプ氏が戻ってくる。 去年9月末に米軍の統合参謀本部議長を退いたマーク・ミリー氏の長時間インタビューを、雑誌『アトランティック』(2023年11月号)で読んだ。元陸上幕僚長の岩田清文氏の強い勧めによる。 トランプ、バイデン両氏に仕えたミリー氏は少なからぬ米軍人がそうであるように日本との関連も深い。父親…
「 清和会は継げるのか「松陰」と「安倍」の心を 」
『週刊新潮』 2024年2月29日号 日本ルネッサンス 第1087回 皇學館大学教授、松浦光修氏の『不朽の人・吉田松陰と安倍晋三』(明成社)は、私自身も含めて安倍総理の遺志を継ぐと表明した人々全員が読むべき書だ。 安倍総理暗殺から1年半、日本国も世界も中心軸を失ったかのように漂流中だ。安倍総理がいらしたら、どんな事態が起きても日本も世界も何とか乗り切っていけると思うことのできた、あの…
「 習近平の軍師が描く台湾併合の悪夢 」
『週刊新潮』 2024年2月22日号 日本ルネッサンス 第1086回 習近平国家主席は何を目指しているのか。2月1日、インド太平洋軍司令官任命に当たって、米上院軍事委員会の公聴会でサミュエル・パパロ将軍はこう述べた。 「人民解放軍(PLA)は失地回復主義、歴史修正主義、領土拡張主義に基づき軍事力で勢力拡大を続け、国境線を再設定しつつある」 中国国防大学教授で上級大佐の劉明福氏の…
「 デフレ中国への投資は控えるべきだ 」
『週刊新潮』 2024年2月15日号 日本ルネッサンス 第1085回 産経新聞特別記者の田村秀男氏は、今年2024年の経済は「デフレ中国対脱デフレ日本」の構図下で勝敗が決まると断ずる。長期の停滞局面に入った中国経済は「失われた30年」に喘いできた日本の巻き返しにつながるのか、それとも日本再生の妨げになるのか、それを探るために『中国経済衰退の真実』(産経セレクト)を上梓したという。 氏…
「 反スパイ法のない日本、外事警察の苦闘 」
『週刊新潮』 2024年2月8日号 日本ルネッサンス 第1084回 わが国は、四桁に迫る数の自国民を北朝鮮という国家権力によって拉致されたまま、約半世紀、取り戻せないでいる。 13歳で拉致された横田めぐみさんは59歳になった。母上の早紀江さんは、日本はなぜ、国民を取り戻せないのかと問い続け、新しく拉致担当大臣が就任する度に「真剣に取り組んでほしい」と要望する。歴代内閣は拉致解決を政権…