「 敬愛する田久保忠衛さんの遺した言葉 」
『週刊新潮』 2024年2月1日号 日本ルネッサンス 第1083回 1月9日、かけがえのない師、田久保忠衛氏が亡くなった。しかし、余り実感がない。なぜだろう。余りにも多くの難事が内外で同時進行中で、考え、対処することが多すぎるからか。 問題をどう乗り越えるか、日本はどうすべきか、心の中でいつも田久保さんと会話をしている。田久保さんならどう考え、どう判断するか。まるで田久保さんとずっと…
「 台湾・頼清徳政権にあらゆる支援を 」
『週刊新潮』 2024年1月25日号 日本ルネッサンス 第1082回 日本の果たす役割がこれまでにない程大事になる。そう感じた台湾総統選挙の結果だった。 新たに総統に選ばれた民主進歩党の頼清徳副総統の得票数は約559万票、全体の40%だった。4年前に蔡英文総統の下で同党が獲得した817万票より約260万票少ない。国民党の侯友宜氏は467万票で、前回の国民党の票から85万票減らした。両…
「 急ぎ、自力で守れる日本になれ 」
『週刊新潮』 2024年1月18日号 日本ルネッサンス 第1081回 上川陽子外相が1月7日、ポーランドを列車で出発し、ウクライナの首都キーウを訪れた。事前公表がない隠密行動でゼレンスキー大統領への表敬訪問の後、NATO(北大西洋条約機構)加盟が決定しているフィンランド、スウェーデン、さらにオランダ、米国など8か国を訪れるという。 岸田文雄首相の支持率が低迷する中、ポスト岸田の有力候…
「 24年、政界全体に必要な遵法精神 」
『週刊新潮』 2024年1月4・11日号 日本ルネッサンス 第1080回 岸田文雄首相の支持率が下げ止まらない中、自民党の複数の派閥による政治資金不記載問題が露見した。政治とカネについて政治家に問題があるのは確かだが、メディアの報じ方にも大きな混乱があり、政治不信をさらに高める要因となっている。 12月22日の「言論テレビ」で元東京高検検事の髙井康行氏が、政治に関わるカネには2種類、…
「 朝日が歪める政治資金「不記載」問題 」
『週刊新潮』 2023年12月28日号 日本ルネッサンス 第1079回 自民党派閥、とりわけ安倍晋三氏が会長を務めた清和会による政治資金規正法違反疑惑で岸田政権が大揺れだ。支持率はどの社の調査でも最低水準となり、来年の総裁任期満了を待たずに退陣か、との見方が強まる。 今回の事態は政治資金を巡る清和会の脇の甘さ、検察のリークに踊らされるメディアと、その報道に振り回される岸田文雄首相の信…
「 中国の海洋戦略、驚くほどの実利志向 」
『週刊新潮』 2023年12月21日号 日本ルネッサンス 第1078回 米政策研究機関「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員、トシ・ヨシハラ氏は中国人民解放軍(PLA)の海洋戦略研究における第一人者だ。その人物による近著『毛沢東の兵、海へ行く』(扶桑社、田北真樹子訳)は衝撃的だった。 今でこそ、米国に迫る海軍大国だが、中国は元々陸軍の国だと定義されてきた。彼らの海軍への関心…
「 終戦時、人の為に働いた珍吉と水軍隊 」
『週刊新潮』 2023年12月14日号 日本ルネッサンス 第1077回 尖閣戦時遭難事件・大東亜戦争で日本が敗戦する直前の昭和20(1945)年7月から8月にかけて起きた悲劇について、私は門田隆将氏の近著『尖閣1945』(産経新聞出版)を読んで知った。 大東亜戦争の末期、米軍の沖縄、八重山諸島への上陸を恐れた日本は石垣島住民の台湾疎開を進めていた。石垣島には4、5、6の各月、延べにし…
「 米中関係の「新常態」、日本よ諦めるな 」
『週刊新潮』 2023年12月7日号 日本ルネッサンス 第1076回 米軍が研究開発費34億ドル(約5100億円)を投入した輸送機C-17の技術を、中国がわずか270万元(約5850万円)で入手、つまり、盗んだ。費用は米国の1万分の1だった。 右の事件の深刻さを理解するためにまずC-17とは何かを知っておきたい。米軍の強さの秘密はその圧倒的な空輸力にある。空輸力の2本柱がC-130と…
「 日中外交、意思疎通だけでは行き詰まる 」
『週刊新潮』 2023年11月30日号 日本ルネッサンス 第1075回 イスラエルも米国もハマスのイスラエル攻撃を察知できなかったが、一旦、有事が発生するや両国の反射神経は驚くほど鋭かった。バイデン大統領はハマスによる攻撃が開始された10月7日から9日までの3日間で17回も国家安全保障会議(NSC)を開いた。関係国首脳に三十数回、電話をかけて意見交換をした。ブリンケン国務長官は直ちに中東に…
「 中東戦争の混乱で日本は何をすべきか 」
『週刊新潮』 2023年11月23日号 日本ルネッサンス 第1074回 国際社会は他国の戦争にどのように、どれくらい関わっていけるだろうか。世界最強の国、アメリカはウクライナやイスラエルにどこまで伴走できるだろうか。国際社会が見定めようとしているこの問いは、アメリカの対応に大きな影響を受ける日本にとっても死活的である。 大国の侵略の前で自力では到底自国を守れないウクライナは、いま米国…