「 泉さん、貴方はお母さんを何と呼ぶの? 」
『週刊新潮』 2024年5月23日号 日本ルネッサンス 第1098回 思いがけずも立憲民主党の泉健太代表とX上で相まみえることになった。好都合なことだった。これで立憲民主が提出したとんでもない「婚姻平等法案」について、ある程度世の中に知らしめることができたからだ。以下、事の顛末である。 婚姻平等法案の正式名は「民法の一部を改正する法律案」である。国会への提出は昨年3月。過日の衆議院補…
「 今も心して読め、前駐豪大使の「遺言」 」
『週刊新潮』 2024年5月16日号 日本ルネッサンス 第1097回 前駐豪大使の山上信吾氏が『日本外交の劣化』(文藝春秋)を上梓した。「本書は、外交官としての私の遺言である」と後書きにある。気骨ある外交官が40年にわたる外務省勤務を経て、腹を括って書いた「遺言」はまさに本音で貫かれている。 実名を挙げての外務省批判であるからには、同僚、先輩らの厳しい批判を受けるだろう。だとしても、…
「 戦い続けた論客、屋山太郎さんを惜しむ 」
『週刊新潮』 2024年5月2・9日合併号 日本ルネッサンス 第1096回 また一人、論客が逝った。4月9日、屋山太郎氏である。私の師であり、筆一本で人生を完(まっと)うすることをどんな時も後押しして下さった大先輩だ。報を受けて御自宅を弔問した際、屋山さんはただ眠っておられるだけのような穏やかな表情だった。 筋の通らないこと、卑怯なこと、公益に反することなどに対して、屋山さんは歯切れ…
「 見事な岸田演説、覚悟して実現を 」
『週刊新潮』 2024年4月25日号 日本ルネッサンス 第1095回 国賓としてワシントンを訪れた岸田文雄首相を米国は厚くもてなした。岸田氏は好感のもてる指導者の姿で、日本国の意志を明確に示し、米国と共に世界秩序を作っていくとの意気込みを語った。 一例が4月10日、首脳会談後の合同記者会見だ。岸田氏はバイデン大統領より1.5倍長く語り、日米は今や、人間の尊厳を基にした価値観を地球社会…
「 米社会の病い、性別違和に苦しむ少女達 」
『週刊新潮』 2024年4月18日号 日本ルネッサンス 第1094回 今日、4月9日の産経新聞に『トランスジェンダーになりたい少女たち』の広告が掲載されていた。米国人ジャーナリスト、アビゲイル・シュライアー氏の『IRREVERSIBLE DAMAGE』の邦訳で、出版元は産経新聞出版だ。 広告には「あの“焚書”ついに発刊」の字が躍る。「皆様の激励に御礼申し上げます」「Amazon総合1…
「 変わる米情報戦略、日本は対応できるか 」
『週刊新潮』 2024年4月11日号 日本ルネッサンス 第1093回 今年3・4月号の『フォーリン・アフェアーズ』誌に米中央情報局(CIA)長官のウィリアム・バーンズ氏が「スパイ術と国政術」(Spycraft and Statecraft)の題で寄稿していた。よく見ると1月30日に公表された論文だった。少し古いかもしれないが、大事なことが書かれている。 時代が変わり技術革新が急激に進…
「 何とも不思議な底力をもつ日本 」
『週刊新潮』 2024年4月4日号 日本ルネッサンス 第1092回 親中派と言えば、政治家ではかつて首相を務めた福田康夫氏を筆頭にその系譜に連なる人々、例えばエネルギーや安全保障分野での所業から河野太郎デジタル大臣や林芳正官房長官などが思い浮かぶ。各々幾十万の有権者の支持を得て国民のため、日本国のため、国政に携わっているはずだが、一体どの国のために働いているのかと苦々しく思うことが少なくな…
「 人類の希望は混じり合う世界から 」
『週刊新潮』 2024年3月28日号 日本ルネッサンス 第1091回 伊藤穰一氏は心優しい天才だ。2011年から19年まで、科学の分野で世界最先端を走る米マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボでアジア人として初めて所長を務めた。現在は千葉工業大学学長として、社会に大いなる変革をもたらそうと挑戦中だ。伊藤氏の変革は米欧の真似ではない。日本の文化、伝統、哲学を踏まえて、日本独自のあた…
「 台湾有事で米国は軍事介入をする 」
『週刊新潮』 2024年3月21日号 日本ルネッサンス 第1090回 軍人と家族、37万5000人の頂点に立って世界の海の65%を守る米インド・太平洋軍司令官にサミュエル・パパロ氏が就任する。2月1日に行われた米上院公聴会でのパパロ氏の発言からは、中国の脅威に向き合う米国の本音が透けて見えた。 パパロ氏は6人の子の父親である。シングルマザーに育てられたが、母は「理髪店とメークアップセ…
「 無責任体制で自民党の迷走が続く 」
『週刊新潮』 2024年3月14日号 日本ルネッサンス 第1089回 岸田政権の政治には何の脈絡もない。連帯し、心をひとつにして難関に当たる気風がなく、およそ全てがバラバラに動いている。2月29日と3月1日、2日間にわたる国会での政治倫理審査会を見て感じたのはこのことだった。 岸田文雄首相は、われこそは正義の人だとでもいう気持ちで政倫審に出席したのであろう。確かに首相の出席によって清…